夢見ヶ丘学園戦記
タカシ・セイヒ
始まりの学校
第1話漂流と進学
夜桜敬一は送られて来たメールを読む、一読してPCの電源を切る
人はいつまでも
「ゴメンね、ボクは前に進むよ」
もうすぐ新しい学校での高校生活が始まる、夢見ヶ丘学園での新しい
その為にも過去と
そこは漆黒を
その中央には純白の大きな長方形の机の左右に席が並んでいる、しかしそこには誰の姿も在りはしない
その机と席を見下ろせる一際高い場所に椅子が置かれている、いや椅子というにはあまりに豪華なそれは最早玉座とでも形容するべきだろうか
その玉座に紅い眼の黒い長髪の少女が小さな背に似合わない長い王笏を抱いて座っている、身体が小さいためか玉座に座ると足が床から浮いてしまっている
(仕方ないよね、これは元々私の為に作られた物じゃない、そしてこの玉座の主は多分もう帰って来ない)
左腕に視線を移す、数字は刻一刻と時間を刻み続ける、この世界の
それがどれだけ不快で受け入れ難いことで在ろうとも、時間は止まらない只不可逆に進み続けて行く
もうすぐこの世界の全てが終わる、私が大切にしている世界の終わり、仲間達との楽しい思い出も輝いた冒険の日々も、自分にはそれを止めることは出来ず只その時を受け入れることしか出来ない
本当はもうここにいる意味なんてない事は分かっている、誰も帰って来やしない、それでももしかしたらと思って最後の瞬間まで往生際悪く信じている、だけど現実は残酷だ
分かっていた、誰も帰って来ない事ぐらい、知っているもう誰もこの場所に興味なんてない事くらい、それでも・・・
(もう一度だけみんなに会いたかったなぁ)
さぁそろそろ終わりが近づいて来た、そっと目を閉じ時の流れに身を任す、静寂の空間に時を刻む音だけが響き渡る
全ては終わるそのはずだったしかし・・・そっと瞳を開ける、何も変わっていない
「どういうこと!」
時間が狂っているはずがない、しかしさっきから何も変わった様子もない、頭の中が混乱して辺りを見回すが何の変化も見受けられない
状況を把握しようとあらゆる手段を試す
玉座を飛び降りてそのまま外へと向かう、外に出れば何か状況が解るかも知れないと思い外の世界に飛び出す
外に出て最初に目にしたのは見馴れた漆黒の花畑、しかし見馴れた風景はそれだけで周りの景色は大きく変容していた
まず、この拠点の辺り一面は砂と岩ばかりの砂漠地帯だったはず、それが周りを見渡せば草木が生い茂り川まである、そして最も困惑したのは見知らぬ一行が目の前に現れたことだ、見た感じ的に恐らく種族は微妙に分からない者もいるが人間ではないと思われた
最初に口火を切ったのは純白のボディースーツに身を包んだピンク髪の少女、背中から少し離れた位置で
「御招きもなくやって来たことにまずは謝罪をさせて下さい、そして自己紹介を、私は・・・」
一通り自己紹介が終わり今度は向こうから問いかけて来る
「それでは一通り自己紹介も終わったことですし貴女のお名前もぜひ」
「私の名前は・・・」
勿論名前はある、しかしここで迷っているのは果たして"どちら"の名前を名乗るかだ
「迷っております?ならば【氷結候】なんてどうですか」
それは運命か偶然か、交じり合わなかった選択が、それぞれの道を指し示す、そしてそれがいつか交わる時に奇妙な物語が激動を迎える
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