駄犬の浴衣

「ふぅー」


ペニスエクササイズをし終わり、"ムスコの白い汗"をティッシュでふき取る。


「うわ、もうゴミ箱ティッシュだらけやん」


自室のごみ箱の中はティッシュだらけで、あともう少しで溢れそうだ。


「...ゴミ箱の中のゴミって凛華がまとめて捨ててくれてるんだよな」


このティッシュに付着している濁った黄色と、腐ったパンケーキの匂いが充満していることから、凛華は絶対にこのティッシュの正体に気づいている。


...//


今度さらっと俺のゴミ箱に捨ててあるティッシュについてどう思っているか訊いてみようかな。


「......この夏休み、長かったな」


高校生最後の夏休みにふさわしかった。

いや、ふさわしすぎた。


まず夏休み初日からの凛華とのデート。

歩歌の夕食事情を探り、煽って家に帰らせようとしたらキス責めで返り討ち。

桐乃さんの突然のお家訪問。

凛華の剣道大会観戦。

女王様の帰還。

桐乃さんの殴打事件。

桐乃さんのお家訪問。


ホントにいろいろとあった。


ちなみに、桐乃さんが俺を机に叩きつけて気絶させた件についてはまだ桐乃さんに対する我が妹たちの嫌悪が取り除けていない。

当然それ以前も我が妹たちの桐乃さんへの好感度は著しく低かったかが、さっきの下での会話を見てもらえば分かるように、もう名前を出すことすらタブーになりつつある。


そのため、俺と桐乃さんをしばらく合わせないということで、ここ数日は完全に軟禁状態だった。


家に泊めてもらった日以降、桐乃さんとは会っておらず、メッセージでしかやり取りしていない。

俺の知っている桐乃さんだったらこんなこと認めるはずもなく、我が家に突撃してくるような方だが、俺を自らの手で気絶させたという負い目もあるのだろう。


あ、ちなみにあれからすぐまた新しい首輪がつけられた。(今度は鈴はついていない)


まぁその負い目のおかげでまだなんとか俺は日常生活を送れているが、今後いつその均衡が崩されるのか分かったもんじゃない。


「...今のうちにいろいろと言い訳を考えておく...いや、やっぱやめよう。なんだか遺書みたいだ」


とりあえず俺にできることはないな。


まさかギャルゲみたいに、ヒロインのうち誰かを一人を選ばなければいけないという展開も来るわけないし。


...来るわけ、ないよな?

なんか前に凛華が同棲しようとか言っていた気がするが。


と、いろいろと過去を振り返ったり、これからの未来について考えていると


「あ、もう五時やん」


今の時刻がもう五時過ぎだということに気づいた。


確か、浴衣を着させるから颯那の部屋に来いってことだよな。


男の浴衣なんて全く需要ないと思いますけどね。


部屋から出て、階段を上り、颯那の部屋の前に着く。


四階ノックし


「入りなさい」


と返事がしたので、中に入る。


「...やはり駄犬である兄様が最後ですか。それも道理ですわね」


こればかりはしょうがない。

だって僕、駄犬ですもん。


俺が最後ということは、もうみんな浴衣に着替えて一回に待機しているのか。

でも、颯那はまだ浴衣に着替えていないようだが。


「兄様に着てもらう浴衣はこちらですわ」


と、ベッドの下から俺用の浴衣を取り出す。


「......」


めっちゃボロボロですやん。


颯那が見せてきたのは、もう何年も使われてきたかのようなボロボロの浴衣だった。

もともとは色や模様がついていたのか、全体が少し黒い鼠色で、所々ちぎれた線のようなものが描かれている


「どうですか?兄様にはピッタリでしょう?」


当然僕のような駄犬ように浴衣を準備してきてくれたことは嬉しく思いますが、これなら今の服の方が


「安心してください。これは新品ですわ」


とてもそうには見えないが...


もしこれが中古屋とかで奥の方にあるもはやネタだと思われるものじゃなかったら、わざわざ颯那が俺の為に汚したということになる。


......//


すまん、自分で言っておいてあれだが、なんかその表現の興奮してきた。


「ほら、早く着てみてくださいまし」


颯那がそうせかすもんだから、俺は鏡の前で服を脱ぎ、ズボンとパンツを脱ぐ。


今俺は完全に颯那に裸を見せている状態だが、二人の間でそれは日常茶飯事な為、特に気にならない。


颯那も俺の体を見て嗜虐的な笑みを浮かべているが、それもいつものこと。


ついこの間なんて俺のイチモツを思いっきり踏みつけて大量発射したのだからこれぐらいなんとも思わない。


あの時は踏んでいただき誠にありがとうございました。

今度は足や指だけではなく、普段手入れできないようなところも舐めさせていただきます。


浴衣を着こなしたのなんてもういつぶりか分からず、着るのに苦戦すると思ったが、このボロボロな浴衣はただ手を裾に通して、帯を締めればOKだった。


「き、着てみたけど」


颯那の方を向き、俺の浴衣姿を見せる。


「ええ...ええ!!いいですわ。より一生わたくしの愛玩動物にふさわしいお姿になりましてよ」


それは光栄だ。


「さ、次はわたくしの番ですわね。わたくしのは少し時間がかかるので兄様も他の三人と下で待機しておいてくださいまし」


時間がかかるってことは、自分の浴衣はよっぽど豪華なものなのか。

まぁお嬢様なのだからそれも当然か。


俺は三人の浴衣姿に期待しながら、リビングに降りて行った。

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