エピソード8 父とインコ

ある意味愛想のない父。

仕事を辞めてからというもの、持病もあるが、家で座ってばかりの生活になった。

そんな時、実家でインコを飼う事になった。

動物にも愛想は良くない父だったが、なぜかそのインコだけは、世話をする母よりも父の方に懐いていた。


実家に顔を出すと決まってそのインコは父の肩に乗っている。

そのままの姿勢で本を読む父。

私達がインコに手を差し出すと間違いなく嘴で突いてくる。

その為、私達が仲良くなる事はなく、ある意味父と一体化しているインコだった。


しかし、そんな日々を過ごしていた二人だったが別れの時がやってきた。

インコはある日を境に弱っていき、父の肩にも乗っていられず、そのまま天国へと旅立った。

普段感情を出さない父の目からは涙が光るのが見えた。


僕らは父と共に、そのインコを公園に埋める事にした。

埋めながら私がふざけて父に語りかけた。


「ここから花が咲いたら面白いね。」


すると父が少しだけ笑顔になり、


「だといいな。」


と、軽く呟いた。


それから半年後、その場所を訪れてみた。

驚く事にその場所から小さな芽が姿を現していた。

冗談のつもりが現実になっている。

そして父を呼びに行き、その場所を父に見せた。

父は黙ってしゃがみ込むと、その芽に少しだけ触れて何か話しかけている。

その後ろから見る父の背中は以前よりもだいぶ小さくなったような気がした。


何となく、色んな時間が過ぎているのを感じる日だった。


綺麗な花を咲かせてくれよ!と、父が微かに言ったのが聞こえた。


有難う、父の大切なお友達。

そして君のモチーフだった黄色の花が咲くのを楽しみにしている。

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