第十一話 強者どもが勢ぞろい
「ジェフさんの教え方、とても分かりやすかったです!」
「みんなに説明しているジェフさんが、とってもカッコよかったです!」
「凄い冒険者って、何でもできるんですね」
部屋から外に出て訓練場に移動する間も、ジェフさんの周りには新人女性冒険者がくっついています。
アクアさんの嫉妬メーターがうなぎのぼりだけど、時々ちらちらとアクアさんに視線を合わせる辺り、ジェフさんは気配り上手ってところもありそうだ。
ここは私がアクアさんに話をして、アクアさんの気を紛らわそう。
「ジェフさんって、本当にモテモテですね」
「まあ外見と口先は上手いから、よく女子がくっついてくるんだよね。その点、マイちゃんはそこまでジェフになびいていないわね」
「あー、うん。何というか、ジェフさんとは年も離れているのでお兄さんって感じなんですよね。だから、初見であまり恋愛対象って感じにはならなかったです」
「ふふ、そういう事ね。何となく私にも分かるわ」
話のきっかけはジェフさんの事だったけど、何とかアクアさんの気を紛らわせたみたいです。
こうしてアクアさんとお喋りをしながら、訓練場に到着です。
訓練場は平らな土の広がったところを、木の柵で囲っただけの簡素な作りです。
すると、二人の中年男性と一人の女性が私たちを待っていました。
「おう、待っていたぞ。面白い人材がいるって聞いたから、かなりワクワクしていたぞ」
「ボーガンは、本当に昔から強い相手にワクワクしているな。今もまるで子どもみたいだぞ」
「ふふ、それがこの人の良いところですから」
な、何だか目の前にいる三人がとってもキラキラした目で私とグミちゃんの事を見ているけど、きっと気の所為であって欲しいなあ。
だって、三人ともツワモノのオーラが溢れ出ているんだもの。
一番背の高い茶髪短髪の人は鍛え上げた筋肉隆々の体で、背丈ほどのかなり大きな剣を背負っていた。
緑色の短髪であごひげのある男性も、背丈ほどではないがかなりの大きさの剣を背負っていた。
赤いロングヘアの背の高い女性も、ドレスみたいな冒険服に双剣を装備していた。
そして、女性はスタイル抜群で胸もかなり大きかった。
「おう、全員揃って……ないな。四人ほど足らないぞ」
「あっ、さっき座学の時に眠っていた奴ですね。モヒカン頭をトップにした四人組です」
「ちっ、仕方ないな。来たら真っ先にやらせ、おっ、慌てながら走ってきたぞ」
ジェフさんと緑髪の男性が話をしていたら、私たちの背後から誰かが走ってきた足音が聞こえてきた。
みんなで振り返ったら、やっぱりというかあのモヒカン頭の大男達がやばいって顔をしながら走ってきた。
うん、みんなモヒカン頭達を見てクスクスと笑っているけど、私もグミちゃんもみんなの気持ちは分かるなあ。
「て、テメーら、俺の事を起こ……」
「よーし、元気な四人組が来たな。では、さっそく実技を行って貰おうか」
「「「「はっ?」」」」
あっ、茶髪の人がニヤリとしながら四人組の事をロックオンしているね。
良いオモチャを見つけたって表情をしていて、緑髪の人も赤いロングヘアの女性もニヤリとしていた。
うん、この時点でモヒカン頭達の運命は決まったね。
「そこの四人組、さっさと訓練場の中央に行け! ああ、言い忘れたが俺はボーガン、冒険者ギルドマスターだ!」
「「「「へっ?」」」」
モヒカン頭達は、再度間抜けヅラで固まっちゃいました。
うん、茶髪の中年男性は冒険者ギルドマスターか。
そりゃ、強いオーラが出ているはずだよ。
「ふむ、俺も自己紹介した方が良さそうだな。俺はブライアン、新人冒険者の指導役だ。まあ、馬鹿な事をしなければ何もやらんよ。馬鹿な事をしなければ、な」
「私は副ギルドマスターのフレイよ。ギルドマスターの妻でもあるわ。ふふ、今回は生きの良い新人冒険者がいるみたいね」
「「「「あわわわ……」」」」
そして緑髪の短髪のブライアンさんは指導役で、赤いロングヘアのフレイさんがギルドマスターの奥さんで副ギルドマスター。
うん、二人ともとっても良い笑顔をしているし、モヒカン頭達はとってもやばい状況だと理解したみたいだ。
と、ここでやる気満々の三人を制してアクアさんが前に出てきた。
「申し訳ありません。あのモヒカン頭だけは、私にやらせて貰えないでしょうか?」
「ええ、もちろんよ。アクアちゃんは講師なのだから、積極的に意見を言って良いのよ」
「フレイさん、ありがとうございます」
そっか、あのモヒカン頭はジェフさんを睨みつけていて、その際にアクアさんがモヒカン頭に殺気を放っていたもんね。
しかし肝心のモヒカン頭は、アクアさんの殺気に気が付かないレベルだ。
「このアマ、俺様に喧嘩を売ろうなんて。ぶっ殺してやる!」
そして、さっきまで顔色が真っ青だったモヒカン頭が復活して顔を真っ赤にしていた。
でも、アクアさんはそんなモヒカン頭をガン無視してフレイさんにお礼を言っていた。
そしてアクアさんは、ダガータイプの木剣を二振り手にして訓練場の中心に移動した。
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