第11話 自衛団と魔力だまり
初めての依頼を終えた翌日の日中に冒険者ギルドへ向かった。横にはオパリルとスフェキン、近くにはアウイトもいる。
入口の扉を開けて中へ入って掲示板へ向かうと、カウンターからミクリザさんが出てきて私たちのほうへ近づいてきた。
「ジュムリアさん、指名依頼が来ていますので、お時間はありますか」
「今から依頼を探そうと思っていたところだから平気よ」
「こちらへどうぞ」
ミクリザさんに案内されて、受付があるカウンターへ移動した。ミクリザさんがカウンターの中へ入って、私たちのほうへ視線を向ける。
「何処からの指名依頼なの?」
「第3自衛団からです。冒険者ギルドに登録されたばかりで驚いているのですが、知り合いでもいるのですか」
「ロベンダーへ来る前に第3自衛団と出会って、オパリルとスフェキンが戦闘訓練の指導をしたくらいよ」
ノナハさんたちに聞けば分かるので、出会った理由を省いて素直に答えた。
「それなら納得しました」
「依頼内容は何?」
ノナハさんと話していた中で、なんとなく予想はつくけれど確認したかった。
「依頼内容は魔力だまりの探索への同行です。期間は明日の1日のみで、報酬は3名で金貨1枚と小金貨5枚、さらに追加報酬もあるとのことです。断ることも可能ですが、少なくとも第3自衛団から話を聞いて頂きたいです」
「日程のない依頼みたいだから、これから行ってみるね」
ミクリザさんに場所を聞いてから、冒険者ギルドをあとにした。
「依頼を受けるのですか」
オパリルが聞いてくる。
「第3自衛団とは一緒に戦闘訓練もしているから、基本は依頼を受ける方向で考えたい。その方向で調整をお願いするね」
「分かりました。ご期待に添えるように交渉します」
話しているうちに第3自衛団がいる場所へついた。
部屋へ案内されて待っていると、カルスミスさんとノナハさんが姿を見せる。
「よく来てくれた。座ってくれ」
カルスミスさんに進められて椅子に座る。両隣にオパリルとスフェキンがいて、アウイトを抱きかかえた。向かい側にはカルスミスさんとノナハさんが座った。
「依頼内容の詳細を聞かせて頂けないでしょうか」
オパリルが質問した。
「魔力だまりの探査同行で、基本は自分たちで対応するが、強い魔獣や魔物が出現した場合に対処してもらいたい。とくに神獣が凶暴化した魔獣は自分たちでは対応できない。怪我人が増えた場合にはジュムリア殿の回復魔法も期待している」
ノナハさんが詳細内容を説明してくれた。普通の魔物程度のみなら、私たちは何もする必要がない。強い魔獣や魔物が発生するほどの魔力だまりが見つかった場合にそなえて、私たちを同行させたいみたい。
「内容は理解しました。魔力だまりが見つかった場合はどうしますか」
「強い魔獣や魔物がいれば倒してもらいたい。魔力だまり自身は、自分たちが複数の風魔法で消滅させる」
基本的には強い魔獣と魔物を対処すればよいみたい。
「前向きに検討しますが、追加報酬を教えてください」
「ジュムリア殿たちならいつでもお金は稼げると思ったから、ほしい品物があれば追加報酬で渡したいと思っている。何か希望はあるだろうか」
ノナハさんが話し終わると、オパリルが私のほうへ顔を向ける。きっと私が決めてよいのだけれど、食べ物というと怒らせそう。
「私たちは旅をしているから、旅で役立つ品物があるとうれしい」
今後必要な品物を答えた。
「武具がほしいかと思っていたが旅に使う品物か」
ノナハさんが考えていると、カルスミスさんが口を開く。
「空間拡張鞄はどうだ。大容量は無理だが小容量でも荷物が減って旅には助かる」
「たしかに便利そう」
空間拡張鞄なら旅が快適になるので、私は肯定しながらオパリルに視線を移す。
「便利な品物でうれしいですが、あまり貴重すぎる品物では使いにくいです」
オパリルが懸案事項を聞き返す。
「小容量でも珍しいが、熟練冒険者レベルがよく持っている品物だ」
「ジュムリア殿たちが持っていても違和感はない。それなりには高価だが、出回っている品物なので全員分の3つ用意できる」
カルスミスさんとノナハさんがそれぞれ答えてくれた。オパリルが私のほうを向いたので頷いた。
「その内容で構いません。出発は明日と聞いていますが合っていますでしょうか」
「明日の日の出とともに出発する。それまでにここへ来てほしい。日帰りの予定だから、そのつもりで準備をお願いしたい」
「分かりました。ジュムリア様、何か確認したい内容はありますか」
「私も平気よ」
私が頷くと依頼が成立した。
「それでは明日お願いする」
依頼を受けることが決まったので、カルスミスさんたちと別れたあとに冒険者ギルドへ寄った。冒険者ギルドで正式に依頼を受けると、明日の準備のために買い出しへ向かった。
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