第7話 ノース能力者高等学校
北屋 狄斗を討ち取ってから3年間。俺は1日も欠くこと無く、煌剣の継承に精を出していた。
カキーン クルクルクルグサ
たった今、俺の手から獅子刀が弾かれ地面風の床に刺さった。
「ハァハァハァハァ」
「よーし大分良くなってるぞ〜涼」
3年間一回も息を切らさなかった凪は、息を切らさなかったが最近になってようやく、良い勝負が出来るようになった。
「偽装者に銃撃者、それに【復讐者】を混合戦闘技術。そして煌剣、まだまだ課題はあるが……古今東西といい勝負が出来るな、もう俺たちはサポートできない…」
「私は、こいつで連絡出来るから心配はないぞ〜」
飛鳥は、新しく開発した遠距離通信ツールのケータイ電話を指差した。
この世界にもスマホなる物はあったが、それは中継基地を必ず通さないといけず、そこには政府直属の通信能力者が配属されているため、通話内容、発信、受信源がばれてしまうのだ。
「いやーいつ見てもそれは画期的な発明だ…」
凪は改めてケータイを見ながら呟いた。
「飛鳥も中々の化け物ですよ…」
俺は、既に起きていて会話に混じっていた。
さて、ここで各人の能力と詳細をおさらいしておこう。
____卯月 涼____
SSランク級能力者
【偽装者】SSランク級
感情、表情、体格、技術、能力所有者のあらゆるものを偽装するが、格上や心を開いた瞬間、あらゆる偽装は解除される
虚偽作成
害と当たり判定無い、虚偽壁や正確に操れる分身体、虚偽武器を作成できるが偽物とバレた瞬間消滅する
虚偽看破
嘘や偽情報を見抜ける。
【銃撃者】SSランク級
銃をカスタマイズし、銃を作り撃つ事が出来る。
この時、銃は瞬時に能力者のガンホルダー、もしくは手に生成される。
銃を発砲する際には、補正がかかり近距離発砲の場合は、狙った地点に銃弾が着弾する。
遠距離(拳銃は150m、ライフル銃は1500m)の場合、狙った地点の誤差10cm以内に着弾する。
なお技量で修正する事も可能
銃撃者は100発100中ではなく必ず狙い撃たなければ発動しない
【復讐者】Aランク級
涼が2年前に偶然発現した、幻の3つ目の能力
全ての能力、基礎力を1〜1.5倍程底上げする。復讐の対象者には通常の3倍の出力になる
____愛山 凪____
Sランク級能力者
肩書き 旧元帥、現幕僚長
【空間支配者】Sランク級
通常サイズで半径30mほどの円球を自身を中心に形成し、その中での空間を完全に支配する。自身の能力を2〜3倍程強化し、味方も1.5倍程強化する。物質操作も可能になる。
相手にデバフを与え、能力を半分程まで制限する。自身が移動してしまったら、再度空間支配する必要がある。
【英雄】Aランク級
その場に居る味方と自身の能力を底上げし、士気を上げる、恐怖心といった感情を打ち消すことができる。
____久堂 飛鳥____
A+ランク級能力者
【複製者】Aランク級
見た能力をそのまま再現することができる。だが同時発動は2つまでが限界である。
生粋の研究者で、全ての再現済み能力の最適化に成功しており、下手な兵士より強い。
この通り、ここに居る者達は下手な軍隊よりも強いことは誰も知る由もない。
閑話休題
「それで本題に入るけど…1人で古今東西全員殺せんの?」
「無理だな」
飛鳥が聞いて来たが、凪が即答した。
「その理由を聞いても?」
俺が思わず聞いた。
「1体1の場合、幾らでもお前に不利な地形、条件で戦おうと移動するだろう…君の能力じゃ機動性に欠ける。それじゃ相手方に応援を呼ばれて、殺されて終わりだ。そこでだ信頼できる仲間が4〜5人居るだけでも、相手は移動しづらい。
だから1人じゃ殺せないという事だ」
「でも…俺の復讐に無関係な人を巻き込む事はできない。」
「案外そうでも無いぞ、現在に古今東西に恨みを持つ者は多い、探せば5人ぐらいは居る。」
「どんな非道を……」
「それは間違っているよ涼。擁護するつもりはサラサラ無いが奴らがやっていることは、決して非道では無い。ましてや悪でも正義でも無い、ただの仕事なんだよ。
どんな仕事にも、恨み事は付きものだろう?古今東西はその格差が非常に大きいだけだ、奴等にも家庭や誇りがある、それを壊せば君も恨まれる。これが殺人が消えない理由だ、
世界で初めての殺人の理由は、食料を得るためだったらしいぞ。
中には金品のために、殺人を犯すアホ共が居るけどな。この世界は悪も、正義も、正しいも、
間違っているも、何も無い。己の価値観が全てなんだ。」
「「………」」
飛鳥と俺はぐうの音も出なかった、言っている事は何も間違っていなかったからだ。
「まぁ話を変えよう。ノースの校風としては完全なる実力主義、何事にも手段を選ばないだろう。お前が、生徒に殺されるのは論外だからな。私が直々に鍛え上げた弟子が、何処の馬の骨かわからん奴にあっさり死んだら……殺しに行くからな」
「ヒェ」
俺は、凪の
俺自身も、奴ら以外に負けるつもりも、殺すつもりも毛頭無い。
「じゃ1週間後、俺が地上のノース行きのCentral stationまで送り届けるよ。」
「よろしくお願いします」
「涼の事頼んだぞ〜」
「あぁ安心しろ」
ノースは、新1年の定員300人中100人が古今東西や軍の強者からの推薦入学で、残り200人が一般入学であった。
俺は、現在も指名手配中なため常に偽装者を発動させていないといけなかった。涼の面影を感じさせないように、徹底的に別人の人格を生成した。
新たな名前は……月乃 涼
卯月 涼を弄っただけだが、涼自身はかなり気に入っていた。
これに伴い、顔や骨格なども弄った偽装する分には造作もない事だった。
今まで短髪だったが伸ばし、後ろ髪を結びかっこいい感じにした。
顔も目を今まで大きい目だったが、細く吊り目の二重にした。
もちろん指紋や足紋も全部変えた。
そして出来上がったのは、卯月 涼とは似ても似つかない月乃 涼だった。
目は細く吊り目で、3年間伸ばした髪。控えめに言ってもイケメンだった。
中性的な見た目も功を奏し、女と言われても違和感は感じないだろう。
顔の造形や、髪のヘアセットに飛鳥の趣味が入った事は、到底知る事は出来なかった。
もしここに咲江がいたら、様変わりした弟を見て興奮していただろう。
何回か、月乃 涼で戦闘訓練もして常時偽装できるようになっていた。
_____1週間後_____
「今までお世話になりました」
俺は、飛鳥と凪にお礼を言っていた。
3年間も、修行に匿ってもらっていたのだこれぐらいは当然だろう。
俺は、ジーンズに白いパーカーに紺のトレンチコートを羽織り、獅子刀は腰に見えないように刺していた。荷物はそれだけで、武器と体のみで大丈夫だった。
「涼、お礼は奴らを全員殺した時まで取っておけ」
「そうだな〜まだ始まったばかりだしな〜お礼品は奴らの能力結晶で手を打とうかな〜」
飛鳥は、さりげなく全員の首をご所望した。
「じゃ涼、この研究所を出たら月乃 涼として扱うからな。言うまでも無いが……覚悟はいいな?」
「はい」
「よし、Central stationに行くぞ」
____⁇⁇⁇⁇____
薄暗く、広い部屋に長机と8脚の椅子が置かれており、既に7人の男女が座っていた。
ガチャ
「すまない。遅くなった」
そう言うと、たった今入って来た人は空いてる議長席に座った。
「それでは…第2回臨時会議を始める」
「今日集まってもらったのは…大体察しがつくかな?」
「あぁ、大体な」
1番の上座に座っていた東条 直己が口を開いた。
「卯月の生き残りだろ?」
東条の対面に座っていた、安東 北信も口を挟んだ
その隣には、御日 幻夜が座っている。
残りの席には、西陣 陣城、五藤 圭吾、佐藤 純平、蓮也 美咲が座っている。
「3年前に、狄斗が死んでるから音沙汰なかったはずだが?」
東条が言った。
「あぁその通りだ。だが分かっているのは、奴は私たちの首とコイツを狙っている。」
西道は首からあの鍵を取り出した。
「……ソイツの使い道は分かったのか?」
御日が聞いて来た。
「いやわからん…で話を戻すと卯月が殺しにくる、で今回の新入生に卯月がいる可能性が非常に高いが、それに適合する者はいなかった。」
「つまり?」
五藤から声が上がった
「対策を取れと、しか言いようがない各々の弟子も居るしな。
狄斗を殺せるぐらいの実力だ、決して舐めないように」
「もちろん、これだけじゃない雲隠れした元帥、愛山 凪が発見された。Central stationに向かっていると報告を受けた。」
「今から殺しに行くのか?」
東条が殺気立てた。
「いやまず逮捕してから、ここに連れて来て全員で殺る。
あの時の目撃者を生かしてはいけないからね、そして
そして数時間に及ぶ、ノース能力者高等学校の首脳陣による臨時会議は終わりを迎えた。
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