第8話 Central stationの戦い

 俺……愛山 凪は腹を括っていた。

 俺も古今東西から追われる身なのだ、いくら影が薄くてもカメラには映る。

 自動ドアが5回に1回しか開かなくても、データには残る。

 目の前に居るのに、堂々と俺の目の前で悪口を言われるのはかなりあってもだ。

(Central stationに行けば、必ず奴らが仕掛けてくる……涼の身を守るためには俺がひと暴れするのは必至……)

 事前に涼と打ち合わせをし、俺がいなくても列車に乗ってさっさと行けと言ってある。

 俺は、涼とは距離置いているため関係がバレる事はない。


 --------Central station前--------

 プルルルル

「はい…どうしました?」

「涼、先に構内に入っててくれ…俺は野暮用ができた。

 俺から連絡が無くても列車が来たら乗れよ。それじゃ研究所で待っている」

「あ、ちょっとま/」

(これで…俺の仕事は終わりだ、あとはコイツらどう処理しようかな)

 は、傍目に涼が構内に入っていくのを確認しながら、物陰やビルの窓、新聞を読んでいる風の男、談笑しているが目がこっちを向いてる男女を見た。

(裏道に誘導されたか……一般人は居なそうだな)

 スーツ姿で、腰に直刀を下げた男が近づいて来た。

「愛山 凪

 貴方には、逮捕状が出ています…大人しく着いて来てくれますか?」

 男は、直刀に手を掛けながら聞いて来た。

「……逮捕容疑は?」

 凪は愛刀一文字に手を掛けながら聞いた。

「分かっているでしょう?反乱容疑ですよ」

「すまないな…身に覚えがないから抵抗させて貰おう」

「全員掛かれ!!!」

 俺が一文字を抜くのと同時に、約30人近い男女が一斉に襲いかかった。

 双剣に、細剣、大剣に直刀まで居た。

「はぁ煌剣使いを舐めすぎだな…“剣鬼乱流“」

 技を放つのと同時に空間支配もしていた俺に特殊部隊と言えど、烏合の衆だった。

「ッチ幻影か……御日か!」

「……バレたか」

 30人ほどを全員切り捨てたあと、俺は歯軋りした。

 たった今切り捨てたのは、全て幻影で全くの無駄だったためである。

 そこには御日と15人近いスーツ姿の男女達だった。

「やはり貴方の空間支配は厄介ですね……私の幻影も半分まで減らされましたよ」

「お互い様だろう?俺は1人に対して16人とは随分手厚い待遇だな。」

「古今東西《我々》全員で来たかったですけどね」

「そりゃご遠慮願いたいね!!」

 俺は答えるの同時に切り掛かった、自身の能力という能力は底上げされているので、かなりのスピードだった、直刀なのに細剣レイピアと同様のスピードが出ていた。

「ック」

 御日は反応こそ出来たものの、取る体制を誤り一方的に押されていた。

 周りの者たちは、早すぎる剣戟に助太刀する隙間も無く、周りを囲むだけだった。



 --------Central station構内----------

 ドゴーン

(近い場所で戦っているのだろうか?)

 月乃は、既に駅構内に入り水を買おうと自販機に向かっていた。

 窓から外を眺めた。

 そこには、クレーター状になった道路に裏道の方から上がる土埃。

 倒れ伏すスーツ姿の男女、かなりのスピードで斬り合ってる愛山 凪と長髪で前が見えてるか怪しそうな男。今の所は凪さんが優勢だが……段々と疲れが溜まり始めているしこのまま移動戦となれば再度、空間支配をしないといけないが、それを許すほど敵も甘くないようだ。

(……押され始めたな、このままでは凪さんは負けるだろう。

僕にはどうする事も出来ないが、卯月としてならできる!)

 月乃 涼はそう思うと、卯月 涼の姿をした分身体を駅の外に作成した。

(これで一瞬でも気を紛らわすことが出来たら、逃げるぐらいは出来るだろう)

 卯月分身体は、斬り合ってる中飛び込んで行った。


一方その頃……

(!!なぜ卯月が飛び込んできたんだ?………いや分身体だな)

 ここで、御日と凪は互いに距離を置いた。

 凪は、既に満身創痍で一刻も早く逃げたかった。

「………青年よ、ここは大人の戦いだ首を入れるではない」

 御日脅そうとしたのだろう、そこら辺に落ちていた部下の細剣を卯月分身体に向けて、投げつけた。

 ガシャン

 卯月分身体は素早く避け、細剣は壁に当たった。

(……今の避けた?手加減はしましたが並の学生じゃ反応さえ出来なはず…まさか卯月 涼!?)

「………お前は卯月か?」

「……」

 卯月分身体は喋れない、なんとも言えない間が広まるが、それを見逃すほど凪も馬鹿ではない。

 この隙に卯月分身体を囮に、逃亡を図っていた。

「クソ…凪を逃した…まぁ卯月が現れただけでも十分か……全員掛かれ」

 その瞬間、倒れていた部下達が起き上がり、卯月分身体に襲いかかった。部下の直刀が涼の腕に当たった瞬間、白い煙が周囲を覆った。

「……逃げられたか」

 晴れた時には御日の部下しか居なかった。


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