その後と今日のご褒美
「あら、兄様、ご機嫌いかがかしら?」
やっぱり最後は颯那が入ってくるよね。
まぁそれも当たり前か。
なんせここは颯那の部屋なのだから。
「兄様、ここに至るまでの記憶はございまして?」
颯那が俺の体に乗っからないよう、ベッドの上に腰掛ける。
「俺が桐乃さんに怪我をさせられて、なんか颯那が穏便に済ます的な話をしていたところまでは覚えていたけど、そこからは何も」
「それは当然ですわ。あのとき兄様は完全に気を失っていたんだもの」
そりゃそうか。
俺も気を失うなんてフィクションの中だけの話だと思っていたが、まさかおでこから出血し、そのまま意識がなくなるなんて。
これは貴重な体験させてもらいました。
また一つオカズ用の素材が増えました。
「で、俺をここまで運んだのは」
「わたくしの"大切なお友達"ですわ」
"大切なお友達"ねぇ...
「兄様が記憶を失った後、わたくしはすぐにお友達を塾に呼び出して、担いでもらいました」
「え、塾を出るまでさえもそのお友達に担がせたってこと?」
「当然でしょう?わたくしが兄様を担ぐなんて、世間体が悪いではありませんの」
恐らく、悪くなるのは俺の方だな。
「塾長には適当に話を誤魔化したのでご安心を」
「それはありがとう。でも、どうして俺は颯那の部屋の部屋に?」
「あら、飼い主がペットを手もとに置いておくのは当然でしょう?」
そうでした。
僕は颯那の駄犬でした。
人間の言葉を喋ってごめんなさい。
「でも、ちょっと意外だな」
「意外、とは?」
「いや、まさか本当に颯那が穏便にするとは思わなかった。口ではああ言ったけど、実際には何もかも最悪な形で暴露して徹底的に追い詰めると思ったんだけど」
「もちろん、自分のペットを傷つけられたことには大変憤りを感じておりますわ。でも、あんな方でも一応は兄様の彼女。そんな身分な方の印象を著しく下げる行為はしませんわ」
おおー優しい。
それと一応は俺と桐乃さんの仲を認めてくれているわけね。
「まぁ当然、そんな恋人ごっこには終止符を打つつもりですけど」
はい、やっぱりそうなりますよねー。
お嬢様は自分のペットの結婚など認めたりしませんからねー
「それで、桐乃さんはどんな様子だった?」
「ご主人と二人きりのときに別の女の名を口にするとは」
一瞬颯那は軽蔑した目で俺を見つめた。
ていうか一瞬じゃなくて、常にその目してない?
「絹井さんは教室を出て行く際、完全に放心状態でしたわ。脳が無理やり足を動かしていたと言った方が適切ですわね」
あの桐乃さんが、放心状態。
俺はいわゆるリョナと言って、女の子がひどいことされたり、思いつめられている様子を見て興奮するサディストではない。
あんなので興奮するのはここにいるこのお嬢様ぐらいだ。
「でもよかったですわねーあの廃人のような姿。もし兄様があんな姿になったら...ああ、想像するだけど歯止めが効かなくなりそうですわぁ」
ほらね、あれはこういった重症化したサディスト向けのコンテンツなんよ。
あ、ちなみに逆リョナなら大歓迎よ?
なんなら俺がされる側として立候補したい。
とにかく、桐乃さんのそういう廃人みたいな姿は見たくないってこと。
できればいち早くいつもの桐乃さんに戻ってほしいし、また適度に俺を興奮させてほしい。
「そうそう兄様、わたくし、先ほど兄様の頭から血を流している姿を思い出してしまって、つい指を切ってしまいましたわ」
どういう状況?
指を切ったということは料理中だったってことか?
いや、でも、颯那って料理できないんじゃ...
「兄様、今、何をお考えで」
「い、いえ、何でもありません」
やはり颯那の勘の鋭さは侮れないな。
「ほら、見てくださいまし」
颯那が俺に見せつけるように人差し指を前に出す。
確かにもう血は止まっているが、完全に閉ざされてない傷口がある。
だけどこんなの本当に目を細めないと気づかないぞ?
俺は視力が良いっていうアドバンテージがあるからこそ見えるが、他の人だと普通は見落とすぐらいの大きさだぞ。
「兄様、ここからすることは分かりますわよね?」
「は、はいご主人様...」
俺は優しく颯那の人差し指に舌を合わせ、必死に舐め回す。
手汗…はやっぱり書いていないが、塩のような味がする。
その塩があれに足を蝕んでいく。
それに加え足とは違い直に颯那の体温が伝わってくる。
「ほら、もっとくわえこんでくださいまし!」
「うっ!!!!」
颯那が一気に指を置くに進め、思わずえずきそうになってしまう。
「おぇっ!!!」
だがそれを颯那の指が許さない。
「ほら、兄様、もっともっと」
く、苦しい。
でも、このえずきそうになってもえずくのが許されないこの感覚がたまらない。
ああ、ムスコよ。今は自らの性を開放するときではない。
もうこの指舐めプレイだけで、今日起こったことすべてが吹き飛んだ。
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