第41話 電力復帰…
私達がヒルダ領域で、スイカ級から廃材をコソコソと切り出し、船体の補修作業を黙々と進めていると、「警戒宙域に侵入して来た物体あり」と報告が上がって来た。
どこから現れた?
発見したのは、早期警戒機のシーカーシンデン、コールサイン「SS1」
観測結果から、彗星などの長周期軌道天体の類ではなく、天体運動の影響を明らかに無視した物体であるのは間違いないわ
メインベルトに今もとどまり、不気味に沈黙している異星人の残存勢力とは別に、ヒルダ領域内に突然に現れた。
場所は私達のいる所から、約260万キロの距離、SS1は随分と遠くまで脚を伸ばしてる。
送られてくるデータから、今までの異星人の船にしては、随分と小型であり、運動質量から分析するに、ゲッコウ程度の大きさしか無いと推測
こちらとの距離を20万キロ前後で、近づいたり離れたりしてる。
なんだろう…
SS1より対応を求めるコードが、私と戦闘機隊リーダーD1へ送られてきた。
SS1の現在の武装はガンウェポンのみ、対艦、対空ミサイルは残念ながら積んでない。彼らには申し訳ないけど在庫切れなので。
故に無視していいんじゃないか?、とD1と意見が一致。こちらは修復中だからまだ動けないし、そもそも戦闘を想定してSS1を送りだしてはいない。仮に攻撃しても仲間を呼ばれでもしたら、面倒極まりないからね。
「放っておきなさい」、それから「引き続き監視、警戒する様に」とコード送信
SS1より「了解」を受信。
…宙域が不穏になって来た、なる早で補機を直さないと。
管球の交換はすでに完了。でも、不具合が出ないか確かめながら、時間をかけて出力を徐々に上げて行く事になった。コレは「テイラー」からの提案。
実は地球で最初に稼働させた際、急な稼働をしてしまったため、その時既に管球にダメージを与えていた可能性がある。と、指摘された。
確かに100年以上眠っていた機関だけど……そう言われてもねぇ。
そして、最終的にケレスで受けた強烈な電磁波が管球に止めを刺したのだとか…
なので、今回は管球の安定を図るため、エージングをするとの判断、200時間かけてエーテル流動を最大まで加速させる工程。現在は24時間経過、今のところエーテル管球に異常はみられない、「仙術式」も正常に機能してる。
それにしても200時間ですか。主機同様、短いんだか長いんだか…
近傍に謎の不明物体がうろついてるから、少しやきもきする。でも焦りは禁物、急ぎのあまり壊したら目も当てられない。現在は管球の予備がないからね。
ちなみに予備管球のストックは、交換した壊れたモノをリビルドの予定。
後は補機さえ治れば、とりあえず色々と事が進む、電力不足で待機状態だった他のメンテロボ達を動かせるし、プラントも動かせる、そしてマテリアルを増産できる。
その間に直せるだけ直しとく、確認は補機が立ち上がるまで後回し。
………
…そして幸いにも、謎の不明物体の動きに変化はなく、宙域状況は変わらずのまま200時間が経過。
メンテロボ統括リーダー、テイラーから報告
エーテル加圧炉、100%正常作動を確認
ブレーカーをリセット
……電力ライン、正常
艦内への電力供給、開始
すると、船内のあらゆる箇所に火が入った。
姿勢制御、慣性制御、電探、火器管制、補機出力制御、一部を除き全て正常位置
電力完全復帰を確認
待機状態だったメンテロボ達も全てが動き出す。これで一気に補修が進むわ。
そしてマテリアル装備が完了。後回しにするつもりが、外観修復も同時に終わってしまったわ。マテリアル、便利すぎます。
そんな中、再びSS1から通信、別領域を哨戒していたSS2からも…
不明物体の数が増えた?
私の電探の一部が復帰したので、こちらでも捉えた。確かに近傍宙域を小さく円を描くように動き回ってる。数は8
なんか嫌な予感がするわ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます