第4話学園鳴動

ここは夢学の校舎、ボク達新入生がこれから学園生活を送る場所だ、その校舎の中を姫乃先生に案内してもらっている

「校舎の廊下の壁は取手を回すと医療キットや武器が出て来ます、緊急時には後で決める班に別れて必要分だけ持って行って下さいね」

説明を聞きながら小さくないざわめきが起きる、一体ボク達は何処に入学してしまったのか?

ここは日本で今は平和な時代のはずなのにまるで戦時中みたいな事を当たり前のように口にする

「学園内の見取り図を後で配るのできちんと目を通しておいて下さいね、緊急避難経路きんきゅうひなんけいろとか武器庫の位置とか迎撃に適した地形とか色々と書いてあるので、あと生徒手帳がないと武器庫を使用出来ないですからなくさないで下さい」

とても日本とは思えない、どこかの国と戦争でも始まると言うのだろうか?

(テレビではそんな不穏なニュースなんて流れてなかったはずなんだけどなぁ)

一通り各場所を案内されてようやく教室に着いた、そのあとは班づくりをして緊急時の説明なんかも聞かされた、周りのみんなも状況が呑み込めないままそれでもただ事ではない雰囲気を感じ取って真剣に耳を傾けている

「なあお前、この学校のことどう思う?」

同じ班になった男子生徒がボクに話しかけて来た

「どうもこうもないよ、ボクだって何がなんやらわからないよ」

「まあ、それはそうか」

そうやって激動の学園生活一日目が終わり、寮に案内された時も学園で聞かされたような物騒な説明を聞かされた

そんな時近くの工事現場に大きな卵が崩れた砂にまみれて落ちていた

「こんなに大きな卵見たことないな、一体何の卵だろう」

バスケットボールより少し大きい位の卵だ、でもこの辺にこんな卵を産む程大きな鳥がいるとは思えない

「もしかして恐竜の卵の化石とかじゃないか?」

今朝話しかけて来た男子生徒だ、確かにこれだけ大きいとそんな気がしてきた

とりあえず先生に報告に行ったけど今は重要な職員会議で会えないということだったんで明日の朝にもう一度先生のところに行ってみよう

初めて寮で晩ご飯を食べた、みんなと少し会話を楽しみながら気楽に過ごせた、寮生活も案外悪くないかもしれない

その次の日、目を疑う光景がボクの目に飛び込んで来た

朝起きたら一番に昨日の卵を先生に報告に行くつもりでいたのに、よもやその卵から黒いおかっぱ頭の女の子がかえっていた、うん、状況が良く掴めない

「ここはどこですかな?ワシは何でここにおるんじゃろう?」

(それはこっちのセリフなんだけどなぁ、まずは話しかけてみようかな)

「ボクは夜桜敬一、キミは一体誰なの?」

「夜桜?」

少女はいぶかしげに首をかしげる、何かおかしな事を言ったのだろうか、ボクはただ自己紹介しただけなのに

「まあよいです、ワシは、そうじゃな、[カンパネルラ]とでも名乗って起きましょう」

「わかったよ、それでキミは一体何者なの?」

「ワシは来客神マレヒトガミ平たく云うと祟り神と云うヤツですね」

「祟り神ってヤバイ系の神様じゃないの?本当に大丈夫?」

「まあワシは[ソレ]の半身みたいな存在なので問題ないですよ」

それなら良いけど・・・とりあえず先生のところに行こうか」

そう言って彼女を先生の所に連れて行く事にした、幸い他のルームメイトはまだ起きていないお陰で混乱は避けることが出来た

その後も運良く誰にも遇う事もなく先生達のいる教員室までたどり着くことが出来た、先生達は驚く様子もなく話しかけて来た

「ああ久しぶりねぇ、どうして彼と一緒にいるの?」

「ワシも理由はさっぱりです、気がついたら彼の部屋におったもので」

驚くボクを楽しそうに眺めながら姫乃先生が理由わけを尋ねて来たのでボクは事の顛末てんまつを先生に語った

何が起きているのかさっぱりわからない、状況が呑み込めず困惑するボクに先生が語りかけて来た

「状況を把握する必要はないよ、きっとアナタはこの先で知る事になるから」

説明になってないしこの先とはどういう事なのか?まだ何か起こるということなのだろうか?

「だって私達は巻き込む事を迷ったりしないからね」

大人って残酷なのよ、そう先生が笑顔で言ってのける、戦慄するボクを眺めながら

これはこのあと起こる大きな異変のその序章プロローグにすぎない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る