第58話 苦言…
宙域が静かになった。
おびただしい量のデブリが漂ってる。
結果、トンガリの飛来総数は5,000を下らなかった。私達はその全てを撃滅せしめた。ユキカゼ健在、未帰還機なし、コチラの損害はほぼ0。
それにしてもユキカゼ、シンデン達の活躍著しかったわ、そんなに強力な兵装じゃないのに、確実に、そして効率的に敵を打ち据えて行く。戦闘ログを見ても、互いに連携し、ローテーションを組んで、攻撃に隙を作らず立ち回っていた。その指示をしていたのはD1。さすが戦闘スコアトップリーダー、私ではああは出来そうにないわね。私はただ彼らの撃ち漏らしをチマチマと撃ち落としただけ。
え?、違う?
マーキュリーズからため息の声が聞こえてきそうな、苦言とも取れるコードが送られてきた。
いやコレは苦言だわ
…確かに君達が言う通り、私は意気揚々と荷電粒子砲を撃ちまくりましたよ?、それはストレス…あ、いえ、ガニメデを守るためであって……え?、別の衛星ですか?
木星の衛星は4大衛星だけじゃない?
そりゃ知ってますけど……
観測されてるだけでも木星の衛星は、大小様々90個以上が発見されてる。そしてダイソンスフィア内殻の軌道上にも4大衛星とは別に、小型の小天体衛星が4っ存在してた。
…私は勢い余って、その内の3っを消し飛ばしていた。
だってしょうがないじゃん、あの数だよ?
射線上に何かあるかなんて気にしてられないって!
え?、それじゃあ異星人と同じ?…………
がーん!
私はマーキュリーズの送信コードに、衝撃を受けた、改めて冷静になってもう一度戦闘ログを追った。
そしてマジやばいと気付かされた、人として最後に残されていたはずの理性という名のリミッターが外れていた事に気づかされた。
アレはもう、ただの殺戮マシンモードだったんだわ。
コレは反省するしかない、猛省です。
何がどうしてそうなったのか?、戦闘という気分の高揚なのか?、うちに秘めたる私の意志とは別の衝動に突き動かされていた気がする。メインベルトの戦いの時はこんなことなかったわ。これ、統合したA9の影響なのかしら?
こうなってくるとメインベルトの異星人と何が違うというのか…
「アラガウナ」
「テイコウスルナ」
「ホロビニキョウジュンセヨ」
アレと一緒だわ
んむぅ…気をつけよう。
姿を消していたミジンコ達も戻って来た。
そして再びシンデンやユキカゼにはまとわりついてる。だけど私にはなぜか寄り付かない。だからなんだというわけではないわ、まとわりつかれても困るし、正直私は嫌よ
でも何この疎外感?
コイツら…こうやってマーキングして、トンガリを誘き寄せたんじゃないかと私は思った。でもメイ達はその可能性は低いと見てる。じゃあこの行動はなんなのよ、となる。
んむー…
…まあいいわ、君達はミジンコ達と戯れてなさい。私はガニメデへ向かいます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます