第3話 姉の研究所
何かが足りない。
そこで今まで、姉以外入っていなかった姉の部屋に入ってみることにした。
ガチャ
一見するとただの綺麗な部屋である。
ただ、日頃の姉の言動を見ている俺には違和感しかない、
(あんなにグータラしていた姉がこんな綺麗な部屋なはずがない、
靴下はそこら辺に投げ、遅く帰ってきた日にはスーツ姿のままソファーで寝る、果てには食べたポテチの袋は必ず捨てない)
そんな姉を見てきている為、俺は違和感を感じざる得なかった。
(まるで一回も使ってないような部屋だな、何か情報は無いか?)
俺は、クローゼットや戸棚を開けたり、縦横高さ50cmの漢字やら、数字やら、英語やら、のダイヤルが付いている謎の箱を見つけたりしたが、特に収穫は無かった。
最後に机を開けてみた時中に何かが入っていた。
机には一通の封筒が入っていた。
開けてみると1単語のみ書かれていた。
四苦八苦
俺は、思い出した姉のとある言葉を
「涼、もし私に何かあれば四字熟語を探せ、そうすれば役に立つよ」
(まさかこの箱に?)
俺は先ほど見つけた、ダイヤル式の箱を見つめた。
(一体何が入ってるんだ?)
ダイヤルに四苦八苦と入れると
ガチャ
鍵の開く音がした、開けてみると中には銀行口座の手帳と複数の能力結晶、どこかの住所と電話番号そして
(銃!?)
全て取り出してみると底に、姉の字で書かれた1通の手紙があった。
『この手紙を読んでいるという事は、私は今頃その場所には居ないのだろう。
涼が読んでる事を期待して書く。
箱に入ってる住所と電話番号は私が信頼している、絶対に安全な場所だそこを拠点にするといい。
私個人の研究産物が散らかってると思うが、そこに居る子とうまく片付けてくれ。
能力結晶は、私がこっそり集めた物だ
なぜ集めたかと言うと、私の研究でもあるが能力結晶を人体に人工的に取り込むとどうなるかの実験の為だ、詳しくはあっちに置いてきた実験レポートを眺めてくれ。
副産物で黒い結晶を作ってしまったが、失敗では無い。
名前は…【銃撃者】
今は亡き武器、銃に特化した能力だ。
底に銃が入ってるだろう?
擬似的に私の体に埋め込んで使用した時に生成したもので、かなりの品物だ。
ここからは、私の死後の後始末を書いとく
預けている鍵があるだろう?
無くしたとは言わせんからな
その鍵は、私の鍵と一緒にして研究所にいる彼女に渡してくれ。
物を持ってくるはずだ。
銀行口座は_______
・
・
・
という感じで処理しておいてくれ涼
追伸 能力結晶はちゃんと回収してから、通れよ
2122 7/14 23:15 卯月 咲江』
(……姉さんも家族に隠しこんな研究を行なってたのか)
紙に書かれている住所は中心街を指していて、家からは1時間弱である。
俺は、箱に入ってる銃と能力結晶を取り出し家を出る準備をした。
〜〜〜70分後〜〜〜
カバンに能力結晶、内ポケットに銃を入れた俺は“姉の研究所“に来ていたが、今にも崩れそうなビルがあった。
(本当にここか?)
俺は、心配になりながらも崩れそうなビルに入って行った。
入ってから少しすると、俺は地下に通ずる階段を見つけた。
(埃も被ってないしここで合ってそうだな)
俺は、迷う事なく地下へ進んで行った。
螺旋階段を10周程して目が回り始めた頃、ようやく開けた場所に出たが、そこには
壊れたドアしかなかった。
(え?まさかもう破壊されたのか?)
俺は驚いて、近寄ると壊れているわけではなく起動式のドアだったことがわかった。
そして何かを入れて下さいと、言わんばかりの穴が3つあった。
(この形……能力結晶!?)
俺は持って来た能力結晶のうち、形の合いそうな物を入れてみた。
そうすると
ブォン
何もなかった空間に突然ゲートが現れた。
ゲート自体は、一般社会でも出回っていて空間操作系の能力者が24時間待機している。
能力者から流れ出る、能力線を使いゲートを使っているが、高級思想の場所や屋内移動にしか使われない。
(そういえば追伸に“能力結晶は回収してから通れよ”って言っていたな、回収しとくか)
俺は、置いた能力結晶を回収し、ゲートが消える前にゲートを通った。
______姉の研究所内部______
「おーーいサキ、この1週間顔も見せずどうしたんだーー」
ゲートを潜るなりすぐに、奥から女の子の声が聞こえて来た。
そして目が合ってしまった。ショートヘアに格好はいかにも研究者という感じだ。白衣に内側には刀が見え隠れしているが意外にも白衣の下にはまともな服装である。
「「あ」」
「ちょっとアンタ誰?」
女の子は目が合うや否や、内ポケットに携帯していたと思われる俺の持っている銃と瓜二つの銃を向けて来た。
「ちょっと待ってくれ、敵じゃ無い。説明するからそれを下げてくれ」
すかさず両手を上げ、敵では無いアピールをする。
「辺な動きしたら、すぐ撃つからね」
「分かってるって」
俺はまず、胸ポケットに入ってる姉の手紙を出した。
その後に銃と能力結晶を出した。
そして最後に俺の持っている鍵を出した。
「………これってアンタ何者?」
「卯月 涼、姉さんの弟だ」
「なるほどねって事はサキは………」
「…………」
「とにかく私の名前は
飛鳥は、キャスター椅子に座りながら聞いてきた。
周りには、様々な器具が散乱している。
「研究所の整理と、能力結晶の研究成果を見に来た。」
「オッケーじゃ案内するわよ、結構ごちゃごちゃだから気をつけてね〜」
飛鳥についていくとそこには、病院の手術台みたいなものに能力結晶が入った培養液があった。
「はい、これが実験レポート」
そういうと飛鳥は分厚いノートを持って来た。
「これ全部読むのはきついから、要約すると能力結晶は結論
適正さえ合えば、移植する事が可能で、特殊な能力結晶があれば、新たな能力結晶を創造することも可能。
既にそれは作ってあるけど、体の負担がかなり酷いものよサキが一回試したけど三日三晩寝込んだわ。
その時作られたのがコレよ」
「これは……【銃撃者】?」
「あら知ってるの?
そうよ、これは銃の権能を持つ能力結晶よ、
私たちは【銃撃者】呼んでるわ」
「本来能力は、その人の最も伸びる才能に合わせて開花するのがほとんどよ、たまに君みたいに例外もいるみたいだけどね、サキは本当に色んなこと教えてくれたよ…例えば君の能力とか、好きな食いもんとか、中には銀行口座の暗証番組も」
「はぁ姉さん……」
俺は、驚きつつ呆れてしまった。
「能力結晶の処分の仕方とか、姉さんから聞いてたりする?」
「いやー全く。そうだ、あれも君に見せないと。ちょっとコレもっててくれる?」
「分かった」
涼が【銃撃者】を受け取ったその時、急激に銃撃者が黒光りを始めた。
「えちょっとこれって、超適性者!!」
「何だそりゃ?」
「今考えた言葉、さっき適正さえあれば移植出来るって言ったよね?」
「あぁ」
「でも、いくら適正があろうと外部からの物だから、体がある程度拒否反応が起こるんだよね、サキもかなり辛そうにしてたよ。そのせいで移植した能力は非常に使いづらかったり、発動しなかったりする事は珍しく無いんだ。」
「でもこの光を見る感じ、体の方から【銃撃者】を欲しているように感じるね」
「確かに今は力が欲しいからな」
「何で?」
「2日後に姉を殺した特殊作戦群の一人が接触してくるんだ」
「で殺すと」
「そうだし、その人自身も俺を殺そうとしてくるのは確定」
「特殊作戦群は、もしかして古今東西?」
「知っているのか?」
「えぇ、私を捕まえた集団だからね、
色々突っ込みたいと思うけど、少し待っててね」
「分かった、でどうやったらこれを使えるようになるんだ?」
「手術すれ__」
「痛!」
【銃撃者】が急に涼の手のひらから、液体になり涼の体に溶け始めた
「あら手術の必要も無さそうね、もう銃撃者の能力使えると思うわ、確認してみれば?」
涼は慌てて能力プレート……別名ステータスプレートを確認した。
卯月 涼
能力
偽装者 ランクS
銃撃者 ランクSS
銃撃者
能力
銃をカスタマイズした物作ったり、撃つ事が出来る。
この時、銃は瞬時に能力者の懐、もしくは手に生成される。
銃を発砲する際には、補正がかかり近距離発砲の場合は、狙った地点に銃弾が着弾する。
遠距離(拳銃は150m、ライフル銃は1500m)の場合、狙った地点の誤差10cm以内に着弾する。
なお技量で修正する事も可能
銃撃者は100発100中ではなく、必ず狙い撃たなければ発動しない
「なるほどねぇSSでかなり上位な部類だね、それに君は、まだ能力の器的に余裕がありそうだ、1つ提案だが殺したり、入手したりした能力結晶を回収してくれないか?
それを調べて【銃撃者】と同系統の物を合成できないか試してみる。多分君の体質は【黒】。偽装者も【黒】の系統だしね。」
「死体はあまり弄りたくないが……力の為ならばしょうがいないやってみるよ」
「よろしく〜もうこんな時間じゃないか、食糧買って来てくれ」
「へ?というかその前に、色々聞きたいんだが……」
「とにかく食糧買ってこーい、出口はこっちだぞ〜ついでに、ここの鍵渡しとく〜それ持ってれば、廃ビルに入るだけでここに飛ぶから」
俺は半ば強引に、研究所を追い出され日持ちする食材を買ってくる事になってしまった。
その後、料理もさせられた事は言うまでもないだろう。
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