第4話 人と会話ですか?無理ですよ?

「やっとだぁ〜!」


 森から見えていたとしても、そこそこの距離があり、普通に疲れる。


「結構な規模な村だな……」


 ここからでも分かる、意外と大きく恐らく、商売等が有名な村なのだろう。まぁ村というよりこの規模なら街と言ってもいいぐらいだ。


「スイマセーン、ここって無料で入れます?」


 俺は門番の近くに行き話しかける。この街の門はとてつもなく大きく、魔王城かな?と思わせる風格だった。


「ん?あぁ、君は……まだ子供だな、よし全然いいぞ。だが街に入ったら、色んな男に気をつける事だな。」


「はい、ありがとうございます……」


 こいつ、今俺を子供と言ったか!?おいおい、俺はこう見えても中身は高校1年生だぞ、まぁこの姿で言っても、説得力は皆無なのだろう。


「おぉ〜本当に中世って感じがするな!」


 門を潜ると、また凄い街だと再認識させられる。


「でもなぁ、中に入ったとしても地図がなぁ。」


 確かにデフォルトでマップは持っているのだが、街の中まで分かるような高性能では無いし、


「地図の看板を探すしかないか……」


 まぁここまで栄えているのだから、流石に地図位はあるだろう。パンフレットさえあればいいのだが……


「ただいま小冊子パンフレットを売っていまーす!無料なので旅行客は是非、持っていてくださーい!」


 何処まで運は俺に、味方をしてくれるのだろう。命を運んでくると書いて、運命ッ!運はこのリムにッ、味方をしているッ!


「あ、あの〜」


「早く貰わないと無くなっちゃうよー!」


「あの!ひとつ貰っていいですか!」


「あら?可愛いお客さんが来たものねぇ、いいわよ……はい、これ小冊子。是非楽しんでいってね」


「あ、ありがとうございます……」


 はぁはぁ死ぬかと思った、マジで陰キャが人と話すという事はこの一生をかけても、少ないのだ。


「えーと……これを見る限り恐らく、ギルドはここだろうな……」


 何故、今ギルドを探していると言うと、始皇帝の別荘で戦った魔物の残骸をギルドで売るのだ。

 恐らく、宿はお金が無いと泊まることが出来ないので、ギルドに換金してもらうのだ。


「突き当たりを右に行って……ここを左か……」


 見えてきたな、そこそこ大きいギルドだな。看板の名前は……


『ギルド パーリクファ』


 パーリクファか、多分地名なのだろう。


「すいませーん……」


 中は小綺麗で、絵に書いた様な騒ぎ具合だ。


「ん?よお嬢ちゃん、どうした迷子か?」


「い、いえ。魔物の換金をしに来ました……」


「ほぉーこの年で魔物狩りか、将来有望だな。」


 話しかけて来たのは、恐らくギルドの中でも有名な、冴えない中年のおじさんだった。


「おじさん、何処で換金できるの?」


「えーと、あそこに変な頭をした人がいるだろ?」


 変な頭……あー絶対あれだよね、あのリーゼントとも言えないし、普通か?と言われるとそうでも無い、あの頭……絶対あれだ


「うん、見えた」


「そこに行くと換金できるぞ、」


「わかった、ありがとね!」


 早速変な頭の人の所に行く。


「あ、あのここで換金が出来るって聞いて……」


「あ?嬢ちゃん換金しに来たのか?……そりゃー邪魔したな、いいぞ先にしても。」


「いいの?おじさんが先に並んでたのに……」


「良いってことよ!俺らは女には優しいからな!」


 すっごくにっこり笑ってる。絶対目の保養が足りてなかったからだ。


「おねーさん、これ換金出来る?」


「どれどれ?おねーさんに見せてもらっていい?」


「これ……」


 俺は別荘で手に入れた、袋を出した。


「え……これお嬢さんこれ何処で手に入れたの!?」


 おねーさんめっちゃ驚いている……別に動物系の魔物だろ、そこまで高くないはず……


「これ全部、Aランクモンスターじゃない!」


「「「はぁ!?」」」


 え〜そんなに驚くことなのか?


「何処でって、狩って来たけど……」


「お嬢ちゃんひとりで!?」


「うん……それがどうしたの?」


「どうしたもこうしたもないわよ!?あなた、上級ハンター並よ!?」


 えー……マジかよ……これで上級ハンター並だと?この世界狂ってんのか?あぁ狂ってるのは俺か……


「換金出来る?」


 俺は渾身の萌え声と上目遣いでねだってみる。


「えぇ!是非換金させて貰うわ!」


――――――――――――


 金貨10枚と銀貨、銅貨が30づつ……これって相当だよな……

 換金のついでに、ギルドに冒険者登録をしてもらった。


「あら?リムちゃんって言うの?」


「はい、遠い所から来て、まだ右も左も分からないんです。」


 ここは種族とかってどうするんだろうなあ……多分地域によって、種族間のいじめは絶対と言っていいほどあるからな……悲しい事だ


「ん、安心して、うちは種族関係無しに登録出来るから。ここら辺でも有名なのよ?」


 お、それなら信頼出来るな……次からはここを穴場として来ようか、


「あの、質問なんですが、ここって食堂とかってあるんですか?」


「えぇ、勿論。しかも無料で食べれるのよ!」


「無料で!?次からここに来ます!」


「そうしてくれると嬉しいわ、皆もリムちゃんに釘付けだから。」


 あーだろうな、さっきから視線が凄い。


「最後に質問なんですけど、ここら辺で1番安い宿って何処ですか?」


「うーん宿ね、別にギルドの使ってもらって構わないのだけれど、少し汚いから……あそことかどぉ?」


 

「宿屋:デーウェルソーリウム……ここだな」


 おねーさんに教えて貰った、ここら辺で質が高く安い宿屋はここしかないと言う。


 早速中に入ってみるか……お?めちゃくちゃ綺麗じゃん、てっきり変な人しかいないと思っていたのだが……


「あの〜宿を借りたいんですけど……」


「宿かい?いいわよ……君は可愛いから銅貨1枚で


「いいんですか!?」


 いかにもカウンターのおばちゃんって感じがするな


「じゃぁこれを……」


 俺は銅貨1枚と鍵を交換し上に上がる。

 宿は上らしく、一階はBARになっているらしい。なんとも異世界の宿を感じられる。


「ふぅーやっと横になれる……」


 ん?ドタバタと騒がしい音が聞こえるな、まぁ一階だろう


「すみ゙ま゙せーん゙!私を止めてぇ」


「絶対無理!」

 

 ふぁ!?前からくっそ可愛い女の子がぁ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る