第43話 トンガリ…

 高速で迫り来る不明物体、D1が既に用意していた戦術作戦テーブルへマークする、不明目標を「トンガリ」と呼称。


 データに表示されるは、2つのトンガリ群体


 シーカーSS1側で索敵されたトンガリ群体をα、SS2側の群体をβとします。


 トンガリα群、β群は共に、シンデン達を振り切り、真っ直ぐに私達のいる場所に向かって来てる。それも光速の20%、秒速6万キロ強という恐ろしい速度まで加速してる。シンデンでは追撃チェイスできない、あと25秒で到達する。


 控えの戦闘機隊発艦は…間に合うわけないわよねぇ。


 こちらの使用可能な兵装は、2番砲塔の電磁誘導砲弾レールガンブリッドのみ。しかし、光速の20%で飛来する物体に、実砲弾を当てようと思うなら、目標と相対速度を合わせないと


 因みに私の相対速度は現在0です。ムリゲーというやつですね。


 でも、私は不思議と冷静


 A9との統合により、思考加速があるから?

 それもそうだけど、そうではありません。


 有効な火器が使用できないなら、それなりの戦い方というものはあるものです。今、私に求められているのは、いかにしてか……


です。


 脅かす者は排除あるのみ


 トンガリ達がどういうつもりか知らないけど、明らかな衝突コースで向かってくる。そうなるとトンガリはミサイルの類かしらね。


 最初に可能性を考えたのは「異星人の反物質兵器」


 こちらでいう「光子魚雷」。でもそれはないとわかってる、だって今飛んで来ているトンガリからは反物質反応が検知されない、アレは単純に速度と弾頭の重さをエネルギーにした、質量兵器。


 だからといって馬鹿にはできない、速度と質量から、ケレス程度の小天体なら木っ端微塵にするぐらいの威力はある、仙術防壁が使えたとしても、アレは防げないわ。


 では、そんなモノどうやって迎撃するか?


 ふふっ


 コリジョンコース変わらず、接触まで5秒

、回避不能限界を超えた。警告音がビービーうるさい。


 速すぎて光学視認は出来ない、頼るは電探のみ。


 トンガリ群体α、及び群体β、ドンピシャのタイミングで、着弾点にある影の様な艦影に……


 だんちゃーく、今!


 カッと宇宙が光った。もうコレ何度目かしら?、閃光と凄まじい衝撃が連続して宙域を震わせた。トンガリ群は寸分のズレもなく、見事に、次々と着弾した。


 閃光が止み、周囲に静けさが戻る。


 ……そして私は全くの無傷、健在でございます。


 迎撃不能?、だったら迎撃しなければいいんです。アレがもし艦船や戦闘機の類ならこの手は使えなかったけどね、ミサイルなら有効です。


 だってトンガリ達は、スイカ級の残骸とマテリアルで造った、に突っ込んだんだもの。マテリアル、使えるわー


そうトンガリはデコイに飛び込みました。


潜水艦なら当たり前のやり方。ナガトは潜水艦じゃないけどね。


 私はその時どこにいたかというと、スイカ級の影に潜み、爆発の衝撃をやり過ごした。盾にしたスイカ級は、衝撃波をモロに食らい、バラバラです。


こうやって宇宙がゴミだらけになって行くんだわ。

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