第42話 新たな脅威?…

 私の予感は当たったことがないわ。


 女の勘?、ないない。


 悪いことはそのまま起きて、良いことは悪いことに置き換わる


 不運体質


 私が死ぬ事になったシープレーン事故もそうだし、その後に宇宙戦艦に生まれ変わったのもそう、あ……


 人類が滅んだのは私のせいじゃないわよ?


 …違うわよね?


 私はメンテロボ達を艦内に収容し、新たに得た新素材「マテリアル」を使い、「ステルスモード」へと移行させた。船体が漆黒に染め上がって行く。


 怪しい動きをしている謎の不明物体に対して、シンデンを向かわせる事にした。電力消費の多い電磁カタパルトは使えないので、押し出して4機×2チーム、計8機を発艦、シンデン達は私から充分に距離を取ったところで、ファイター隊各リーダーが2発の発光信号を送って来た


 コレ、彼らなりの「敬礼」だそうです。


 それどこで覚えたの?


 コチラは長めで1回返す。


 するとファイター隊は、スラスターを吹かし、一気に加速して、SS1、SS2それぞれとのランデブーへと向かっていった。


 ……


 不明物体との距離、現在は約200万キロ、初期発見時より徐々にコチラに近づいてきてる。


 レーザー通信により、不明物体の画像が送られてきたわ。高速で移動してるので、はっきりわからないけど三角錐なシルエット形状、火星でシンデン達が空戦した、異星人のドリル型艦載機に似てなくもない。でもアレよりはずっと大きいし、ダークではなくて白っぽく、意匠は異なる。


 それにしても何をしてるのかしら、グルグルと。


 直径10万キロ程の円軌道を描き周回してる。それも不規則な揺らぎのある円、綺麗な軌道ではないわ。ただただグルグルと回ってる。…気になる点は、徐々に速度を増してるとこらかしら?


 回転の中心に何かあるのかと思い、SS1に調べさせたけど特に何もない。


 試しに支援AI「メイ」にも分析させた。


 すると、「縄張り行動と推測される」と言ってきた。


 犬か。


 異星人が?、何のために?、そう返すとメイが黙ってしまったわ。うん、まだまだ経験値が浅い、カワイイ。


 縄張りねぇ…


 ちょっと威力偵察してみようかしら?、そう思い、D1へ提案すると同意された。


 D1より各機へとコード配信がされる


 各機、不明目標アンノンウンに対し、威力偵察、ただし反撃は不可とする。危険とみなした場合は即座に宙域を離脱せよ。


 え?,それっていきなりハードル高くない?


 相手がどんな奴なのか不明なのに?、今のシンデン達の武装は、ガンウェポンのみ、大丈夫かしら?


 でも指令を出したD1は、私を含め、ナガト戦術ネットワークに繋がる者の中でダントツに戦闘スコアが高い、ここは彼の者に判断を任せようと思う。何か有れば私が行動すればいい。


 威力偵察が始まる。


 シーカーと合流したファイターが突出し、不明目標に接敵。


 そして相対速度を合わせ、射線をずらし30mmで威嚇。


 しかし不明目標は、我関せずと言った感じで飛行を続けてる。


 ???


 攻撃されたのに、反応なし?


 シンデン達は、そのまま不明目標の背後につき、何度もバルカンで威嚇するも、まるで無反応。


 シンデン達はイラッと来た?のか、各機から「撃墜して良いか?」と、一斉にコードが送られてきた。


 おいコラ、ダメよ。メンテロボ兼業の君達はいつから武闘派になったのかな?


 不明目標は、コチラが当ててこないと、たかを括っているのか、なおも無視して周回してる。戦闘機隊じゃないけど、確かにイラッとするわね。


 でも、奴らのやり口からすると、誘い込まれてる……という線もあるわよね。


 んー


 でも、私もシンデンらと同意見、当てにならない勘ならば、最悪を考えよう。


 各機に撃墜の指示、D1よろし?


 D1からも同意のコード。


 私はシーカーを除いた各機に直接撃墜指示コードを送った。


 ファイター各機は、今度は威嚇ではなく、照準器に不明目標をロックした、撃つのは一撃必殺の50mm電磁機関砲。


 しかしその時だった、突然に不明目標の軌道が変化した。


 徐々に加速していた8目標全てがいきなり爆発的に加速し、大きな軌道を取り始めた。それも対数的に加速しながら…


 そして、その進路の先にあるものは…


 やっぱり私なのねー

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