自首
「清人君、本当にもう帰っちゃうの?」
「あ、ああ。さすがに二日連続は迷惑かなと思って。親御さんもいつ帰ってくるか分からないし」
朝起きて、桐乃さんが作ってくれた朝食を食べ終わると、俺はすぐに帰る支度をし、朝のうちに帰ることを伝えた。
桐乃さんの言う通り、もう少し泊まりたいという気持ちもあるが、昨日菊島さんが不法侵入してきたのを見て、我が妹たちもそれぐらいは平気でしてくるだろうと推測し、修羅場に発展する前に大人しく自首することを選んだ。
「全然わたしは迷惑だと思ってないよ、安心して、何か親が言ってきたらわたしが黙らせるから」
家庭内暴力発見!
「ま、まぁほら、喧嘩して何日も帰らないっていうのもなんだか拗ねてるみたいでかっこ悪いじゃん」
「もしわたしが清人君の立場だとしたら、あんな可愛げのない妹たちがいる家になんか二度と戻らないけどな」
平然とその妹たちの兄に言いのけちゃったよ。
「帰ることがあれば、それは復讐したいと思うときだけかな」
最近、桐乃さんの表現に躊躇がなくなったような気がする。
「じゃ、じゃあ俺はこれで帰るね。それじゃ」
これ以上ここにいたら監禁でもされそうな雰囲気だったため、強引に話をまとめ、玄関に出る。
「...うん、わかったよ。もし、止まりたくなったらいつでも連絡してね。あ、別に連絡しなくても当日にインターホンで直接伝えてもいいからね」
そんな失礼極まりない行為できませんよ。
門をくぐり、今度こそ外に出る。
「...さて、お家に帰りますか」
さぁ、家に帰ったらいったいどんなお仕置きされるかな//
首輪とリード、あと手錠は確定。
そして多分痛いお仕置きもしてくるだろうから無難に鞭打ちか?
いや、ロウソク?
それとも電気アンマー?
ちなみに俺としてのおススメは電気アンマーだ。
昨日桐乃さんの全裸を堪能できたというのに、まだ一回もペニスエクササイズができていない。
これは由々しき事態だ。
こんなに性欲が溜まっているのだから、これを一人でいつも通り手orティッシュの中に出すのはもったいない気がする。
だからここは電気アンマーでもされて盛大この軟禁状態の我が子孫たちを外に解き放ちたい。
あー今はまだダメだ。
まだ外に出ようと暴れるんじゃない。
大人しく中で待ってろ。
俺は崩壊寸前の我が子孫たちが閉じ込められている檻を手で押さえながら家に向かって歩き出す。
そして桐乃さんの家から歩きだしてさほど経っていないうちに家の前に着いた。
「......」
なんだか一日帰らなかっただけでこの家の風景がひどく懐かしく感じる。
やはり俺の帰ってくる場所はここ。
駄犬は主のもとからは何があっても離れることができないと近くで颯那が囁いているみたいだ。
インターホンを押そうとすると、その前に玄関のドアが開き、中から凛華が出てきた。
「......」
俺の方を無言で見つめ、仁王立ちしまるで門番みたいに家の入り口をふさいでいる。
...やはりただじゃすまなそうだな。
「た、ただいま凛華」
「......」
まずはいつも通り帰ってきたことを報告する。
もちろん反応はない。
「帰ってきたから家に入れてほしいんだけど...」
「......」
相変わらず無言で俺のことを見つめてくる凛華。
「じゃ、じゃあとりあえず中に」
「三階で、姉様が待っている」
俺が凛華を押しのけて半ば強引に中に入ろうとしたとき、本当に門番かのような威圧感のある低い声でそう伝えてきた。
...声はまたいつもより一段と低くなっているが、そんなのしょっちゅうある話だから別に怒っているというわけじゃ
「......」
まぁ怒っているのは間違いないんだろうけど、それもまだ格別にっていうわけじゃない。
このぐらいの怒りなら、凛華に関して言えば日常茶飯事なため、特に気にする必要はない。
「そ、それじゃあ俺は三階に行ってくる」
靴を脱ぎ、廊下を歩き階段を上ろうとしたところで
「待て」
と、凛華に肩を置いてきた。
ちなみに、凛華からしたら"肩を置いた"という表現になるのかもしれないが、俺からしたら"肩を掴む"という表現になる。
「え、えーっと、何?」
「お前、一人暮らしに興味があるのか?」
「はい?」
「だから、一人暮らしに興味があるのかと聞いているんだ」
...どういうこと?
もちろん言葉の意味自体は分かるが、なぜそんなことを今の段階で聞くのか。
「なんでそう思うんだ?」
「お前は昨日家から逃げ出して、どこか一人で野宿でもしていたか、あるいはお前のクラスの学友の家にでも身を寄せていたのだろう?」
あーなるほど。
つまり凛華は俺が桐乃さんの家に泊まったとは思っていないのか。
だから別に格段と怒っているわけでもないんだな。
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