第59話 ガニメデ…
私は単艦でガニメデへ向かう事にした。
ユキカゼ、シンデン、それからSS1、SS2にはそのまま宙域の哨戒をするようD1を通して指示をした。
木星の周辺はデブリだらけになってしまったわ。ダイソンスフィアの内殻も戦闘余波で広範囲で破損してる。剥がれた内殻の破片までもが宙域を漂ってる。その大きさは様々で、私より大きなモノまであったりする。
近づいてわかったけど、内殻はその層の厚みが、5万キロほどもあり、何重もの多層構造になっていた、それを壊したのだから、その戦いの凄さが改めてわかった。
え?
あ、あの破壊痕はトンガリだからね!、私のせいじゃないわよ!?
木星重力に引かれた大きめの外殻破片が目の前を横切って行く、私は周囲を確認し、それらに激突しないよう注意しながら航行した。
そして破片を見てふと思う、…ああそうだわ
剥がれ落ちたダイソンスフィアの大きな破片を、テイラー達に新しく造ってもらったロケット付きワイヤーで捕まえようと考えた。
ワイヤーはカーボンナノチューブと少量のマテリアルで造作、かなり丈夫な造りに仕上げてみました。ロケット部は普通のロケット、先は銛になっていて、飛び出す返し付き、出したり引っ込めたり出来る。
艦首にロケットアンカーという錨もあるけど、それはあくまで投錨用、流されない様にするための船体固定限定。
この装備は、「ハープーン」と名付けました。昔そう言う名前の対艦ミサイルがありましたけど、語源はまんま「銛」です。
このハープーン、ケレス戦の後にテイラーが考案し、元々装備されていた牽引用ケーブルを改良して造ってくれました。
ハープーンで捕まえた破片をどうするか?と言うとですねー、木星へ向かって放り投げます、はい投擲です。
周囲に漂う破片を片端から掴んでは投げ、掴んでは投げるを繰り返す。
ハープーンの動作パターンを、私の戦闘スキルとして覚え込ませる作業。
これは練習の一貫。
なんの練習か?、ふふヒミツ。
そんな事をしているうちにガニメデに近づく。
周囲に何も動きなし、ミジンコ達もついては来ない、私に全く興味を示さないのも、なんかムカつく。
ガニメデ…
ガニメデは、木星の衛星群の中では最大の衛星、直径は約5,000キロ強、水星より大きくて火星より小さい、それでも観測されてる太陽系天体の中でも9番目という大きさ。衛星としてはやっぱり大きい。だけど質量はさほどでもないわ。鉄成分の流体金属を核に持ち、磁場を持つ、薄い大気層があり、ほぼ酸素だけど水蒸気が確認されているので、水の存在も示唆されている。水の埋蔵量は地球の半分もない大きさの星なのに、地球以上あると見積もられていて、お隣エウロパ衛星と同様に、この星にも生物がいるのでは?、と、人類は希望を膨らませていた。
水の層は分厚い氷の下らしいので、その様子は伺えない。でも残念ながら、私の動生体センサーには生き物の反応は……なし。
ポツポツとクレーターはあるけど、比較的平坦。分厚い氷の地表面がプレートテクニクス的に動いてる証拠、そしてやたらとデカいクレーターもあるわね
薄いとは言え大気層はほぼ「酸素」、火なんか起こした日には爆発的な燃焼を起こしそうで怖い。私は大事をとってガニメデ地表に向けて、20機近い電動ドローンを降下させ、巨大宇宙船へと向かわせた。
さて、何が出ることやら…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます