第3話 嘘つきの代償

愛花梨がテーブルの上で死んでいた。

その隣に置いてある新聞の切り抜きに書かれていたのは...



"両親殺害、犯人の少女Aは未成年の為実刑無し"



根岸が急いで愛花梨に駆け寄る


根岸「...駄目だ。腹部を何回も刺されてる」


長宮「両親殺害か。あ~あ、なんで正直に言わないかね」


暴念「全員殺人鬼だってのにまだ良い子ぶりたかったのか、フフッ」


葵「ちょっと!人が殺されてるんですよ!」


暴念「へいへい、悪かったね」



葵は人の死を見ても冷静な人達に腹が立った


光莉「犯人さ、目田じゃない? 愛花梨ちゃん可愛かったから襲いたかったとか」


目田「あぁ!? んなわけねぇだろ!」


光莉は昨日からやけに目田を煽る


三滝「床に血が付いている。引きずられた跡だ」


源田「厨房のようだな」


三滝「行きましょう」


不安で全員が厨房についてくる。血の跡は厨房を越え従業員用の休憩室まで続いていた。そして休憩室は部屋中血だらけになっている


圭「ここで殺されたのか」


美緒「見て! 壁に色んな部屋の鍵がかけられているけど、マスターキーだけ無いわ!」



光莉「犯人の手に渡った的な?」




チャリン...




源田がマスターキーとかかれた鍵を手に持っていた



圭「ちょっ...源田さんまさか!」


源田「念のため昨日全員が食堂から出た後休憩室にいる愛花梨さんを気絶させてマスターキーを奪っておいたのさ」

 

暴念「念のためって、お前なぁ!」


源田「ただこれで分かった事が2つある」


圭「分かった事?」


源田「1つ目。俺は休憩室を出ていく時愛花梨さんを心配して外側から部屋に鍵をかけていった。俺が飲ませた睡眠薬は闇市場で流通している最も効果の高い代物だ、朝まで起きる事は無い、つまり愛花梨さんが内側から鍵を開ける事は無いんだ」


三滝「なるほど、じゃあ源田さんのとは別に犯人もマスターキーを持っていると言う事か」


源田「あぁ、じゃなければ外から鍵を開ける事はできない。そして2つ目は、その全く眠りから覚めない状態の愛花梨さんを犯人は何回もナイフで刺した事だ。」


圭「つまり...犯人はサイコパス......」

俺は一瞬美緒の方を見てしまった。美緒は笑いを堪えるのが大変そうな顔だ


三滝「あくまで源田さんの言う事が本当なら、ということですが」


源田「まぁな、信じてくれなくても良いぜ」


長宮「ま、もう過ぎた事だし、とりあえず朝飯をどうするか考えよう」


葵「よく今そんな事言えますね!!」


長宮「嘘をつくのが悪いんだ、そういうお前こそ怪しいけどな、ドラマだと実はそういう良い人が犯人だったりとかよくあるしな」


光莉「それ言ったらドラマだとあんたすぐ殺される性格ね」


長宮「ハハハッ!」



葵「皆...おかしい」


美緒「本当にね...私は葵の味方だよ」


葵「美緒...」


(いやいや葵、そいつが1番ヤバいんだよ!

犯人に嘘がバレたら殺されるのに、未だに嘘をつき続けてるんだからな!)

と心の中で圭は叫んだ。


根岸「冷蔵庫に色々食料が入ってます、これを食べましょう」


暴念「おいおい、この死体つきテーブルで食えってのか?」


三滝「わかった、じゃあ今日の朝は各部屋で食べて、お昼までに男性陣で死体を外に運びテーブルを綺麗にしておきましょう。そして食事は毎日皆で食堂に集まり食べましょう。皆の生存確認ができないので」


根岸「賛成!」

圭「そうしましょう」


男性陣は10時に食堂集合になった。話が一段落して皆朝食を持ち各々部屋に戻る。源田とある人物を除いて......


源田「俺に何か用か?」


その人物は源田に手紙を渡し何事も無かったかの用に出ていった



---------------------



美緒「ふ~っ。あんなに何回も刺されてて、ゾクゾクする」


美緒の殺人衝動を揺さぶる殺され方だったらしい。


コンコンッ! 


美緒の部屋がノックされる


美緒「はーい!」


圭が来た!と思い部屋を開ける...すると開けたと同時に思いっきりお腹を殴られる


美緒「うっっ・・・」


殴った相手は....目田だ


美緒「キャーー!!!」


目田「お前が犯人なのは分かってんだぞ! 全て聞こえてたんだ! このサイコパス女!」


目田が美緒の部屋のイスを掴みふりかざそうとする


目田「おら!...おい離せ! やめろ!」


美緒の叫び声を聞いた葵が助けに来てくれたのだ


目田「てめーもグルか!」


目田は葵を蹴り飛ばし今度は葵にイスを振りかざそうとする






バーン!!!!!!





源田のピストルの音が鳴り響く


源田「そこまでだ」


目田「くっ・・」


長宮「なんだなんだ? ケンカか?」


男達が一斉に二階から降りてくる


圭「美緒! 大丈夫か!?」


美緒「圭...うん」


目田「この女が2人を殺したんだ! だってこいつは! 殺しを楽しんでいるんだ!!」


(まずい! 全部明かされる!)

と圭は恐怖し何とか誤魔化そうと俺は目田を殴った 


圭「美緒がそんな事するわけないだろ!」


これで圭も嘘をついた事になる。


葵「そうよ目田! あなたの方が信用ならないわ! ストーカー変態野郎!」


目田「何を!? このヤロ-!!!」



ドスッ・・



暴念が目田に強烈な一発を入れる。流石ヤクザ



光莉「こんな変態、部屋から出れない様に監禁しましょ」


全員で話し合い目田の両手両足を縛り猿ぐつわをして目田の部屋に返した。そして交代制でドアの見張りをする事になった。


俺は部屋で見張りの担当の時間まで寝る事にした



9時~10時 見張り役 光莉・美緒


美緒「目田に殴られた所まだ痛む...」

光莉「あのキモストーカー、死んじゃえばいいのに」



見張りの間ずーっと目田は叫んでいたが猿ぐつわでよく聞こえなかった



11時~12時 見張り役 圭・葵


葵「美緒と一緒に見張りじゃなくて良かったの?」

圭「カップルで見張りをすると共犯だったりかばったりするかも知れないって三滝さんが」


目田は疲れたのかずっと静かだった



13時になり次の見張り役の根岸と長宮がやってきた


根岸「おう圭!変わるよ」


圭「はい!お願いします」


葵「目田は静かです、寝たのかも」


長宮「案外死んでたりして、ハハッ」



...長宮の冗談で4人とも不穏な空気になる



暴念「どうした、皆暗い顔して」


ちょうど部屋から出てきた暴念も加わり、5人で目田の部屋を開けてみる事にした


ガチャ・・・ 


葵「ひいっ!」


長宮「これは!!」



目田が右目から血を流して死んでいる...




その頃源田はある人物から朝貰った手紙を確認していた


源田「フフッ、まさかこんな所で殺人の依頼をされるなんてな。しかもあいつが」


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