第05話 最近の婚約者は面白い

(エドウィン王子の視点です)


 王宮にいるどこかの部屋に、エドウィン王子ともう一人がいる。


「シュバルツさん、宰相であるあなたは、この文字は知っていますか? これは何の国の文字ですか?」


 エドウィン王子はいくつかの紙をシュバルツという人に手渡した。


 そして、30歳ぐらいの黒髪のシュバルツ宰相はその内容に戸惑った。


「ふむ……見たことない文字ですね。けれど文章を見ると、この言語は三種類の文字が同時に使用しているみたいで、不思議です」


 シュバルツはそういう結論をした。


 今彼が見ている文字は、この世界にどこにも存在していないのだ。


「そうか、なるほど」

「このような文字、初めて見たんです」

「つまり、あれは本当なのか……」


 エドウィン王子は納得したような表情をした。


「ところで殿下、この文章はどこから来たのですか?」

「そうですね。レイナ・ナフィールド公爵令嬢の部屋にいる本からですよ。とても面白いな本なんです」


 そう言ったエドウィン王子は不気味な微笑みを浮かべた。


「それに、なぜかわからないが、私も今までその文字に見たことないのに、それを見ているとすぐに言葉の意味が理解できるですよ」

「え? 殿下はそれを読めるのですか?」

「ちょっと違うが、大体そうなんです。具体的にはどうなのか分からないが、頭の中に直接で翻訳してみたいな感じ。それに、その本の一部をこれらの紙に書き写している時にも自然に書いた」

「それは……確かに変ですな」

「この状況について、シュバルツさんは何か心当たりがありますか?」

「いあ、全然。こんなことは初めてなんです」

「そうか」


 エドウィン王子は何か考えている表情をした。


(最近の婚約者は少し、いや、かなり面白い)


 初めてレイナ公爵令嬢と出会った時、完璧な貴族令嬢として相応しい振る舞いをしていた。


 そしてエドウィン王子はすでにきついてる。必死に照れ隠しているが、薄々と自分への好感が感じた。でも好感より、それは「優秀でハンサムな王子様」に対する乙女らしいな憧れみたいなもの。


 正しい礼儀、丁寧な喋り方、優雅な動き、王子の婚約者としては完璧過ぎる。


 (だけど正直、こんなお嬢様はくだらないだ。自分の意識がない人形みたい)


 昔のレイナは全然面白くない、とエドウィン王子はそう思うだ。


 優秀な王子様は、今まで本当に難題と言えるものに遭遇したことがない。たまに現れる挑戦も、たちまち去ってしまうばかりでした。


 エドウィン王子は、天才と言える人である。


 でも天才過ぎるから、今までの生活はずっとつまらなかった。


 感性に頼らざるを得ない多くの人々がものを理解や達成に苦労することが、王子様にとっては理性だけで簡単に対処できる。


 レイナに対しても同様だ。ただ簡単な言動で、彼女に自分への好感度をどんどん上げることができる。政略結婚だから、お互いの関係を維持すろことがとても大事だ。


 でもエドウィン王子にとって、これはあくまでも仕事みたいなもなので、彼女に全然感情が入ていない。そして、その仕事はエドウィン王子らしくにうまくやってきた。


 だから、つまらないだ。


 でもこの事態はある日変化をした。


 2ヶ月前、レイナは病気で倒れている。病状は結構重いので、2週間ずっとベッドで寝ていた。


 ついに治ったが、彼女は大きな変化をした。


 目付き、話し方、態度、行動、そして全体的な雰囲気も、どれも以前と違った。


 まるで、人が変わったようになる。別人にしか見えない。


『なあ、エドウィン王子。俺は男だ。見かけは女だけど、実は男なんだ。男から愛の告白を貰うのは本当に嫌だし、正直気持ち悪い。俺は女の子が好きで、女の子しか好きじゃない。これだけははっきり言っておかないと』


 そう言っていたレイナは、何か嫌なことを見ているな感じがする。


 (レイナ嬢は自分への好感はどこに行った? なんで急にそんな変化がした?)


 そんな彼女に、エドウィン王子は驚いた感情をした。


 (目の前にこの人は、本当にレイナ嬢か?)


 優秀な王子様でさえ、初めてこんなにたくさんの疑問を持っている。


『なぜなら俺は男だから』

『俺は男と恋愛したくない』


 レイナは噓に全く見えない真剣な顔をしてた。


 (いつものレイナ嬢は、どこに行った?)


 以前の彼女はもう消えてしまった。代わりに誰かがレイナになった。見た目はまだレイナか、中身は全然違う、と王子様はそう判断している。


 だとしたら、今のレイナはすごく面白そう。


 その瞬間は、エドウィン王子が初めてレイナへの興味がある時だ。


 あれからの王子様はわざと恋愛な言葉をレイナに言って、その反応を楽しんでいる。


 そしてある日、専属メイドのシェラさんに案内して、彼女の部屋に入った時に、ピアノの音が流れてきた。昔と変わらない部屋が、ピアノの前に座っていたレイナはもう違う人だ。


 (まさか私が部屋に入っていたことさえ気づいていないほど夢中しているね)


 ピアノを弾いていたレイナは、完全に自分の世界に入った。


 赤い髪は頭の動きに合わせて揺れていて、細い指は熟練にピアノに動き回る。


 考えてみると、今日初めてレイナをきちんと観察した。


 そして機の方へ見ると、以前より乱雑になった。


 (今のうちに、少し調査してみよう)


 机の上に適当に置いていたのは、恐らく日記のようなものなんだろう。


 開けて見ると、一見おかしなことはないが、あるページまでに。


 視界に入っているのは、見知らぬ文字だった。でもその言葉の意味はすぐに分かる。


 (なんだ、これは……? ニホン? イセカイ? テンセイ? それになんで私は理解できるだ?)


 そこに書いていた内容のは、別の世界についてのものだ。


 レイナの中身は男だけじゃなく、違う世界の人だった。


 (最近彼女は変になったのは、そういうわけだったのか)


 レイナの方にチラッと見ると、まだピアノに集中しているで、こっちに気づいていないようだ。


 その時、エドウィン王子は今まで感じたことない感情が溢れている。



「……んか……殿下! 聞いていますか?」


 シュバルツ宰相の声でエドウィン王子は我に戻った。


「……すいません。ちょっと考え事があります。どこまで話しかったんですか?」

「これらの文章についての話しです。殿下はその謎な文字が読める原因は、魔法かもしれません」

「魔法か?」

「はい。その可能性があると思います」

「ふむ……確かに精神系な魔法なら、そういうことができるが、誰かが私に魔法を使ったら、すぐに感じるのはずだが……」


 原因はともかく、どうやらこの未知な文字を理解できるのは、自分とレイナしかない。そのことはもう確信した。


「ありがとうございます、シュバルツさん。おかげさまで助かりました」

「いえいえ。エドウィン殿下のお役立てのは光栄です」


 そしてシュバルツ宰相は部屋を出て、一人きりになったエドウィン王子はそう呟いた。


「ふふん。ますます面白くなった。がっかりするなよ、レイナくん」


 そう言ったエドウィン王子は不敵な笑みを浮かべていた。

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