第4話 作戦会議

「フー食った食った」

「よくそんな量食えるな」

俺は、腹を膨らませた飛鳥を横目に台所で片付けをしていた。

「ここ1週間は、サキも来なかったし料理すんのめんどくさかったんだよー、ついでに私の能力、【複製者】の実験もやってたしな。」

「【複製者】?」

「あーそういえば言っていなかったな、私の能力だよ。」

「どんな能力何だ?大体察しは付くが……」

「あぁその察しの通りだ、一度見た能力をそのまま複製することができるんだよ、だが見たまんまだから、基本劣化版の能力しか使えない。でも今【銃撃者】の詳細な能力が分かったから、ほとんど同じ能力が使えると思うよ」

「一度複製すれば永久に使えるのか?」

「もちろんだ、だから研究して様々な能力結晶を作ったり、集めたりしてたんだが、サキに捕まって今じゃこうなってる。」

飛鳥は、何処から取り出したか分からないうちに、ポテチを食べながら言った。

「で、世間話はここら辺にして計画を立てようか。」

ポテチを物凄い勢いに空にした、飛鳥が真面目に話しかけて来た。

「君は、狄斗っていうやつをどうやって殺すんだい?」

「この【銃撃者】使うさ、相手がどんな武器を使おうと、秒速400m超える質量が飛ばせるんだぞ、S級でも反応できるかどうかだぞ。」

「そいつは良いが、相手は古今東西。

一撃で仕留められん限り君に勝利はないね、偽装者という防衛特化型があるけどきついね。」

「そうか……試し撃ちできる場所が欲しいな。」

「ピッタリな場所が、この研究室の奥に鍛錬場があるぞ。そこで私も付き合ってやろう、サキと少しは剣戟を交わったからねー、大元帥も使えるから相手に不足はないはずだぞ?」

「……よろしく頼む」

「よしやってやろう」

_____3時間後____

「よし今日はここまでにしといてやる。」

「ハァハァハァハァ」

バタン

「おやおや、少しばかし力入れすぎたかな?」

俺は少しばかし、自分に自惚れていた。

こうもコテンパンにやられるとは、姉に対する認識を少しばかり上方修正しようと思ったのである。

それに【複製者】に【大元帥】を舐めてた。

あれはチート級の能力では収まらない威力がある。

【大元帥】

敵対した相手の能力限界値を約30%下げる。

自身の能力を40%あげる、また統率力が強化され、仲間の能力値が20%上がる。


これだけでもバケモン何だが、姉はこれに閃光剣スピードソードという剣術を使っていた。能力に指定は無いため、ただでさえ早い閃光剣スピードソードが、音速に近いスピードを出していたらしい。

飛鳥は、剣術こそ真似出来ていないが【銃撃者】や見慣れない技を使って補っていた。

そして分かった事がある、【銃撃者】は必中ではなく、防ぐ事も避ける事もできる。


「これで分かっただろう?今の君じゃ良くて善戦だ、殺すのは夢のまた夢だ、だけど

私もサキが死んだ事に恨みがある、今日1日で能力の良い使い方を伝授しよう。

剣筋は、まともな師を持った方がいいと思う。私には剣才は無いからね、そしてこの世どんな時でも通用する事も教えよう。

『生き残る為には手段を選ぶな』

これは、記憶の片隅にでも置いておいてくれ」

「……分かった」

_____翌日____

「良く耐えたな涼」

朝を告げるアラームが鳴り響きながら、飛鳥がそう告げた既に

涼は倒れ込んでおり、意識は朦朧としていた。

「サキ流hell modeを耐えたのは、かなりすごいぞって聞こえてないか」

開始する直前に大量の水を飲んでいなければ、涼は脱水で死んでいただろう、それぐらいハードな訓練だったが、見返りはかなりのものだった。

それまで涼の能力の使い方は、

単調で分かりやすく、学生にしてはやる方の程度だったが、今じゃそんじゃそこら辺の大人よりは、断然強い程まで強化されいた。

具体的には、【偽装者】の扱いが上手くなり今までは、指先の細かな動きや、踏み込み先をぼやかす程度だったが、完全に自分自身を隠し、偽装体という分身を作る事にも成功していた、もちろん気配は完全に遮断する事ができる。

「そこまで行ければ狄斗とか言う奴には、死ぬことは無いし勝てる可能性が高いだろうね、油断を誘うんだよ」

既に起きてきていた涼に、飛鳥はそう言った。

「あぁ初っ端から本体は、見せる気ないよ」

頭を抱えて、氷袋を痛んでいる場所に当てながら応えた。

「それじゃ今日は、ゆっくり休んで明日の決戦に備えな、ほいこれ」

飛鳥は、暖かいココアを差し出した。

涼はそれを飲むと、気絶するように寝た。

「寝たか?」

「あぁぐっすりさ」

何処からかスーツ姿に、黒いトレンチコートを羽織ったガタイのいい男が現れた。

イケオジだ

「にしても存在感ないね〜」

「まぁ否定はしない、職場でも鈴付けろと言われてるしな。」

「wwwそんな事あったんだ、日本最強の1人 愛山凪あいやまなぎさの名前が腐るだろ」

「“最強だった“の間違いだろ?」

「剣術を見れば、アンタは最強だよ」

「まぁいい本題は何だ?俺と涼の関係は知ってるだろ?

俺の事を涼は知らん、咲江しか知らんかった事だぞ」

「代理人として最後の願いだ、涼に剣を教えてやってくれ。

後分かれば良いんだが、古今東西のメンバーが何処にいるか、何をしているかを調べてほしい」

「復讐か?」

「涼がそれを望んでるし、奴らは涼を殺そうとしている、

今の涼の剣術じゃ、太刀打ち出来ない。

涼は、サキの閃光剣スピードソードを綺麗に受け継いでいるが、実戦経験が少ない。

それじゃ、奴らには一歩及ばないそこに唯一無二のアンタの剣術、煌剣こうけんの継承者にしてやってくれんか?」

「…………期間は?」

「ありがとう、期間は奴らが見つかるまでだ」

「愛山 凪の名に掛けてこいつを煌剣の継承者にしよう」

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