歌舞伎町・傷だらけの天使

島原大知

本編

第1章


ネオンが煌めく歌舞伎町の夜。雑多な人々が行き交う中、ミニスカートに身を包んだ少女が佇んでいた。速水杏奈、17歳。彼女は生活のために、この街で体を売っている。


「お兄さん、一緒に楽しまない?」甘い声で客引きをする杏奈。大胆な露出に、嫌悪の眼差しを向ける人もいるが、彼女はそれに慣れていた。

杏奈の瞳は、どこか冷んやりとしている。幼い頃から、両親から愛情など受けたことがない。母親は彼女が5歳の時に蒸発し、残された父親は酒浸りの日々で、娘に暴力を振るうのが常だった。

「お前なんか産まなきゃよかったんだ!」杏奈を罵倒する父の姿が脳裏をよぎる。家庭と呼べるものがなかった彼女は、やがて施設に保護されるが、そこでも居場所を見出せずにいた。大切にされた記憶がないまま、杏奈は一人社会に放り出された。


そんな彼女が今夜、待ち合わせているのは、常連の中年男だ。ラブホテルの一室。杏奈は無表情で、男の欲望を受け止める。

「お前、最近生意気になったな」男が不機嫌そうに呟く。何かにつけて暴力をふるう客だ。杏奈は顔を背ける。

「うるせえ!」突然、男が杏奈を殴りつけた。「わかったわよ、ごめんなさい…」杏奈は平謝りだ。

しかし男の怒りは収まらない。杏奈の細い腕を掴み、何度も打ちつける。あまりの痛さに杏奈の意識が遠のいていく。

やがて男は満足したのか、ぐったりとした杏奈を置いて、部屋を出ていった。蹲る杏奈。傷だらけの身体に、自己嫌悪が募る。

「私なんて、死んだ方がマシなのかも…」体中が痛む中、杏奈はふと、そう考えた。


力なく立ち上がった杏奈は、ふらつきながらホテルを後にする。雨に打たれながら、彼女はゆっくりと歩みを進めた。冷たい雨粒が、熱を持った頬を冷やしていく。目的もなく横断歩道を渡ろうとした、その時だった。

激しい眩暈に襲われ、杏奈はそのまま倒れ込んでしまう。意識が遠のく中、雨に濡れたアスファルトの冷たさを感じた。

「ねえ、大丈夫!?しっかりして!」遠くで、誰かが呼びかける声が聞こえる。杏奈の瞼が、ゆっくりと閉じられていく。


次に杏奈が目覚めた時、そこは見知らぬアパートの一室だった。自分を助け、運んでくれた青年・工藤健太に看病されながら、彼女は自問する。

「私、こんな風に助けられていいの…?」長年の孤独が、杏奈の心を脆くしていた。

健太は微笑みながら言う。「君は一人じゃないんだ。大丈夫、乗り越えよう」

不安に揺れる杏奈。それでも健太の言葉に、彼女の心に小さな灯火が灯る。

杏奈は初めて、自分を受け止めてくれる他者の存在を感じていた。人を信じること。本当の自分を愛すること。

杏奈の、新たな一歩が始まろうとしている。


第2章


健太のアパートで目覚めた杏奈は、自分の身に起きた出来事を思い出していた。見知らぬ青年に助けられ、その家で看病されている。戸惑いを隠せない。

「気分はどう?」健太が心配そうに尋ねる。「あ、はい…だいぶ良くなりました」そう答える杏奈だが、本心では困惑していた。自分のような者を、見ず知らずの人がここまで親切にするなんて。

部屋は質素ながら整頓されている。本棚には、健太の学生時代のテキストが並んでいた。杏奈は、自分とは全く違う世界に存在する健太という人物に、少しだけ興味を抱いていた。

「あの…どうしてわたしを助けてくれたんですか?」ふと、そんな疑問が口をついて出た。健太は困ったように微笑む。

「君が倒れているのを見て、放っておけなかったんだ。それに、君は安全な場所で休養を取る必要があった」優しい口調で健太は答える。杏奈の中に、言葉にできない感情が芽生え始めていた。


しかし心の奥底では、自分を受け入れてもらえるはずがないと自嘲する気持ちもあった。杏奈の脳裏に、辛く悲しい過去の記憶がよみがえってくる。

幼い頃、母親からは無視され、父親からは虐待を受けていた杏奈。泣き叫ぶ自分に、両親は「うるさい」の一言で罵声を浴びせるだけだった。

母が家を出て行った後、父の暴力はエスカレートしていく。小さな体に怯えながら、杏奈はただ耐え続けるしかなかった。

「どうして、私はこんな目に遭うんだろう…」幼心ながら、杏奈はいつもそう自問していた。


一方、健太にも辛い過去があった。幼い頃に両親を事故で亡くし、親戚をたらい回しにされた後、孤児院での生活を余儀なくされる。

周囲から愛情を注がれない日々の中で、健太は自分の存在価値を見出せずにいた。大人になった今も、自己肯定感の低さに悩まされ続けている。

「自分なんて、無力で情けない…」健太もまた、自分を受け入れられずにいた。そんな彼が杏奈を助けたのは、彼女の孤独が自分と重なって見えたからかもしれない。


「私みたいなくずは、助けられる資格なんてないのに…」ふと、杏奈がつぶやいた。その言葉に、健太は驚いたように杏奈を見つめる。

「君は、くずなんかじゃない。君には、君にしかない価値があるんだ」真摯な眼差しで、健太は語りかける。杏奈の心に、温かいものが広がっていく。

涙があふれて止まらなくなる杏奈。「泣いてごめんなさい…こんなの久しぶりで…」と、杏奈は嗚咽まじりに言葉を紡ぐ。

健太は何も言わず、そっと杏奈の頭を撫でた。互いの心の傷を分かち合うように、二人はしばらくの間、沈黙を保った。


こうして数日が経過し、杏奈の心身は少しずつ癒されていった。しかしまだ、自分の過去と向き合う勇気が持てずにいた。

「私、健太さんに感謝してます。だから…」歌舞伎町に戻る、と言い出す杏奈。健太は何かを言いたげに杏奈を見つめる。

「君は、もう戻る必要はないんだ。新しい人生を歩み始めよう」そう言って、健太は杏奈の両肩に手を添えた。

杏奈は驚きを隠せない。自分を必要としてくれる人がいる。そう実感した瞬間だった。

「私…今までありがとうございました!」礼を言って、一度健太の家を後にする杏奈。しかし、心の中では彼への想いが募っていた。

杏奈はこれまでの生き方を改め、真面目に働こうと決意する。「健太さんに、もう心配かけたくない」そんな思いを胸に、彼女は一歩を踏み出した。


第3章


健太の家を出た杏奈は、真面目に働こうと決意していた。しかし、彼女にはまだ歌舞伎町の生活が染み付いている。派手な服装に身を包み、街を歩く姿は、昨日までの彼女と変わりなかった。

「お兄さん、良かったら…」客引きをしそうになる杏奈。「あっ…」ふと、我に返る。健太への想いが、彼女を正気に引き戻した。

「私、何やってるんだろう…」自分を情けなく思う杏奈。一朝一夕では、変われない自分がいる。それでも、健太のために頑張ろうと心に誓うのだった。


そんな折、健太に大きな問題が発生していた。実は彼は、莫大な借金を背負っていたのだ。かつて両親の遺した借金の保証人となり、返済に追われる日々を送っていた。

「もう、限界かもしれない…」借金取りに脅され、途方に暮れる健太。自分の無力さを嘆き、打ちひしがれてしまう。

そんな健太の姿を、杏奈は偶然目撃してしまう。「健太さん、どうしたんですか…?」そっと、杏奈は声をかけた。

「杏奈、君に心配かけたくなかったんだ。実は俺、借金があって…」健太は観念したように、事情を話し始める。金額を聞いて、杏奈は言葉を失った。


「私が何とかします。必ず、健太さんを助けます!」杏奈は必死だ。健太に借りがある。今度は、自分が彼を助けるんだと強く心に決める。

杏奈は昼夜を問わず、必死に働き始めた。コンビニ、ファミレス、居酒屋。休む間もなく、バイトを掛け持ちする。

「くたくたになるまで働いて、健太さんの借金を返すんだ…!」杏奈の瞳には、強い決意の炎が宿っていた。


一方健太も、自分の弱さと向き合い始めていた。「俺は、逃げ続けていたんだ」過去のトラウマに怯え、借金から目を背けていた自分を認める。

「もう、逃げない。立ち向かう!」健太は、アルバイトの面接に臨んだ。何度も不採用になり、くじけそうになる。それでも、杏奈を思い浮かべ、頑張り続けるのだった。

「俺にも、できることがあるはずだ。杏奈のためにも、前を向いて生きよう」健太の心に、変化が芽生え始めていた。


ある日、杏奈がふと立ち寄ったのは、健太の勤めるファミレスだった。「いらっしゃいませ!」爽やかな笑顔で接客する健太の姿を見て、杏奈は胸が熱くなる。

「私、健太さんのこと、好きかも…」そう気付いた時、杏奈の世界は輝きに満ちた。自分の気持ちに素直になることで、生きる力が湧いてくるのを感じる。

杏奈は健太に、バイト代を借金返済に充てたいと申し出る。「俺も、精一杯働くよ。一緒に、乗り越えよう」二人は固く手を握り合った。


こうして二人は、力を合わせて借金返済に励んだ。夜遅くまで働き、疲れ果てた身体を引きずりながら、それでも希望を抱き続ける。

「杏奈、俺は君に助けられたんだ。君と出会えて、本当に良かった」ある日、健太が真っ直ぐに杏奈を見つめて言った。

杏奈の目に、熱い涙が溢れる。「私も、健太さんに出会えて良かった。私、健太さんが大好きです…!」思わず、告白してしまった杏奈。

健太は驚いた表情を見せる。だが、すぐに優しい笑顔になり、杏奈を抱きしめた。「俺も、杏奈が好きだ。これからは、二人で歩んでいこう」


借金を完済した日、二人は歌舞伎町の片隅で見つめ合った。これまでの苦労が、遠い過去のことのように感じられる。

そっと、健太が杏奈にキスをした。歌舞伎町のネオンが、二人の新たな門出を祝福するかのように、きらめきを放っていた。

「杏奈、俺と一緒に歩いてくれるかい?」「はい、健太さん。どこまでも、ついていきます」二人は手を携え、輝ける未来に向かって歩き出すのだった。


第4章


借金を完済し、新たな一歩を踏み出した杏奈と健太。しかし、人生の試練は、またしても二人の前に立ちはだかる。

ある日、杏奈の前に突如現れたのは、服役を終えた父親・良夫だった。「杏奈、久しぶりだな」刺青の入った腕を見せつけるように、良夫は不敵な笑みを浮かべる。

「お父さん…どうして…」動揺を隠せない杏奈。幼い頃の記憶が、走馬灯のようによみがえってくる。暴力、罵声、恐怖。忘れたいと思っていた過去が、再び杏奈の前に姿を現した。


「お前、俺の所に戻ってこい。親子やろ?」強引に杏奈の腕を掴む良夫。「嫌です!私は、もうお父さんの言うことは聞きません!」必死で抵抗する杏奈。

「杏奈!」そこへ駆けつけたのは、健太だった。「お前、杏奈に何しようってんだ!」怒りに震える健太。良夫は舌打ちをし、嫌々杏奈から手を離した。

「邪魔すんじゃねえよ、ガキが」捨て台詞を吐き、良夫はその場を去っていく。「杏奈、大丈夫か?怖かっただろう…」健太は優しく杏奈を抱き寄せた。

「私、こんな父親だなんて…恥ずかしくて、言えなかったの…」涙ながらに、杏奈は告白する。健太は黙って、杏奈の背中をさすった。


良夫の出現は、杏奈の心に大きな動揺を与えていた。「私、父さんと同じ道を歩んでしまうんじゃないかって…怖いんです」ふと、杏奈がつぶやく。

「杏奈は杏奈だ。君は、君の人生を歩めばいい」真っ直ぐに杏奈の瞳を見つめ、健太は言った。杏奈の心に、健太への想いがますます募っていく。

そして健太も、杏奈との日々の中で、変わりつつあった。「俺、杏奈と一緒にいると、強くなれる気がするんだ」そう告げる健太の表情は、以前にも増して凛々しい。

互いを思いやる二人の姿は、周囲の人々を微笑ませた。「あの二人、本当に仲良しねえ」「若いっていいわねえ」通りすがりの人が、そんな会話を交わしている。


杏奈は、健太との未来を真剣に考え始めていた。「私、健太さんと一緒に歩み続けたい」そう決意を固める杏奈。しかしその陰で、良夫の脅威は去ってはいなかった。

「杏奈、お前は俺が育てた。俺の言うことを聞け」再び現れた良夫は、以前にも増して攻撃的だ。杏奈は怯えながらも、毅然とした態度で立ち向かう。

「お父さんとは、もう違う道を歩みます。私には、私の人生があるんです」涙を浮かべながら、それでも力強く、杏奈は宣言した。


そんな時、事件は起こった。良夫が、刃物を取り出したのだ。「杏奈、お前だけは渡さねえ…!」錯乱した良夫は、凶器を振り回し、襲いかかってくる。

「杏奈、危ない!」咄嗟に飛び出してきたのは、健太だった。杏奈をかばうように立ちはだかり、健太は良夫に立ち向かう。

「お前らは俺から、全部奪っていくのか…!」悲痛な叫び声を上げる良夫。だが健太は、毅然とした表情で言い放った。

「奪ったんじゃない。杏奈は、自分の意志で歩き始めたんだ」その言葉に、良夫は力なく項垂れる。刃物を取り落とし、良夫はその場に崩れ落ちた。


事件は警察沙汰となり、良夫は再び刑務所へと送られることになった。杏奈は複雑な心境だったが、健太の励ましもあり、前を向いて生きる決心をする。

「私、健太さんと一緒なら、どんなことでも乗り越えられる気がする」そう告げる杏奈に、健太は優しく微笑んだ。

二人は改めて、お互いの気持ちを確かめ合った。「杏奈、俺と結婚してくれないか?」健太が、真摯な眼差しで告げる。

「はい、喜んで…!」杏奈は、迷うことなく答えた。歌舞伎町のネオンが、二人の決意を祝福するかのように、きらめきを放っていた。


第5章


健太からのプロポーズを受けた杏奈。彼女の心は、喜びと期待に満ち溢れていた。「私、健太さんと結婚できるなんて…夢みたい」そう呟きながら、杏奈は健太の手を強く握り締める。

「俺も、杏奈と一緒になれて本当に嬉しいよ」健太の瞳は、愛おしさに満ちている。二人は歌舞伎町の喧騒の中で、お互いの体温を感じながら佇んでいた。

やがて、二人の結婚式の日がやってきた。式場は、花々で飾り付けられ、祝福の空気に包まれている。真っ白なウェディングドレスに身を包んだ杏奈は、まるで天使のように美しかった。

健太も、凛々しいタキシードに身を包み、緊張した面持ちで杏奈を見つめている。「本日は、お二人の門出をお祝いするために、皆さまにお集まりいただきました」司会者の声が、会場に響き渡る。


杏奈は、これまでの人生を思い返していた。辛く苦しい日々の連続。そんな中で、健太との出会いは、彼女に生きる希望を与えてくれた。

「健太さん、私を見捨てないでくれて、ありがとう」涙ながらに、杏奈は健太への感謝の気持ちを伝える。健太は優しく微笑み、杏奈の手を取った。

「杏奈、君は俺に勇気をくれた。君と出会えたことが、俺の人生最大の幸せだ」真っ直ぐに杏奈の瞳を見つめ、健太は誓いの言葉を口にする。

神父の「お二人の永遠の幸せを願っています」という言葉に、会場は温かな拍手に包まれた。杏奈と健太は、笑顔で見つめ合い、深く口づけを交わした。


式が終わり、二人が歩み出したのは、煌めくネオンに彩られた歌舞伎町の街並みだった。

「ここは、私たちの出会いの場所。それから、たくさんの思い出が詰まってる」杏奈が感慨深げに呟く。

「ああ。この街で、俺たちは新しい人生を始めるんだ」健太も、深い感情を込めて応える。

二人は寄り添いながら、歌舞伎町の通りを歩いていく。ネオンサインが、二人の幸せを祝福するかのように、鮮やかな光を放っている。


新婚生活が始まり、杏奈と健太は小さいながらも幸せな日々を送っていた。

「健太さん、お帰りなさい!ご飯にする?お風呂にする?それとも…私?」甘えるような口調で、杏奈が健太を出迎える。

「う〜ん、難しい選択だなあ。全部、欲しいかも」健太は悪戯っぽく微笑み、杏奈を抱きしめた。

寛いだ雰囲気の中で、二人は日々の出来事を語り合う。健太の仕事の話、杏奈の新しい趣味の話。何気ない会話の中に、温かな幸せが満ちている。


そんなある日、杏奈は健太に重大な報告をしていた。「ねえ、健太さん…私、赤ちゃんができたみたい…!」嬉しそうに、杏奈は伝える。

「え…本当に!?杏奈、俺は…俺は今、世界一幸せな男だ…!」健太は驚きと喜びに包まれ、杏奈を力強く抱きしめた。

「私も、健太さんとの子供が産めるなんて…幸せです」杏奈の瞳は、喜びの涙で潤んでいる。

二人は生まれくる命への愛おしさを感じながら、より強い絆で結ばれていった。


月日は流れ、杏奈はお腹を大きくしていた。健太は、杏奈の体調を気遣いながら、赤ちゃんの誕生に備える。

「杏奈、無理しちゃダメだからね。何かあったら、すぐに言うんだよ」優しく寄り添う健太。杏奈は幸せそうに微笑み、うなずいた。

そして、待ちに待った出産の日がやってきた。陣痛に耐えながら、杏奈は健太の手を握り締める。「健太さん…!私、頑張る…!」必死の形相で、杏奈は力む。

「杏奈、一緒に頑張ろう!もう少しだ!」健太も、精一杯の励ましの言葉をかける。

やがて、赤ちゃんの泣き声が病室に響き渡った。「おめでとうございます!元気な女の子ですよ!」医師から赤ちゃんを受け取り、杏奈は感動で胸がいっぱいになる。

「小さな命が…私たちの元に…!」涙を流しながら、杏奈は赤ちゃんを抱きしめる。健太も感無量の面持ちで、二人を見守っていた。


「杏奈、ありがとう。君が、俺に家族をくれた」赤ちゃんに語りかける健太。杏奈は幸せに満ちた笑顔で、健太に寄り添う。

「私たちの宝物…大切に育てていきましょうね」杏奈の言葉に、健太も力強くうなずいた。

窓の外では、煌びやかな歌舞伎町の景色が広がっている。杏奈と健太の新しい人生の幕開けを、祝福しているかのようだ。

「この子と、健太さんと…幸せな家庭を築いていくわ」杏奈は、健太と赤ちゃんを見つめながら誓った。

健太も、愛おしさに満ちた表情で二人を抱き寄せる。「俺も、杏奈と、この子のために生きていく」

歌舞伎町が、二人の決意を見守るように、きらめく光を放っていた。杏奈と健太の歩む未来に、希望に満ちた風が吹き抜けていく。

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歌舞伎町・傷だらけの天使 島原大知 @SHIMAHARA_DAICHI

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