第六十四話 旅の準備を行います
訓練や依頼の合間に、旅に向けての準備も進めます。
今日は商会に寄って品物を揃えた後、屋台に行って食べ物を購入します。
魔法袋に入れておけば、食べ物も飲み物も腐ることはありません。
水魔法が使えるマナさんと一緒に行くとはいえ、水も確保していた方が良いですね。
こうして確認すると、準備するものは沢山あります。
「まずは、商会に行こうね」
「アオン!」
「ガウッ!」
私の声に、グミちゃんは触手をふりふりして、タマちゃんとムギちゃんは元気の良い声を上げました。
グミちゃんは空を飛ぶムギちゃんの背中に乗って、スタンバイオッケーです。
さっそく、町に繰り出します。
「あっ、ドラゴンさんだ!」
「ギャウ」
ムギちゃんの存在もだいぶ町の人に知られたので、特に小さな子どもから声をかけられます。
ムギちゃんも、愛想よく手を振っています。
ついでにタマちゃんも手をフリフリしていて、子どもに頭を撫でられています。
そんなほんわかとした雰囲気の中、私たちは商会に到着しました。
「えーっと、毛布もだし、ポーションと毒消しポーションと……」
私は、旅に必要なものを購入していきます。
野営訓練をしたから殆どの装備は揃っているけど、ムギちゃんの分とかを追加購入します。
そして、またもやグミちゃんが趣味の悪いバンダナを選んでいました。
まるで海賊船に乗っている船員みたいなドクロマークが描かれているバンダナなので、もちろん却下しました。
タマちゃんとムギちゃんはとってもプリティーな女の子なので、可愛らしいものの方が似合います。
因みに、道中は二か所の村に泊まる予定なんだけど何があるか分からないもんね。
こうして、商会での買い物も無事に終わり、今度は昼食を兼ねて屋台のある市場に向かいます。
「おお、ドラゴン使いのねーちゃんか。今日はどうした?」
ムギちゃんを連れて屋台に来るので、屋台のおじさんにドラゴン使いだと思われています。
でも、ムギちゃんを使役しているわけじゃないし、みんなお友達なんだよね。
そして、みんな屋台の料理を見て涎を垂らしていますね。
「隣のセレスティア伯爵領で行われる武道大会の道中で食べる用に、屋台の料理を食べにきました。あと、今日の昼食の分です」
「おーおー、あの大会か。ねーちゃんなら、良いところに行くだろう。何せ、ねーちゃんはゴブリンキングを倒したもんな」
私と話をしつつ、店主のおじさんは手際よく野菜たっぷりのお肉サンドを用意してくれました。
必要な分以外は、魔法袋の中に入れておきます。
私たちは広場に行き、噴水の端っこに腰掛けました。
お肉サンドをみんなに渡すと、一斉に食べ始めました。
「「ムシャムシャパクパク」」
みんな、とっても良い食べっぷりですね。
私も、お肉サンドを食べよう。
「やっぱり、ここのお肉サンドは逸品だね。本当に美味しいよ」
タレもスパイシーだし、お肉もいい焼き加減で野菜もシャキシャキです。
もうヘビーローテーションになっています。
みんなも、あっという間に完食してしまいました。
ついでだから、市場に寄って野菜やお肉を買っておこう。
そう思ったら、目の前にチャラチャラした如何にも頭が軽そうな集団が私たちの前に現れました。
「へへへ、ねーちゃんよそのドラゴンを置いていきな」
「ついでに有り金もぜーんぶ置いていってくれると助かるぞ」
「なーに、全て置いていけば痛い目には合わないぜ」
ムギちゃんを連れていると、たまにムギちゃんを捕まえようとする馬鹿が現れます。
こいつらも、楽して金儲けしようとしているみたいですね。
うん、早々に退場してもらいましょう。
シュイーン、ズドンズドンズドン。
「「「ギャー!」」」
グミちゃんのエアーバレットが炸裂し、三人組は派手に吹っ飛びました。
うん、頭だけじゃなくて中身も空っぽだからよく吹っ飛んだね。
そして、人の多い広場で騒ぎを起こせば、当然の如く守備隊がやってきます。
「マイよ、この馬鹿はそのドラゴンを奪いにきたのか?」
「あと、私の有り金も置いていけと言いました。グミちゃんに吹き飛ばされましたけど」
「ははは、スライム以下の実力か。じゃあ、たっぷり絞り上げておくわ」
「「「きゅー……」」」
守備隊員は、馬鹿三人組を縛り上げて運んで行きました。
この後、三人組には厳しい取り調べが待っています。
さあ、市場に行って買い物をしてこようっと。
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