第2話 奇怪ロボット兵
感情を欠いた彼らの顔が不気味にユウトに近づいて来る。
ユウトは銃を構えながら後退し続けていた、しかしこのままでは確実に追い詰められる。
(オレにできるのか、こんなのと戦うことが)
自問自答してみるも明確な答えは出るはずもない。
だが、確信が持てなくても今はやるしかないのだと彼にはわかっていた。
その時1体のロボットがユウトに向かって腕を伸ばし迫ってくる。
「くそっ!」
ユウトはトリガーを引いた。銃からは光弾が放たれ、直撃したロボットの胴体に大きな風穴を開け。ロボットは後方に吹き飛び沈黙した。
「やったぜ!」
しかし喜びも束の間、他のロボットが彼に襲い掛かった。
ユウトは身を低くして回避し、必死で反撃の機会を伺った。
彼の動きはまだ未熟で、銃の扱いも手探りだったが、生まれ持った反射神経と、何よりも母を救いたいという切実な願いが、彼に驚異的な戦闘能力を引き出させていた。
警官ロボットの一撃がユウトの頬をかすめる。
危機一髪のところで彼は身を捻り再び銃を構える。
息を整え今度はより冷静に狙いを定めトリガーを引く。
光弾が再び一体を貫き、そのロボットもまた崩れ落ちた。
しかし数の上で圧倒的に不利なユウトはやがて取り押さえられそうになった。
だがその瞬間、周囲の空気が一変した。
ユウトが絶体絶命の危機に瀕しているとき、突如として一人の女性が現れたのだ。
彼女は静かなる嵐のように現れその場の緊張感を一瞬で掌握した。
身にまとうコートは風になびきその姿はまるで映画のヒロインのようだ。
彼女の動きは猛烈に速く一瞬のうちに警官ロボットに次々と照準を合わせトリガーを引いた。
光弾が空間を裂き、目にも留まらぬ速さでロボットたちを打ち抜く。
一体、また一体と彼女の前に無力化されていくロボット達。
彼女の動きには無駄が1つもなく、それぞれの攻撃が確実に目標を捉え容赦なく破壊していった。
ユウトはその場から一歩も動けずにいた。
彼女の戦闘の才能、その圧倒的な力に彼はただただ驚嘆するばかり。
警官ロボットたちが一体残らず倒されると、女性はユウトの方を向き軽く微笑んだ。
「大丈夫、もう終わったわ」
彼女がそう言うと同時に、最後のロボットも地面に倒れ、静寂が戻った。
周囲には彼女が破壊したロボットの残骸が散乱している。
彼女はユウトに近づき優しく手を差し伸べる。
その手を取るとユウトは初めて安堵の息を吐いた。
彼女が誰なのか、何故彼を助けたのか、その全てはまだ謎に包まれていたがユウトは直感的に彼女を信じることにした。
いや、今は信じるしかなかった。
ユウトの心は疑問で溢れていた。
彼は助けてくれた女性に向かって質問を矢継ぎ早に投げかけ始める。
「君は?どうしてオレを助けてくれたんだ?あのロボットたちは一体……」
彼の声は不安と好奇心で震えていた。
しかし女性は落ち着いた態度を崩さず、優しくユウトの手を引いてついてくるように促した。
「まずはここを離れましょう。安全な場所に行ってから話しましょう」
二人は破壊されたロボットたちを背にして人目につかない狭い路地を抜け、彼女が泊まっているという豪華なホテルの一室へと入った。
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