第2話新学期と微睡みの央で
その日は夢見ヶ丘学園、通称夢学の入学式である
「おはようございます新入生の皆さん、私は皆さんの学年主任をさせていただく姫乃先生って呼ばれています、どうかよろしく」
体育館の壇上では教師による新入生への挨拶が行われている、ピンク色の髪と青い目はどう見ても日本人には見えない、身長もかなり小柄だ
「続きまして夢見ヶ丘大総統、若松都子閣下のご挨拶です」
入れ替わるようにやって来たのはどう見ても生徒にしか見えないセーラー服を着たショートボブの白髪の女性、校長でも理事長でもなく大総統というのはどういうことなのだろうか?
「ようこそ、この善き日に新入生のみんなを迎えられてとても光栄です、みんなにとってこの三年間が人生で忘れられない素晴らしい時間になることを願っています」
そしてつつがなく始業式は終わった、ボクはそのまま教室に向かうものだと思っていたが何故か学校をみんな案内されることになった
この時はまだこの先にある学校生活が激動の大戦になることをボクを含めた新入生は誰も知る由もなかった
「さぁ、始めよう」
心地よい微睡みの中で私は久しぶりの感覚を感じ取っていた、この感覚は間違いなく[アレ]等が再び漂流して来たのだろう
「久しぶりだね、今回は800年ぶりくらいかな?今度はどんな事が起こるのか、ワクワクするね」
半透明のガラスのような玉座から身体を起こして夜空を仰ぎ見る
此処は万年城[ミレニアム]その城内であり決して城外ではない、ならば何故夜空を眺める事が出来るのか、その
万年城[ミレニアム]それはかつて
これは
「興味深いよね、[アレ]等はどうやってこの世界に
まだ見ぬ事象に好奇心を昂らせ少女は目線を万年城の近くに流れ着いたものに向ける、その瞳にはNの文字が浮かんでいた
ピンクの髪を掬い上げながら、万年城内の同胞達に
「今回は私達の近くに流れ着いたのでよろしければ一緒にご挨拶に参りませんか?」
その場所は斜め四方を巨大な長方形の壁が囲み、それぞれの壁に違う生物のレリーフが刻まれていた
その中央には黒い大理石で出来た堅牢な塔が聳え立っている、周りには暗黒を敷き詰めたように黒い花が咲き乱れている
その暗黒の花園の中で漆黒の長髪を棚引かせた少女が困惑した表情で侵入して来た一向に血のように紅い瞳を向けている
最初に口火を切ったのはピンク髪の純白のボディースーツを纏った少女、その背の辺りを
「御招きもなくやって来たことにまずは謝罪をさせて下さい、そして自己紹介を、私はギアと呼ばれています、どうぞよろしく」
その直後に空中からコウモリを思わせる漆黒の翼を羽ばたかせながら相反する白い肌と薄い灰色髪の少女が舞い降りて来る
「ワタシはユミといいます、よろしくお願いしますね」
そう言って優雅に一礼すると値踏みするように漆黒の少女を見つめる
「アナタも氷使いなのですね、実はワタシもなのです、気が合うとうれしいですね」
「誰もそんなこんな聞いてねぇよ?ガーベラだ、よろしくな」
言いながら前に出たのは円形の真紅の鎧を着込んだ者、薄暗いバイザーで顔半分を覆っているため分からないがその声色は少女のようだ
「わたくしエリナといいますわ、どうぞよろしく」
次に名乗ったのはこの
左右に六本ずつ、首からも左右合わせて六本、背面からも多数の黒く異様に長い腕が伸びている
その異様な見た目によらずとても幼い子供のような声をしていた
「次は我ですね、我は北欧で元々神をやっておりました、今は邪神のムラクモです、よろしくですね」
最後に名乗ったのは先程の異形程ではないがこの中では長身の部類に入る褐色肌の女性
その身体には肋骨を象った鎧を装着している、左腕には様々な種類の骨をツギハギしたような暗黒色の焔を宿しており顔半分を黒い般若に似たお面で隠している
北欧と云うことはここは現実世界なのだろうか?ならば己のこの身体と目の前の異形達は一体何だと言うのか、それとも偶然そういう地名の出身と云うことだろうか?
「さて、一通り自己紹介も終わりましたし貴女のお名前もぜひ」
「私の名前は・・・」
その夜、微睡みの央で出会った奇跡に、架空の
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