第7話 負の連鎖

南一郎「君が葵ちゃんだね。辛い事を思い出さすけど正直に教えて、天才作家と言われる僕に嘘は通じないよ」


葵「...はい」


葵は過去の事件の事や現在の心情など全てを語った


南一郎「なる程、君は良い人過ぎるのと同時にネガティブすぎる。君を殺すのは君自信だ」



~現在~


美緒「ちょっと光莉! 出てっちゃった。葵、あんなの気にしちゃだめよ!」


葵「うん...私もちょっと部屋戻るね」


(あの時と同じ...お婆ちゃんを車道に倒してしまった後の周りからの視線、同級生の耳打ち、保護者の目、全てが私の悪口に聞こえた。またここでも皆から疑われる...私は何もやって無いのに! でも信じてくれない、もう辛い...次々人が死んでいって、それでも皆平気な顔して、耐えられないを美緒が居てくれ無ければ、私はとっくに死んでいた...)




ガチャ...



葵は部屋に戻る。すると机には紙袋と手紙が置いてあった


葵「何これ...ヒッ!!」



紙袋には拳銃が入っていた。そして手紙を開くと、葵には辛すぎる文章が書いてあった



"死ね。死なぬなら美緒を殺す。美緒が死んだらお前のせいだ"



葵「お前のせい...」



「お婆ちゃんが..」「あの子..」「車道に押したって..」「怖い子」「近付かないように..」

「こっち見た...」「離れよう..」「無視無視..」



葵「ずっと辛かった...お前のせいでお婆ちゃんは死んだと皆から言われてるようで.....今度は私のせいで..初めて出来た友達が...美緒が...」


普段喋った事無い大学の女子からいきなり旅行券を渡され違和感はあった...でも来て良かった。美緒と出会えて、最後に美緒を守れて...




葵「バイバイ美緒...元気でね」






バーーン!!!!!!





___________________




美緒「あ.........あぁ......」


圭「葵!!」


美緒は地面に崩れ落ちる


暴念「クソッ! 全員ペアでいたって事は、Xか!」


三滝「少し違う、これは自殺だ」


暴落「自殺?」


長宮「テーブルに手紙がある。恐らくこの手紙で自殺に追い込んだのだろう」


長宮が手紙の内容を読み上げる



"死ね。死なぬなら美緒を殺す。美緒が死んだらお前のせいだ"



光莉「何、犯人じゃ無かったの?」


三滝「犯人が自殺に追い込んだんだ。多分この紙袋の中に源田さんの拳銃が...あれ、底の方に何か入ってる....鍵だ!」


暴念「鍵? でもこの旅館は全てマスターキーで開くからいらなくね?」


三滝「でも紙袋にわざわざ入れると言う事は何らかの意図があるはずだ、マスターキーで開かない物、恐らく旅館のどこかに金庫がある」



葵をそのままに皆で食堂に集まる事にした。美緒は葵のそばを離れないので、圭は見張り役として葵の部屋に残った


圭「美緒...その....」


俺は美緒の肩をさする、それしかできなかった。人を殺す事が快楽だった美緒が、初めて人を殺された事に悲しみを覚えているのだ。


美緒「殺す.....」


圭「...え?」


美緒「葵を殺した奴を、必ず殺す....犯人は私が見つける」


圭「そうだな。その時だけは、俺も協力してやる」


美緒が拳銃を持つ。犯人を探す気になったようだ、これで事件解決にかなり前進するだろう。そうして2人で食堂に向かう。


圭「すいません。遅れました」


暴念「おぅ...なんか、俺達すごく悪い事しちまったみたいだな」


三滝「あぁ、不安から不用意に傷付けてしまったようだ」


長宮「ま、やばい奴の集まりに1人だけお花畑な奴いたら怪しむだろ」


光莉「そもそもあーいうキャラ苦手だし」


美緒「殺してやる...」


圭「おい、美緒」


長宮「なんか友達殺されて怒ってる感じ出してるけどさ、それも疑わしいんだよな。美緒ってそんな奴だったか?」


ドスッ....


暴念が長宮のお腹を殴る


長宮「ぐっ...お前...」



三滝「とりあえず今の手掛かりはこの金庫の鍵だ、皆で探そう」



現在生き残っているのは6人。二手に別れて捜索する事になった



圭「美緒、犯人は誰だと思ってるんだ?」


美緒「今までの殺人、絶対天才にしか出来ない事だわ。3日間皆と過ごしたけど、少なくとも圭、光莉、暴念の頭では無理」


三滝「つまり俺か長宮と?」


美緒「でもこの殺人方法を、全て南一郎が画作した物だとしたら...」


圭「誰でもマネすれば殺せるってか」


三滝「南一郎の妻の事は知ってるかい?」


圭「聞いた事があります。たしか南一郎のミステリー小説を前編だけ見て解いた唯一の人なんですよね」


三滝「そう。前編だけ見て解いたのは日本で1人だけらしい、つまりその妻もまた天才と言うわけだ」


圭「じゃあその妻がXであり司令塔なのか...」


美緒「そんな事どうでもいいわ。見つけるのは南一郎を殺した奴じゃなくてその人を殺そうとしてる奴よ」


圭「大事な事だろ! 南一郎の殺人犯を見つけてからの方が自分の命も狙われずに済むし葵を殺した奴の手掛かりを得られるかも知れないだろ!」


三滝「その通りだな。南一郎殺人事件が解決すれば、旅館での殺人鬼は案外あっさり名乗り出るかも知れない」



光莉「皆ー! 金庫見つけたよーー!!」


光莉のいるグループが呼び寄せたのは愛花梨が死んでいた従業員休憩室だ


三滝「ここはチェックしたと思ったんだが」


長宮「この本棚見てごらん。古びた本ばっか並んでるのに、1つだけキレイな辞書がある」


暴念「で、開いて見たら小さな金庫になってたわけよ」


三滝「なるほど、じゃあ早速開けよう」



ガチャ...本の形をしたミニ金庫が開く。中には色々書かれたメモ用紙5枚程と原稿用紙多数、そして一部が切り取られている新聞紙が入っていた


美緒「この新聞紙の空白の部分って」


圭「あぁ!」


圭は急いで食堂の壁に貼ってあった新聞の切り取りを持ってくる


圭「ぴったりだ! これがおばちゃんの事件の全容」



"夫殺害疑惑・・60代妻は関与否定"


おばちゃんが殺された時食堂に貼ってあった切り取りを当てはめ、改めて新聞紙を読む


圭「天才作家南一郎が死亡した事件で、容疑者として疑われている妻の幸枝は一貫して関与を否定している....」


光莉「これってまさか」


三滝「おばちゃんは、南一郎の妻だったのか!!」



暴念「な...何だこれ」


暴念は入っていた原稿用紙を見て驚愕する


圭「どうしたんですか?」


暴念「書いてある事と今起こっている事...同じだ」



原稿用紙のタイトルは...



"殺人計画書 作 南一郎"






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