第3話 救出作戦
「すぐお母さんと相談しましょう」
(真剣な面持ちの京子)
俺たちが急いで帰宅すると、おばさん(京子の母)が家の前で俺たちの帰りを待っていた。
「おばさん、大変なんです!」
急いで経緯をおばさんに説明する。
「これは
「任せといて! 施設を見学している時に、マイクロドローンを忍ばせておいたから、内部からハックできるわ」
さすが京子。抜け目がない。
「ちょっとまってね。今情報を集めているから」
「...」
京子が調べると、すぐに施設の見取り図や防犯カメラの位置などの詳細な情報が入手できた。
「うーん、警備はあまり厳重じゃないわね。一般的な研修施設といった感じ。外部にも公開している施設だし、侵入が難しいということは無さそうね」
「なるほど。あくまでも普通の施設ということか。不自然なほど厳重な警備があれば、秘密がありますよと公言しているようなものだからね」
「スタッフリストを見る限り、オプティマイザーは常駐してないわね」
おばさんは、オプティママイザーの名前を覚えているらしい。これは助かる。
「なら、私たちだけでもなんとかなるかな。このセキュリティならいつでも突破できるから、準備ができたら救出に向かいましょう」
「うん、私もいつでも大丈夫だわ。いっぱい訓練したから、実戦が楽しみね」
リカもやる気を出しているようだ。
「じゃぁ、明日の夜遅く、施設のスタッフが寝た頃を見計らって侵入しましょう」
「了解!」
おばさん(京子の母)は、娘たちの成長ぶりを楽しむように、笑顔で俺たちの会話を聞いていた。
「じゃあ、私も少し手伝うわ。皆が施設に向かったら、私が警備アンドロイドを無力化しておくね。防犯カメラの映像もすべてフェイクに差し替えておくから、安心して侵入してちょうだい」
さすが、おばさんは頼もしい。
こうして翌日の夜、俺たちは
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施設は深い森の中にある。夜になれば周囲は暗闇となり、月明りが微かに施設を照らすのみだ。
セキュリティが切られた施設に侵入するのは簡単だ。中に入っても、警備のアンドロイドはフリーズしているし、扉の鍵はすべてオープンだった。当直のスタッフは、AIに警備を任せてぐっすりと眠っている頃である。起こさないように静かに入れば問題ない。AIによって合理化されたセキュリティーは、それを突破できる者にとっては防御力がゼロに等しいのだ。
施設の奥まで侵入し、インターンの居住区まで辿り着いた。多くの部屋が並んでいるが、
「あなたたち、どうやってここへきたの? それに、何をしに来たの?」
「
「メッセージって、何の事?」
彼女は目を丸くして不思議そうな顔をしている。とぼけている様子はない。
「あのアクセサリーに保存されていた写真に隠されたメッセージだよ」
「写真って何? あのアクセサリーは、お友達に返すようにと、施設の人から渡された物よ。私は借りた覚えが無いのだけど、最近は頭がボーっとしていて記憶が錯綜していたから、言われた通りにしただけなのよ」
「じゃぁ、なぜ
「私は家族の写真なんて持ち歩いていないわ。それはだけは確かよ」
「…」
アクセサリーに隠されたメッセージが偽物だということは、何者かが俺たちに
「なんか、まずい展開だね…」
京子が不安そうに言う。
不穏な空気が俺たちを包み込んでいった…
そして、侵入者を知らせるセキュリティーの警報音が、施設に鳴り響いた。
--- 第3話 END ---
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