第8話架空交信

この世界には北に精強を誇る軍事国家アドラー帝国がある、世界で最も人類が繁栄する国、そして最も漂流者プレイヤーが多く流れ着いた場所である

200年毎に漂流者プレイヤーの捜索をする事によってより迅速に国の強化を図っている

それと同時に未だ人類を脅かす存在を排除するべく動いていた、そんな国だからこそ他国の変化にはとても敏感である

「西の王国に謎の建造物、恐らく塔ではないかと思います」

黒い長い髪の青年が報告を告げる、彼はアドラー帝国の持つ秘密特務機関の機関長を務める男だ

「今回はあちら側か・・・人類の敵でなければ良いのだが」

漂流者プレイヤーが人類の敵となった事例は過去にも存在する、そういった存在を魔王と呼ぶ、彼等の懸念はやはり例の黒い塔が悪魔パラファラピヌの拠点の近くに現れた事である

「今回は魔王人類の敵でなければ良いのだが」


西側フランクリン神聖王国の領地では吸血鬼ヴァンパイア【氷結候】とその拠点[クロノトウ]がある場所で多くの人為らざる者達が集結しつつあった

この世界の外に侵攻する為に様々な種族の実力者達を募っていた

「あっちの世界は侮れないですからね、特に夢見ヶ丘と言う連中は」

その言葉に聞き覚えがあった、確か彼の話に出てきた学園ではなかったか?

「夢見ヶ丘ってどんな者達なのです?」

「そうですね、我々のような人類に敵対する者を狩り立てる狩人ハンターのような存在ですね」


夢見ヶ丘学園浦安方面支部、そこに一人の男が居た、その男の名前はハルオ、大学受験に落ちて現在は故郷の浦安にある夢学の研究所で働いている

「素晴らしいよぉー、ようやっと彼女達からの連絡が来たでござる」

彼はギアと異世界交信をしながら夢学に反旗を翻す機会を伺ういわゆるイレギュラーと云うヤツである

アリクイの特性を持った生徒であり両の手には長く鋭い爪を持ち背中には大きな大砲を装備している

一見強そうに見えるが彼は研究者である、お腹の肉は垂れた肥満体型で冴えないボサボサの髪に眼鏡を掛けた顔は無精髭で顎全体が覆われている、その姿はスタンダードなオタク的な外見である

しかしそんな彼だが夢学では一目置かれた存在である、研究者としての手腕は見事なものでまた普段は自身部屋に創り出した巨大な電子迷宮サイバーサンクチュアリに自らの発明した攻性プログラムを配置して引き込もっている

先の学校大戦ではギア達はこの世界に侵略しながらも夢学の圧倒的戦力に敗北を喫した、しかしそれは余りに夢見ヶ丘の情報データが少なすぎた事が敗因である

ハルオもあの戦争で彼女達と戦う事になったわけだがその戦いの中でギアにスカウトされたのである

それ以来彼は新たな戦争に向けて準備を整えていたのだ

幻想と現実、これからその両方が激突することになる

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