ツンデレに豹変...?

今日はツンデレボイスが鳴る前に目が覚めた。


顔を洗い、制服に着替え一階に降りる。


「おはようございます...」


そう言いながら静かにリビングのドアを開ける。

案の定中は


「「「......」」」


全員が沈黙し、険悪な空気が漂っている。

しかもなぜか今日に限って凛華が朝練に行ってない。


歩歌はもう朝食を食べ終え、機嫌が悪そうにスマホをいじっており、風珠葉は俺と同じく気まずそうに箸を進めている。

そして肝心の凛華はというと、椅子に座り腕を組んでいるが、食事には手を付けてない。

まさか俺を待ってる?


「清人、食べるぞ」


俺が近づいてきたのに気づいた凛華が食事をするよう促す。


「そ、その前に、凛華、今日朝練は...?」


「...お前、それでも受験生か?」


?凛華が朝練に行っていないことと、俺が受験生なことにどうつながるがあるんだ?


「今日からテスト一週間前だろ」


「...はい?」


またまた~ご冗談を。

やっぱり凛華の性格から考えて冗談は下手だな~。

どれどれ...はっ!?


スマホで今日の日にちを確認すると、七月七日と表示されていた。

...どうやらまだ六月と思っていたのは俺だけだったようだ。


「い、いただきまーす...」


すっかり元気をなくし、弱々しく手を合わせる。

俺が食に箸をつけると、凛華も食事を開始した。


「...っ」


すると歩歌が椅子が倒れるぐらいの勢いで立ち上がり、こちらを見ようともせず玄関へと向かった。

...これはちょっと重症だな。


ここは歩歌のケアもするとしようか。

よし、出番だぞ風珠葉!


「...はぁ」


俺の合図に気づいたのか、風珠葉が歩歌の後を追っていく。


「待ってよ歩歌ねぇ!」


二人は同じ中学なのだから一緒に登校するのが道理だ。


「おい、どこを見ている。今は私との食事に集中しろ」


「はいはい...え?私との...?」


今凛華さんすごいツンデレ発言しませんでしたか!?

無表情を貫いているみたいですけど本当は真っ赤になるのを堪えてるんですよね!?


「おい、くだらない妄想をしている暇があるならさっさと食べろ」


「...すんません」


...今の口調からして別に照れてるわけではないようだ。


「ごちそうさま」


朝食もいつもより少し量が少なめだったな。

凛華なりに昨日のことに負い目を感じているのだろう。


「食べ終わったようだな」


「ああ、これからもこれぐらいの量がちょうどいいよ」


さて、食べ終わったことだし、早速桐乃さんのお家に


「少しいいか」


俺が二階からリュックを持ってこようとするのを、凛華の声が制す。


「その...だな」


「?」


珍しく凛華が言葉に詰まっている。


「テスト期間で朝練もないんだから...い、一緒に登校しないか?」


「......」


えーと、今俺の前にいるのは本当に凛華か。

一時期性転換した男とまで言われていたあの濡髪凛華か?


「え...俺と一緒に登校したいってこと...?」


「たまにはそういうのもいいと思うんだが...だめか?」


普通にギャップ萌えでキュン死しそう。

いつもはクールで厳格な凛華が弱々しく俺と一緒に登校したいという。

これで堕ちない男なんているのか?

ましてや妹に言われて堕ちない男など。


「じ、じゃあ一緒に行くか」


「...頼む」


凛華はもう学校の準備はできているみたいで、リュックもリビングにおいてある。


俺も急いで二階からリュックを持っており、玄関に向かう。


「いつもはこのまま直に学校に向かうのか」


「前まではそうだったんだけど一昨日から...あっ」


...大事なことを忘れいた。

もしこのまま凛華と一緒に登校したら桐乃さんと鉢合わせてしまう。


昨日の感じからしてやはり二人は相性が悪い。


でも、まぁ


「どうした?清人」


きっと今の少し穏やかでいるようにも見える凛華なら昨日みたいなことにならないだろう。


こうして俺は凛華と共に、桐乃さんの家に向かった。

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