第六十九話 最初の村に到着
その後も休憩を挟みつつ、予定通りに今夜泊まる村に到着しました。
宿は食堂を兼ねていて、道中は昼食も食べていないのでさっそく昼食を食べることに。
「いらっしゃいませ、何にしますか?」
「焼き肉定食!」
「アオン!」
「グルル!」
カナさんの声に併せて、タマちゃんとムギちゃんも元気よく手を挙げています。
お腹空いているから、早く食べたいのでしょうね。
今日は焼き肉定食がお勧めらしいので、全員同じ注文にしました。
ではでは、さっそく頂きましょう。
「うーん、中々美味いわねー」
「あの、ハナちゃん、妖精がお肉を食べるの?」
「全然食べるよー」
切り分けてあげたお肉を美味しそうに食べるハナちゃんを見ると、私の中の妖精の概念が一気に崩れ去った。
まあ、考えてもしょうがないので私も焼き肉定食を堪能します。
そして、食事をしながら周囲の様子を見回します。
「うーん、昼食時を過ぎているからか、あまり人はいませんね」
「こればっかりは仕方ない。夕食時に状況を見ることにしよう」
「俺も賛成だ。じゃあ、昼食食べたらさっさと宿を取ろう。ずっと座りっぱなしだったから、流石に少し休みたい」
ということで、ブライアンさんとトールさんの意見も一致したので、私たちは昼食を食べて宿を取りました。
疲れたのもあるけど、不用意に出歩かないようにするのも目的の一つです。
私たちは、手早く昼食を食べ終えて、さっそく宿を取りました。
私とブライアンさんは一部屋なんですが、ドールさんたちは三人で一部屋でした。
「あの、トールさん、色々と大丈夫なんですか?」
「仕方ないんだよ。初めての場所だと、神経質なマナが眠れない時があるんだ。こういう時は、いつも三人一部屋だ」
うーん、いくら幼馴染とはいえ男性一人に女性二人が一緒の部屋でいいのかと思ってしまいます。
しかし、部外者があれこれ言えないので、ここはお任せします。
私たちは、二段ベッドが置かれているシンプルな部屋に入ります。
すると、みんなが一番下のベッドに入って固まりました。
「あらら、みんな眠たいのかな?」
「ふわーいー」
「ワフー」
「グルッ」
みんな私の方に向くと、そのまま可愛らしく寝ちゃいました。
私も懐中時計型魔導具のタイマーをセットして、ベッドに潜り込んでしばしのお昼寝タイムです。
「おお、いっぱいいるね!」
夕方になったので、早めに夕食を食べます。
昼食時とはうって変わって、食堂には多くの人で溢れていました。
でも、簡単に周囲の気配を探るけど、怪しいものはなかった。
それは、ブライアンさんとトールさんも同じだったみたいで、私にこくりと頷いてくれた。
それよりも、タマちゃんたちが大人気だった。
「はー、スライムにコボルト、更にはドラゴンに妖精か。凄いメンツだな」
「俺も妖精は見るが、仲間にしたのは初めて見るな」
「というか、ドラゴンを従魔にする奴なんていたんだな」
ブライアンさんとかがいるので手は出さないけど、それでも多くの人たちが私たちのテーブルに注目していた。
残念ながら、タマちゃんたちは目の前にあるステーキ肉に熱い視線を送っていたけど。
こうして、一日目は無事に終わりを告げました。
明日はいよいよセレスティア伯爵領に入るそうなので、私たちも早く寝ることにします。
「じゃあ、明日も朝早いから寝坊するなよ」
「えー!」
「ワフー!」
「グルル!」
締めのブライアンさんの話に、朝弱い組が非難の声を上げていた。
うん、馬車は待っていてくれないから、嫌でも早く起きましょうね。
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