第10話 叔父一家の来訪
神界に助け出されたアルティスは、
この数日後に、両親に降り掛かった不幸を、知る事となる。
執務さえも放棄して、アルティスを探しに出た両親は、
叔父の雇った闇ギルドの暗殺者の手によって殺害、
悔しさやら何やらで、涙が止まらなかった。
でも今のアルティスには、大好きな両親を守る手立てが何も無かった。
「アルティスよ、悲しむ必要は無い。人はいつかは死を迎える。
じゃが、肉体は朽ちても、その魂は別の世界で生きておる」
魂は、創造神の構築したシステムで、死んだ後、自動的に
そして生命神ミリアに頼めば、いつでも会えると聞かされた。
後にアルティスは、何度も両親に会いに行く事となる。
魂は生前の姿のままだった。そして皆若い。
「じいちゃんも女神様の様に、若く綺麗な姿でいれば良いのに」
〝綺麗な〝のところに反応してミリアが嬉しそうに、アルティスの顔を抱きしめる。
ミリアの豊満な胸が、アルティスの顔を包み込む。
「くっ、苦しいよ〜 女神様〜」
「アルティス?私の事は、姉だと思って、ミリア姉様と呼びなさい♡」
母では無くて姉か〜?賢いアルティスは、そこには突っ込まなかったが、
巨乳を苦手になったのは、この時からなのかも知れない。
「わしの事は、お兄様で良いぞ」
と、創造神。
ミリアの生暖かい視線を感じ
「じいちゃんと呼ぶが良い……」
あっ、早っ!直ぐ訂正した。
「この年老いた姿は、まあ創造神としての、イメージ作りじゃな。
若すぎると威厳が無いじゃろ?
そもそも〝何々じゃ〝とか、年配でもそんな喋り方する者周りにおるか?まず、おらんじゃろ?」
確かに。こ〜じゃなきゃ神様っぽくないかも?
両親の魂の住む処は、とても居心地が良い。そして美しい所だった。
そして2人とも幸せそうで安心した。
(叔父達は死後、どんな場所に行くのだろう?心配に…… いや……ま、どうでも良いか?)
両親に会うたび、叔父一家への憎しみは、段々と薄すれていった。
だが、いざ彼らを目の前にすると、自分を殺されかけた怒りと、両親を殺された憎しみが蘇る。
(私欲の為、血を分けた兄弟を平気で殺め、その地位も財産も自分のものにして贅を尽くす。
これでも自分と同じ人間なのか?)
アルティスは冷たい冷気を
「俺に何か用か?」
背筋が凍る様な、低く冷たい声で言い放つ。
フィオナ達は、いつもと全く違う、アルティスの気配に、言葉を無くしている。
「な、何だ!貴様!それが伯父に対する言葉遣いか!」
顔を真っ赤にして怒鳴りつけ、詰め寄る叔父ラグナル。
ラグナルは焦っていた。
アルティスの帰還と、早々の活躍を噂で聞き、アルティスがどこまで知っているのか?
自分の悪事を暴露されないかと。
いても立っても居られなくなり、アルティスが、何をするつもりなのかを探りに来たのだった。
あの犯行を計画したのは、全て叔母であるメディシスだった。
身の丈に合わない
「
なあ叔父さん?後ろめたくて怒鳴るんだろ?色々考えると怖くて仕方ないんだろ?小さい男だな?」
「き、貴様〜!」
忠告を聞かず、ラグナルが又怒鳴る。
その横で〝キィ〜〜〝メディシスも何だかヒステリックに叫んでる。
「フィオナ姫さま〜」
従兄弟のブタはそんな事どうでも良さそうだ。
(何だか、ばかばかしくなってきた。こいつら住んでる世界が、違いすぎるな?)
両親が魂の里でいつも言っていた事を思い出す。
「あの人達を
そう優しく母のシャルロットが言う。
「憎むなんて時間の無駄だよ、父さん達は、ここで幸せに暮らしているんだから……」
父のライアルドが優しく
(こいつらをまともに相手するのも馬鹿馬鹿しい……)
そう思えてきた。
「お前達に2つの選択肢をやるよ」
静かに、しかし冷たい声でアルティスが言う。
「1つ、爵位。そして財産……ああ?それはもうほとんど残っていない様だけど……
両親から奪った全てを俺に返す。
1つ、悪事全てを告発されて、死罪を受ける。
さあ?どっちを選ぶ?」
「あ……あ〜〜悪事とは何だ〜〜!何か証拠でも有るのか!?」
「こう言うのだけど?」
左手を、かざすと、そこの空間に何やら立体映像が浮かび上がる。
アルティスの魔法だ。
「魔道船よ魔道船、そこであの澄ましたガキ、アルティスを突き落とすのよ」
「良いかお前ら、死体は絶対残すなよ!燃やした上で、更に深く埋めるんだぞ!」
次から次へと、見ても聞いてもいられなくなる様な、醜い出来事が、
あたかもそこで起きている事の様な立体映像になって流れる。
「でっち上げだ!そんな物お前の作り物!証拠にもならん!」
「あんた達の今迄の評判が、これを肯定するんじゃないか?
さあ、どうする?選べ……」
「父、リヴァルド王も私も、他にも大勢が、既に、この映像を見せて貰ってます。
貴方方に、未来は無いと思いますよ?」
「………………」
「ねえ?アル?奪ったもの全て返したらそれで許すのですか?
罰を与えない?貴方はそれで良いのですか?」
「父さんと母さんの想いでもあるから……」
「父さんと母さんって、どう言う事?亡くなってらっしゃるのでしょ?」
「まあ、後で説明するよ。いつかヒナも俺の両親に合わせたいな……
お嫁にもらう時には、じいちゃん達にも会ってもらわなきゃな!」
「よ、嫁にもらう〜〜?」
ブタが
フィオナは顔を赤らめて、モジモジしてる。
(そろそろイケるんじゃネ?オヨメサン?)
「アル、貴方、器が大きいのね……」
(やっぱいけそうじゃネ?)
叔父一家は震えながら、力なく帰って行った。さあどうするのだろう?
(死にたくはないんだろうな〜 死んだ後、とんでも無い処に飛ばされるよ?お前達。
まあそんな事、教えるつもりないけど……行ってから精々悔やむがいいんだ)
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