第六十六話 いよいよ出発前日
そして、セレスティア伯爵領に向かう前日、またまた私たちは朝から冒険者ギルドに集まりました。
大会のエントリーに必要な用紙が配られるそうです。
タマちゃんは私の隣に座っていて、私を挟んで反対側にムギちゃんとグミちゃんがこれまたちょこんと座っています。
個室で待っていると、ブライアンさんとともに受付のお姉さんも部屋に入ってきました。
「じゃあ、まずは冒険者ギルドからの用紙を渡します。ここには、冒険者としての実績が記載されていますので、無くさないようにして下さい」
「実績を誇大に書いて申請する馬鹿が、たまにいるんだわ。そんな奴は、小者が殆どだがな。だから、冒険者に関しては冒険者ギルドが実績を出すことにしている。何せ、全ての依頼内容か記載されているからな」
一枚の紙を私とトールさんたちに渡してきて、名前などを確認します。
過去の大会実績が無い申込者の場合、シード枠などの参考にするそうです。
実力に見合った内容を出さないと、恥をかくのは自分でしょう。
さてさて、私はなんて書いてあるかな?
「えーっと、依頼達成率百パーセント。ゴブリンキングを単独討伐。新人冒険者の講習補佐や、教会での治療などを指名依頼として受領」
うーん、全く間違ってはいないんだけど、改めて文面で見ると凄いことが書いてあるなあ。
まだ冒険者になって、三ヶ月経っていないんだよね。
無くさないように、配られた用紙を魔法袋にいれます。
トールさんたちも、マナさんの魔法袋に用紙をまとめてしまっていました。
トールさんは大丈夫だけど、カナさんは用紙を無くしそうだもんなあ。
そして、ブライアンさんが明日の予定について話しました。
「明日は、朝早くに冒険者ギルドに集合だ。今日のうちに、宿の退出手続きをしておけ。暫くこの町から不在になるからな」
あっ、そうか。
当面はセレスティア伯爵領で活動するから、他の人のためにも部屋を空けないといけない。
宿に帰ったら、早速手続きをしておこう。
幼馴染三人組は、トールさんが既に手続きを終えているそうです。
話はこれで終わりだそうだけど、今日は明日に備えて何も予定を入れていません。
トールさんたちも、同じだそうです。
そんな私たちに、ブライアンが一言。
「じゃあ、お前らは事前準備も済ませているし、今日一日何も用事が無いって言っていたから講師をやってもらおう。薬草採取講座の講師だ。マイが講師で、三人が補助だな」
「あの、だから今日は何かあるといけないから、何も予定を入れないでいたんですけど……」
「優秀な冒険者がいるって事は、とても良いことだ。講師を予定していた爺さんに用事ができてしまったから、代役を探していたんだよ」
ブライアンさんがニヤリとしながら話をしたけど、流石にこれは無いと思ったよ。
トールさんとマナさんも、私と同じく思わず苦笑してしまいました。
「よーし、がんばるぞー!」
「アオン!」
「グルル!」
カナさんとうちのメンバーは、かなりやる気を見せていました。
まあ護衛は大丈夫かなと思いつつ、私たちはソファーから立ち上がって講習が行われる部屋に向かいました。
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