明確な戦犯が紛れている玉入れ

どのクラスも自分の玉入れかごの前に集まっている。

今思ったらこれ別に入場とかなかったから絶対行進いらなかったよな?


そしてこれは運命なのか、はたまた仕組まれたことなのかは分からないが、隣は一年Aクラスとなっている。


これでどっちのクラスの玉が多く入っているのかがすぐに分かる。


Aクラスは俺たちのことなんて眼中にないかのようにこちらを向こうともしない...わけにもいかなかった。


桐乃さんが俺の大きなムスコが横に小刻みに震えるほどの威圧を放っているからだ。


そしてその威圧を直に受けているのは凛華だ。


だが、凛華だけは桐乃さんの方向を一切見ないで、代わりに俺の方を向いてくる。


「調子はどうだ清人」


「ま、まぁぼちぼちかな。凛華もさっきの騎馬戦とかすごかったよ」


「お前もさきほどの百メートルは速かったぞ。部活に所属してないお前があそこまでの成長を遂げるのは、大変喜ばしいことだ」


ま、まぁ凛華さん、話はこれぐらいにしておきませんかね?

そろそろ玉入れも始まりますし。


「どれ、少しお前に褒美を与えてやろう」


そういって、凛華が抱きしめのポーズをとってくる。


い、いや~ちょっとそれはここではやめておきませんかね?

大勢が見ているわけですし。


「どうした?何をそんなに恥ずかしがっている?周りの目が気になるのか?だとしたら一切気にする必要はない。お前と私が兄妹というには皆にとっても周知の事実だ。

それとも、私とお前の身長差では、お前の顔が私の胸に直に当たるから恥ずかしっているのか?」


あ、それはないです。

そもそもあんた興奮するほどの胸を持ち合わせていないでしょう。


「ほ、ほら、もうそろそろ玉入れ始まっちゃうからさ。俺はこれで...」


「...そうか。では、ご褒美は帰ってからにしよう」


俺がここまで凛華とのハグを拒んだのには当然理由がある。


もちろん胸がなかったとしても、凛華の体の形や体温が直に伝わるし、今はその匂いはしないが、さすがにこんな暑い中あれだけ集中して騎馬戦で無双したのだから汗の一つや二つかいてなきゃおかしい。その汗を嗅ぐことだってできる。


でも、なんだかさっきから後ろから俺の股間が攻撃されている気がしてたまらない、


どこかの小説で、囚人に今からお前の血を抜くと言い、血を抜く道具を囚人の体に付けたが、実際には血は足らずに、ただの水をぽたぽたとこぼす音を響かせていただけなのに、その囚人は本当に自分の血が抜かれているのでないかと錯覚してショック死したという話を読んだことがある。


今の俺の場合はそれで、いや、その音すらしないのに俺の股間が痛みつけられている感覚がするということはそれ以上か。


恐る恐る振り返ってみると


「......」


案の定桐乃さんが無表情、いや、無表情よりもずっと闇の深い瞳で俺のことを凝視していた。


...多分この視線を脳が受け取り、あまりの恐怖に俺の急所が攻撃されていると変換しちまったんだな。


「き、桐乃さん~?もうそろそろ玉入れが始まっちゃうけど...」


周りにいる誰もが桐乃さんの放つ空気に圧倒され言葉を発せずにいたため、俺が話しかけるしかなかった。


「...そうだね。ほら、みんな、グループに分かれてボールを渡す人がかご側の方に座って、投げる人がかごから少し離れたところに立ってね」


桐乃さんの声のトーンが完全に事務的なものに変わる。


もしかして俺、戦犯?


「そうだ、さっき言うの忘れていたけど、もし隣にいる一年Aクラスに玉の数で負けたら...ちょっと昼休憩のときにみんな集まろうか?」


桐乃さんがそう口にした瞬間、戦慄するのと同時に全員が俺の方を非難の眼差しで見つめてくる。


こればかりは完全に俺が戦犯です。言い訳の余地はありません。

ですから、俺のメールアドレスと電話番号を某援交サイトに晒しちゃってください。

いつでも性欲が溢れかえっている女性の餌食となります。


「それでは、全クラスの準備が整いましたため、これより玉入れを開始します、それでは、よーい」


"パン"と、またしてエロイ効果音と共に開始される。


おっしてそれと同時に手に持っていた玉を一斉に桐乃さんに投げる。


それらを一つも取り逃すことなく桐乃さんはキャッチし、キャッチしてから0.5もしないうちに投げ、かごの中に入る。


それを何回も繰り返す。


かごの中の玉を見た感じ、俺と桐乃さん以外もみんな死に物狂いで投げているということが分かる、


てかペアが桐乃さんだから結構これすぐにボールを投げなくちゃならなくて体力使うな。

隣のAクラスがどれぐらい入れているかを確認する暇すらない。


...まさか桐乃さんとの夜の営みでもこれぐらいの体力が必要なのだろうか...//


玉入れの制限時間は四十秒となっており、俺が五回ぐらいぶっ通しでペニスエクササイズをしたぐらい体力を使った時にようやく終了の"パン"が鳴った。


これより各クラスの担任が自分のクラスのかごに入っている玉を声を上げて一個一個取り出していく。


ていうか今日初めて担任の顔を直に見た気がする気がする。


担任による集計が始まってはや数十秒、もう三年生は我がクラス以外は全滅した。

そして徐々に一二年生のクラスも脱落していく。


そして残ったのは一年Aクラスと三年Eクラスの二クラス。


まさかの三年生が残ったということで周りは驚きを隠せない。


「83... ...」


と、隣のAクラスのかごに入った玉の合計は83らしい。


そして対する我がクラスは


「84!」


なんと一点差で一年Aクラスに勝った。


正直やる気のない三年生が勝ったということでグラウンドは微妙な雰囲気に包まれた。

もちろん、誰も寄声を上げて喜ぶなんて真似はしない。

ただただ桐乃さんの言った"お昼の集まり"がなくなって一安心している様子だ。


「やったねきよと「お見事だ清人」...」


こちらに抱き着こうとしてきた桐乃さんを押しのけ、凛華が俺の方を引き寄せ、若干体を密着させながら強引に握手をする。


「「「「「「「「「「「「......」」」」」」」」」」」


この行動にクラスメイト全員が冷や汗をかく。


もちろん桐乃さんはというと


「......」


うん、やっぱり俺戦犯だから罰として俺が首輪をつけられて四つん這いに散歩させられている動画海外のエロ動画サイトに載せていいよ。


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