第25話 許されないこと

 そう、中学の頃の思い出を語ろうか。あの時、俺はとんでもないことをやってしまったんだ。まだ未熟な頃だったけど、その言い訳にはならない。


 きっとみんなも経験があるだろう。中学生の時、ある女の子に一目惚れして、頭の中は彼女のことでいっぱいだったんって。どうしても忘れられない。


 あの時、初めて自分が恋に落ちたことに気づいたんだ。


 あの子は可愛い顔立ちと神聖な雰囲気を持ちながら、少し優しい一面もあって。未熟な俺は彼女に心を奪われてしまったんだ。


 でも、その頃の俺はまだ恋愛のことをよくわかっていなかったし、どうやって女の子に対しての恋愛感情を正しい認識をするのか全然知らない。


 それに加えて、ちょうど中二病の時期でもあったから、自信に溢れた思春期だったんだ。だけど、まさにその性格が後の出来事を引き起こすことになるんだ。


 当時一番悩んでいたのは、どうやって彼女に自分のことを好きになってもらうなんだ。一人だけじゃ上手な策が思いつかないと思ったから、自分の想いを身近な友達に打ち明けたんだ。


 まあ、中学にはいつも物事を盛り上げる友達がいっぱいいるから、俺があの子のことを好きだという情報がすぐに広まったんだ。クラス中が知ってしまったんだよ、あの子自身も含めて。


でも、それほど問題じゃないと思ってたんだ。あの子に知られても、俺が努力すればあの子を手に入れられると思ってたからさ。


 だから、その後は毎日自信を持って告白し、あの子のために様々なことをして、あの子の心をつかむことができると信じていた。


 クラスメイトたちのからかいも少しずつはまっていき、いつかあの子は俺に惹かれる日が来ると確信してたんだ。


 バカみたいな考えだろう? 実際の状況は、あの子は俺のことを全く好きじゃないし、俺がしていたことはあの子にとってただの迷惑なだけだった。


 でも当時の俺は本当にバカだから、そんな当たり前のことさえ理解できなかった。だから未熟な行動がエスカレートしていたんだ。


 俺からの嫌がらせは半年ほど続いた。ある日、あの子が俺を学校の裏に呼び出してしっかり話し合おうと言ってきたんだ。


 その時の俺はきっと告白の準備をしてくれたんだと思って、長い努力の結果が報われる瞬間が来たんだと思った。でもあの子が俺に告げた言葉はまさに衝撃だった。


「私は……私はっ……! あんたのことが大嫌いだあぁ!!!!」

「……え?」


 想像どうりとまったく違う言葉を聞いただとは全然思わなっかた。


「あんたが今までしてきた行動がどれほど私にとっての嫌がらせであったか、分かってるの!? 自覚はないの!? あんたどれほど胸糞悪くて嫌悪感を抱かれる存在なのかよ!! なんで、なんでよれによって私を狙ってだよ!?!? 迷惑をけかるばっかりな奴! 早く私の生活から消えてくれ! もう私の邪魔をしないで! 私はあんたのこと一切好きじゃないのに、なんで周りの人は無理やりで私をあんたの彼女だと言い張るんだよ!? この生活がどれほどイライラするか分かるのか!? 分かったらさっさと消えてくれ! 消えていけ!!!」


 あの子の連続した激しい発言に、俺はその場で驚いた。普段清楚で優しい印象を与えるだから、そのギャップで驚愕感が感じる。


 その瞬間まで、自分の追求がいつかあの子を落とすと信じていた。でも俺は間違っていた。事実は、あの子を涙に包ませるだけでした。


「うわぁぁぁぁーーーーっ!!」


 長い間抑え込まれていた感情が一気に爆発したのか、あの子は俺の前で涙ながらに叫び、泣きじゃくっていた。


 あの子をなんとか慰めようと思ったが、泣かせてしまった自分自身と、突然の状況にどう対処すればいいのか分からず、俺はただ呆然と立ち尽くすことしかできないでした。


 ようやく我に返り、あの子にティッシュを渡して涙を拭ってあげようとしたとき、怒って俺を押し退け、足早に逃げていきた。俺だけがその場に立ち残らされた。


 その日の夜、家に帰ってきた後、俺は初めて自分がどれほど酷いなことをしたということに気付いた。


 無限の後悔が心に押し寄せた。その子が涙を流し、喉を潰すほど叫んでしまったのは、俺の行動のせいだと思うと、自己責任の念が強まった。心が割れる音が聞こえるような感覚だった。


 恋愛は相手の気持ちをリスペクトし、自分勝手な行動ではなく、お互いの気持ちを大切にするものなんだ。なんであの頃の俺はそんな簡単な理屈さえわからないのだ? 今回のことで、自分の愚かさと未熟さが浮き彫りになった。


 ハラスメントや迷惑をかけるなんかなものは決して恋愛じゃない。なんで俺は今更気付いたんだ。


 それ以降、俺はその子に一切話さず、それに何もしていなかった。本来ならそうあるべきで、俺たち二人の間に何の関係も一切のない。


 あの子も俺に対して装った親切な態度を取り下げ、決して良い顔をしてくれないでした。でもあの子の素直な行動は少なくとも俺の心を少し楽にさせた。


 しかし、俺からの嫌がらせは止めていたとはいえ、あの子は他の人々の流言や噂に耐えられなくなり、最後はに転校することをした。本人はお父さんの仕事の関係と主張していたけど。あれから俺はあの子とのあらゆる連絡手段を絶ちた。


 あの子に対して謝罪すること、そしてあの子に与えた損失を補うことは、恐らく永遠に不可能なのだろう。


 この事件が起こった後、俺は女の子への恋愛に対して消極的になった。


 相手の好感度を高めるために何かしようと思った矢先、あの子の涙と叫び声が目の前に浮かび上がり、まるで俺を警告しているみたい。


 恋愛は相手の気持ちを急かすものじゃなく、お互いの気持ちを大切にするものだ。明らかに俺はそんな簡単なことさえ出来ないんだろう。俺は女の子をいつ傷つけてもわからない鈍い男だ。このことは一生忘れない。


 だから高校の時に好きな女の子があっても、俺はあまりに行動がしてない。その原因で俺はただゆっくりと話しかけた、そして関係もゆっくり進展しただけど。


 なにせ、もしもう一度嫌がらせをしてしまったらどうしよう?


 俺はもう、他の女の子を傷つけたくない。同じ間違いを繰り返したくない。


 もう一度許されないことをしたくないんだ——。



「どう? あの時の俺は本当に幼稚で未熟で、相手の気持ちを全然考えていなかった。他の人にとってこれはただの些細な出来事に見えるかもしれないけど、今でも俺に影響を与えているんだ。たとえもう別人になったとしても」


 再び取り上げたくない過去を言った後、王子は考え込んで頭を下げた。二人の間は静寂が広がった。ただ噴水と子供たちの遊び声が聞こえるだけ。


 そして、王子は深いため息をついた。


「はぁーー……まさかと思ったが、レイナは昔からバカだったなんて」

「なっ!? 最初の感想はそれかよ!?」


 まったくもう! せっかく俺がこんなに積極的にコイツに話をしたのに! この感想はどういうことだ!


「本当に理解したのか?! からかいたかっただけじゃないよな?」

「いや、理解したよ。でもレイナ、いくらどんなにバカでもこの理屈はわかるだろ? 逃げるだけじゃ問題は解決しない」

「わかってるけど、どうやって心の壁を越えればいいの?」

「ふん、そんなの簡単じゃない」


 そして王子はそう言ってながら立ち上がった。


「お前は男だろ? 男なら勇気を出して積極的に向き合えよ。このままじゃミリーさんに他の男に奪われちまうぞ。何でもできないなダメ男になりたくないなら気合いを見せてよ」


 挑発のフリをして実は俺を励ましてのか、コイツ。


「まあ、こんな簡単なことでもドジっ子のレイナには無理でしょう」

「……認めたくないけど」

「だから、私はレイナのそばにいてやる」


 なんていうか、この言い方がなんだか変だな。でも王子が真剣な目で俺を見つめているから、別の意図はないんだろう。


「では、気を取り直せよ。忘れるな、今日は遊びに来たんだ。さあ、時間もそろそろだし、ピアノの演奏を見に行こう」


 王子はそう言ってながら背を向けた。さっきの言葉は俺を怒ってるに聞いているんが、他人を慰めるためのものだと感じる。


「どうした? このまま座り続けると置いていくぞ」

「はいはい、行く行く」


 ふふん、本当に素直じゃないな、コイツは。


 恥ずかしがるならそんな「そばにいてやる」とか言わないでよ。耳まで真っ赤にしてるじゃないか。気づいてないと思うなよ。

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