第3話幻想躍動

この世界はかつてドラゴン、魔族、そして吸血鬼ヴァンパイアの三大種族が大陸を支配していた時代が存在した、その時代の人類は小さな集団組織コミュニティに別れて大陸の隅で怯えながら暮らしていた

しかしある時異世界より漂流ながれて来た者達、漂流者プレイヤーによってその力関係は大きく変動する事になる

彼等彼女達漂流者プレイヤーは全てではないもののそのほとんどがこの世界基準で見ても圧倒的強者でありその上で人間種に好意的な者が多くおり大陸から人為らざる者達を駆逐して行った

魔族は魔神戦線にて人類の大連合に敗れ魔界に追いやられ、ドラゴンは竜人戦争において絶滅寸前まで追い詰められた

そんな中で吸血鬼ヴァンパイア達も紅い月の戦いで敗北したものの他の二種族と違い敗戦後もその大部分が生き残り前大戦の跡地や自身の領地等で生き延びていた

貴族に扮して大国で貴族社会に紛れる者や滅びた国を拠点にする強大な者も存在する

これは一重に漂流者プレイヤーの中にも多数の吸血鬼ヴァンパイアが存在した為見逃された者も多く存在したからである

今や世界は人類の造り上げた三つの大国家が大陸を治めて互いを仮想敵として牽制し合っている

厳しい土地で精兵を以て北を統べる一大国家アドラー帝国、南部の部族国家が集まったクルジオン連合国家、そして複数の聖王による議会と人類を護るという結束で一つに結び付いているフランクリン神聖王国

その他有象無象の小国と東の辺境の島国の小国家が存在する事となる

この世界には漂流者プレイヤーが持ち込んだ道具アイテムや技術等も多くある、最下位から最上位までが今の世界の人類の技術で作り出せる限界であり、その上に遺跡級レガシィ聖遺物級レリック伝説級レジェンドと呼ばれる等級ランクのものがあり、これらは先の大戦で漂流者プレイヤーが持ち込んだ道具アイテムで今やその製造は人類の技術では不可能と言われている、時折大戦の跡地から前世紀の遺物として見つかるのみである

また神代の時代に使われたと伝わる神器級ゴッズと呼ばれるものは非常に希少なアイテムで各国の至宝や秘宝と呼ばれるいる

その他ごく稀にとても長い時間使われた道具アイテムに神秘が宿り古代級アンティークと呼ばれる等級ランクに格上げされる事がある、古代級アンティークは古ければ古い程に神秘が強力になりそれによって等級ランクも上昇する、とはいえそういった物は非常に珍しく稀である

魔法には階悌と呼ばれる等級ランクが存在しているが階悌は威力や破壊力よりも神秘が強い物が強力であるらしく階悌は古ければ古い程に神秘が増して強力になる傾向にある

新しい魔法程階悌が低く古い時代の魔法程階悌が高いという理屈である

その関係上長く生きた種族の魔法や異能は強力であることが多く年齢が良くも悪くも強さに影響を与える事がある

その他に技能スキルと呼ばれる職業クラスに応じて使える能力も存在するが何故その様な力が使えるのか良くは解っていない

それとは別に特定の種族には固有の技能スキルや長く生きることで変質するものや技術を磨き上げ鍛練する事で得られる独自オリジナル技能スキルも存在している

架空の悪魔パラファラピヌと云えどそれぞれの実力レベルによって強さや階級が存在する、勿論それらが全ての指標という分けではないが社会性は秩序と階級の上に成り立つものである

レベル1~15の下級悪魔レッサーデーモン、レベル20~30の中位悪魔デーモン、レベル40~50の上位悪魔デビル、レベル60~70の悪魔騎士デビルナイト、レベル80の悪魔貴族デビルブランド、レベル90の大悪魔アークデビル、レベル100の最上位悪魔サタンという形でそれぞれ階級が存在する

しかし強いだけでは組織を纏めることは出来ない、現に万年城[ミレニアム]のリーダーであるギアは80レベルで戦闘職ではなく周りの仲間のほうが実力的には高いにもかかわらず皆から信頼をされ他の強力な諸侯も彼女の言葉に素直に耳を傾ける者達は非常に多い

また階級とは別に権威のパラメーターとしてどれだけ強力なNPC《シモベ》を生み出せることが出来るのかやどれだけ多く従えているか、その他にもどれだけ強大な拠点を保有しているのか等、ただ強いだけでは評価は半分と云うところである

これは高い文明と社会性を持つが故に体裁や気品と云ったことを気にする知性の高さを持っているためである

拠点は神殿や墳墓が最も拠点としての能力が高く、それに続いて国家や宮殿が規模が大きくそれから城や塔に街と評価が下がって行く、因みに万年城は城とついているが規模的には宮殿の分類カテゴリーに別けられる

また変わり者には灯台等の低規模の拠点に好き好んで住み着く者達も存在するらしい

拠点の規模によってNPC《シモベ》を生み出せるポイントも変わって来るらしく、最も低いもので200ポイントで最も高いものは1800ポイントが存在するが何故そのようにポイントがあり、また何故それらのポイントでNPC《シモベ》を生み出せるか、そのメカニズムはよく判っていない

吸血鬼ヴァンパイアや架空の悪魔パラファラピヌは異能や得意分野によって~候と云う二つ名をつけることが多い(無論例外も存在するが)

元々はそういった概念は存在しなかったが漂流者プレイヤーが世界のルールを歪めたことで現在いま世界ワールドに変化した歴史がある


「という訳で私達は貴女達のような漂流者プレイヤーを研究しているのです」

Nの文字が浮かんだ特徴的な紫色の瞳を知的好奇心で輝かせながらギアは目の前の吸血鬼ヴァンパイアの少女【氷結候】に語りかける

ここは万年城[ミレニアム]の中心にある重要会議の為の大広間だ、他の同胞達は円卓机ラウンドテーブルの各席に好き勝手に座り会議に耳を傾けている

「つまりこの世界の情報を提供する変わりに対価として貴女の世界や知っている情報を聞かせて頂きたいのです」


かつて漂流者プレイヤーが最初にこの世界に流れ着いて以降も多くの漂流者プレイヤーやそれに触発されて突然現れたこの世界の魔物モンスターとは比べ物にならない力を持つ魔獣ボスモンスター魔神レイドボス、その他にも漂流者プレイヤーは様々な強力な道具アイテムを保有しその中にはこの世界ワールドルールに干渉ないし書き換えることの出来るような桁外れな道具アイテムも存在したと伝わる

無論レベルや階悌と云ったこの世界にはなかったとされる概念はそれによって世界ワールドルールに干渉した結果だと云う話である

拠点ポイントを用いたNPC《シモベ》の作成の技術も漂流者プレイヤーの伝えた技術だ、その力の根源やメカニズムは謎に満ちている

そもそも何故どうやって彼等彼女達はこの世界ワールド漂流やって来るのか?

そして今回流れ着いた漂流者プレイヤーは【氷結候】だけなのか?

(まあそれは追々解って来るだろうしね、神聖王国の奴等も手をこまねいてはいないだろうからここは他の諸侯に暴れて貰おうかな?)

この陰謀の夜を境に各地に潜伏していた人為らざる者達が本格的に暴れ出す

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