第26話 vs魔王④ 『吸収』

は巨大な漆黒で出来た石版であり、大きな魔法陣が書かれていた。

そして、友人の言葉と共に天界中にその『無』とは別の漆黒が広がっていった。


「ね、ねえ、アイちゃん!これ大丈夫!?天界が飲み込まれていっているけど!?」

「うん。天界自体は問題ないよ。これは『無』のみに反応して、『無』を『実』で満たして消していく領域だから」

「なんかとんでもない領域だなぁ」


そんなとんでもない事をするアイちゃんに呆れつつ魔王の方を見てみる。


魔王は本体の所々が欠け、崩れ始めていた。

どうやら『無』に高出力の『実』を使うと『無』が崩壊を始めるらしい。

…『無』が崩壊するとか言うパワーワードだけど、気にしないでおく。


そんな事を思っていると、アイちゃんから話しかけられた。


「気を付けて、スイちゃん。”器”持ちが今の私達にこんなに簡単に倒されるはずがないから」

「ん?どゆこと?」


いや、もう魔王は崩壊してるけど?


すると、アイちゃんが語りだした。


「”器”即ち、理外の力。理外の存在がこんなに簡単にやられるはずがないんだよね…。そもそも、バカ姉の廃棄分身体を取り込めている時点でおかしいんだよ」


それもそうなのかな?

まあ、勝てるのなら何でもいいけど。


少し立つと、触手が変な動きを始めた。


…あれ?

触手が周りの漆黒の『実』を掬い取り始めたけど?

それと、アイちゃんの『虚』も掴んでいるんだけど。


「………ねぇ、アイちゃん。あのゲーミング触手崩れてないよね。なんか変な動きしてるけどあれ大丈夫なの?」

「うん。多分ちょっとめちゃくちゃ不味いかも」


その瞬間、触手が本体アイちゃんの姉の廃棄分身体に向かったと思うと、本体が触手を体の中に取り込み始めた。


「うーん。ヤバヤバだよ」

「えっと?あの、アイちゃん。あれどういう事?」


突然の事すぎて、わけがわからない。


「魔王が『無』だけに留まらず、『実』と私の『虚』まで取り込んじゃった。うん。この私じゃ、せいぜい数分の時間稼ぎが精一杯かな」

「え!?もう逃げるしかないじゃん!」

「うーん。そうだね。逃げようか。『転移』………」


しかしなにもおこらなかった!


「あのー『転移』さん?息してますか?」

「ちょ…。それ大丈夫なの?」


少し焦っているアイちゃんに私が問いかける。


「あー。無理っ!スイちゃん!逃げ切って!私は分身体だからこの体がどうなろうと平気だけど、スイちゃんは生身だから!ホントに逃げ切って!!」

「う、うん」


ここまで焦ったアイちゃんを見るのは初めてだから、相当にこの状況は不味いんだと思う。


「まずは、創ったばっかりの世界に降りて!降りるぐらいならできると思うし!それに、天界より広いから逃げやすいと思う!」

「アイちゃんはどうするの!?」

「私はここで時間稼ぎでもしてるよ!所謂『ここは私に任せて先に行け』ってやつだよ」


ちょ、それアイちゃん死んじゃわない?って思ったけど、分身体だから大丈夫なんだろう。


心配だが、私に出来ることは無いので、言われた通りに降りて逃げていく。

創られたばかりの土地が私の移動で削られてしまうこともあるけど、仕方がない。


でも、逃げてばかりじゃ私って生き残れるのかな。

延命は出来るだろうけど、元凶は倒せないし…。



……そんな事を考えながらある程度まで逃げてきて、一旦一息付こうとした瞬間。


ミシ、ミシ……。


何かが音が聞こえた。


周りを見渡すが、軋む音を出しそうなものはない。


ミシミシミシミシ………。


そして。


ミシミシ……ベキッ…。


何かが折れ…。


ピキピキピキピキ。


割れそうな音が鳴り。


パリン。



そんな乾いた音とともに私にものすごい圧力が掛かる。


………そう。魔王が私の元にやってきた。


………それも、アイちゃんまで吸収したのが。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ども、のこじです。

vs魔王長いですがもう少しで終わるんで!!(多分)

てか8日目です。

7日目は遅れてすみませんでした。

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