第11話 凪の逃走劇
「ハァハァハァ」
俺は裏道の壁によたれかかり、ズリ落ちた。
遠くの方でサイレンの音と、屋根を歩く足音が複数聞こえる。
俺自身に、大きな怪我もしていないが涼と同じく、機動性に非常に欠けていた。
決して足が悪い訳ではなく、そんじゃそこらの陸上選手よりも速い。
原因としては、凪を追撃する者共があり得ない速さを誇っているからだろう。
(クソ!このままじゃジリ貧だ。奴らを殺さずに無力化するのにも集中力が必要だ、このままじゃ殺しかねんぞ)
俺は息を整えつつ、乱れたネクタイに、斬られたスーツの袖を上手い具合、に真っ直ぐに切ったりしていた。
そして、ついに俺が休んでいる裏道の近くに、二人組の追撃者の一部が来た。
俺は息を殺し、奴らの会話を聞いた。
男「この辺りに奴が逃げたはずだが……」
男2「ああそうだな、もしここで取り逃がせば……あぁ恐ろしい、国民にどう言い訳すれば良いのか」
男「ちなみに、Central stationの損害は軽微らしい、ノース行きの車列は問題なく発車するらしい」
男2「奴の目的は何だ?ただ単純にノースの車列を破壊するなら、もっと上手い方法があったはず」
男「知らねぇよ上に言われた事を、大人しく従順に聞けば、将来安泰なんだぞ、奴等
みたいに変に反乱して追われる身になりたくないだろ?さぁ無駄話は、ここら辺にしてさっさと仕事終わらせるぞ」
男2「そういえば、卯月とは別の反乱者達はどうなってるんだ?」
男「
男2「そうそう!そいつらの事だよ」
男「俺も大した情報は聞いてねぇが……どうも
男2「あの金鶏が!?」
男「あぁそのまさかだ、4つある部隊の第2が、古今東西で卯月事件とノースを育成している、言わば国内問題対処のエキスパートに、3年前になったのは知ってるよな?」
男2「あぁ」
男「金鶏似たような組織だが…古今東西の手が回らない場所まで担当しているのが金鶏だ、
最近踏み込みもしたらしい、古今東西のほぼ全員がノースにいる今、国内問題は金鶏に任したみたいなもんだ。」
男2「なるほどな〜」
男2人組は歩きながら、確実に凪が隠れている場所に近づいて来た。
男「まぁ、成果全くないらしいけどな」
男2「マジかよ…って事はそろそろ
男「バカ
八咫烏は最終部隊だ、こんなんじゃ召集されん第一に首領が死んだ今、誰が首領になるんだ?それに八咫烏は舞鶴事件が初の招集だった。て事はそれぐらいの大規模で国家存続問題級じゃ無いと無理だ、反乱者如きに八咫烏は火力が違いすぎる」
男2「……お前やけに詳しいな」
男「……ようやく違和感に気がついたか…お前も鈍感だな
1人の隊員が知っている情報量じゃないだろ?」
男2「お前…まさかy/」
男「シー死にたくなかった気絶してろ、そして愛山 凪にやられたとでも言え」
ドス
男2は男に意識を刈り取られしまった。
男「……いるんでしょ?愛山凪」
俺は、かなりびっくりした電化製品すら騙せる、俺の存在感の無さのこうもあっさり見破られたのだ。
「あぁ俺はここにいるぞ」
「初めまして…私四賢人の副統領の◯◯◯◯《ピーー》です」
「お前がか…」
「正確には副ですが…まぁ同列ですよ我々の存在意義はご存知で?」
「いや全くだ、ここ3年はほとんど地下から出てないからな」
「簡潔にお話ししますと…四賢人は貴方が…涼さんの支援組織です」
「何故だ?俺たちは、そんなもん作った記憶は無いが」
「涼さんのお姉さん、咲江さんが発起者です」
「あいつは…どこまで先を見通してるんだよ」
「…咲江さんは残念でしたね。今この国の状況はご存知で?」
「さっぱりだ」
「それでは、また簡潔にお話ししますと三分状態です
卯月派、政府派、中立派です
卯月派は察しの通り、我々や貴方方を指します。
政府側は、古今東西を筆頭の政府軍などです。
中立はどちらも入っていない民衆です。
政府が言う事は理には適っているが、卯月派が弾圧するための大義名分があり得ない
実の姉を殺すなんてあり得ないし、英雄咲江を殺すなんて意味のない事です。
卯月の兄妹の仲の良さは、咲江がマスコミに出た時から民衆は知っていましたから尚更ですよ。卯月派は、今の所完全なる悪とされているが、民衆に直接的な被害がないため。いまいち実感が湧かず政府の言うことも、卯月派の事も分からない状態です。なので民衆はこの話題の事に触れようとはしませんが、事実上の内戦に近いです政府の息が掛かっている地点ではプロパカンダ並みに、卯月の悪業を知らしめてますよ。本当にここ日本ですかね?」
男は、首を傾げながら説明した。
「それは知らんな、奴等が何故サキを殺したのか、とかはそっちの情報網で分からなねぇのか?」
「申し訳ございません…まだ動機については分かっておりません」
俺は、この事件の最大の謎であるサキ殺害の動機を聞いてみたが…思った通りの回答が返って来た。
「まぁ取り敢えず助かった、研究所まで戻れれば後は安全だ」
「その事なのですが…私達の場所に拠点を移して貰えませんか?
そちらの方が我々は護衛できますし、情報共有が円滑にできます
また戦力としても、教育者としても、凪様は我が組織に必要です」
「うーんそれはちょっと問屋がおろさねぇな、だが代案がある
俺は自身が持っていた、予備のケータイを渡した。
「…分かりましたそれでは今日の18時ごろCentral Parkに10名ほど待機させますので、教育してあげて下さい」
「分かった」
(これでしばらくは暇で死ぬ事はなさそうだな…)
凪はまだ見ぬ、弟子達を想いながらニヤニヤと笑っていた。
その後、凪は無事に研究所に戻ったが、食糧を買い忘れており飛鳥にめちゃくちゃ怒られた。
四賢人の本部に戻った、男は凪の所に送る者を選抜していた。
選ばれた者はキツくない訓練だと言う事を、神に願っていた。
男2は、凪達が解散した後に目が覚めたが、何が起きてたか忘れてしまい、その足で家に帰ったとか……翌日上司に呼び出された雷が落ちたのも、また気のせいだろう。
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