第9話ひと夏の戦争と幻想の春

かつての夏、人知れず起きた戦いがある、それこそが架空の悪魔パラファラピヌとの幻想大戦であった

その大戦で敗れた彼女等は幻想の奥底で再戦の機会を伺っていた

侵略の為に名のある諸侯を呼び集め現実リアルへの侵略の準備と編成をすると共に、協力者達と密に連絡を取り合いながら今異世界から再び侵攻のため計画を遂行していた

「もう少しでまた新しい戦いができるよ」


夢見ヶ丘学園での生活は今までのボクの日常から掛け離れたものだった、それこそ非日常と呼ぶべきものなのだが上級生や教師はそれには否定的だった

姫乃先生曰く、「日常と非日常に境目なんてないのよ?それは人が勝手に線引きしているだけで」とのことだった

「そんなものかなぁ?」

空を見上げているボクの瞳にいつもと変わらない景色が映り込んだ


夢見ヶ丘学園浦安支部にて、多くの生徒達が体育館に集まっていた

様々な見た目の生徒が存在する中最前列には昆虫のような外骨格を纏った生徒達がいた

夢学は精神エネルギーを研究しておりその成果として生徒の怪人化という行いもしている

修行をする事によって身体そのモノを精神体に変えあらゆる存在そのモノに攻撃を加えることを可能とした上で自身の心の奥にある闘争本能で自らの身体を戦うカタチに作り替える、それこそが怪人化という手法である

怪人化した生徒は自身の心の奥底にある潜在的な闘争本能、生存本能とも言い換えれる己の心の中にある戦う姿のイメージで自身をそのイメージした存在に作り替えそれを外骨格装甲として纏うことで怪人に変化する

そのイメージする姿は地球上の生物、つまり動物や昆虫の他鳥類や海洋生物、植物等が主だが非生物即ち器物や鉱物、機械や建物等モチーフの幅は幅広い

怪人化した生徒はそれらモチーフにした存在の外見を模した外骨格装甲を纏い、モチーフに因んだ身体能力や特殊能力を授かる

因みに怪人化した姿は男女問わず女性型の姿になるがこれは夢学生が最強の趣味ぞくせいである、ツインテールへの愛を無意識下で全員が持っているからだと云われている

また修行を積むことで独自の異能を使えるようになる生徒や形態変化、平たく言うなればフォームチェンジのような力も使用可能になる

浦安支部のリーダーをしているハルオの弟コテツは生徒達の中でも特に昆虫系統の特性を身に宿す生徒達を部下や弟子に持っており、そのためか彼の部隊は【昆虫師団】と言う別名で呼ばれている強部隊である

精神こころの力はどんなエネルギーより莫大であり、思いの力はその愛が深ければ何処までも底無しの限界以上の力を発揮する

また精神生命体になることで魂や本物擬似的問わず無条件でダメージを相手に与えられる

これは夢学生徒自体が形を持った精神の生命、物質化した魂そのモノであるが故に相手のいのちに直接自身のいのちでダイレクトアタックを出来るからだと云われている

そんな夢見ヶ丘学園の生徒達の中にも人間や夢学本校に疑念や反感を抱く生徒達も多くいる

ソレ等にハルオ達は声をかけ反抗生徒イレギュラーになって来るべき戦いに備えるように夢学本校に気づかれぬように誘いをかけて回っていたのである

そしてその時が今正に目の前まで迫って来たのである

「ボク達に従う同志諸君、遂に時は近いて来た!みんなその時まで最終準備をして心して待て!」

ハルオの演説を聴く生徒達の瞳に歓喜の炎がありありと燃え盛っていた

待ちに待った大戦争がもうすぐ開始されるのである

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