第36話 ヒルダ△…
今、メンテロボ君達の努力と気合?で、私の
動く事も出来ない寝たきり老人的な私は、ゲッコウⅡとシンデン達に牽引してもらい、とある領域に向かってる。
身を隠す場所がない宇宙空間での野晒しは、もし襲われでもしたらひとたまりもございません。戦闘不能の現況でとにかく安全を確保する事にした。
では、我々はどこへ向かっているか?、それは、「ヒルダトライアングル」と、呼ばれる小天体が密集している場所に向かってます。
「また小天体群か!」と思うかもしれませんが、そもそも火星と木星の間は小天体が重力干渉によって、あちこちで密集しています。と言っても、それほどの密度ではないけどね。でも身を隠すのにこれほど有効なエリアはないわ。
「ヒルダトライアングル」とは
木星軌道のラグランジュ点に位置する小天体領域「トロヤ群」と「ギリシア群」、そして木星軌道「遠日点」を結ぶ三角形の領域に広がる領域にあり、その軌道長半径は約4
メンテロボ達の判断曰く、そこなら木星の重力影響も少ないので主機の精密補修ができるとの事。補修内容はレポートが提出されたけど、私はぶっちゃけよくわかってない。サポートの補助AIは
そのヒルダトライアングルの中でも、私達は、木星の公転進行方向側になるトロヤ群に近い方を場所として選択した。なるべく木星の重力影響を受けないようにです。
そんな目的で、潜伏先まで来たところで、私はあるもの発見し、ギョッとした。
ちょっと何よアレ…遠くに見える銀灰色の物体、背後に輝く星の光とは明らかに違う。
シーカーシンデンがファイターを随伴させ、今飛び出して行った。
…
物体に近づいて判明した、私が思った通りのモノだったわ。
ヒルダ群の中に漂っていたのは、異星人のスイカ級、メイベルトから移動して来た?、……違うわ、私の様にここまで流されて来たと推測した、何故ならそのスイカ級は半壊していたから。
抉られて、三日月の様な形になってる。
そのスイカ級は、シンデン2機が私を守るため自らを犠牲にした時に対峙した、あの個体だと私は確信した。
沸々と怒りが込み上げる。でも兵装が使えない今の私にはどうにも出来ない相手。
まずは、シーカーからの報告を待つ事にした。
そして報告を聞いて、熱く激った怒りが冷めた。
…
私達は警戒しつつスイカ級へと接近する。
直径10キロもある怪物、でもそのスイカ級は元の質量の半分も無かった。
中身はえぐれ、半分以上が溶けている。光子魚雷4本分の破壊エネルギーを喰らって完全に沈黙していた。それをみて、私も良く助かったものだと思ったわ。
でもコレって……
スイカ級を調べてみて、ある事が分かった。
スイカ級は宇宙船では無かったという事実。だからと言って要塞でもない。表現としては巨大なガラクタの寄せ集め、デブリの塊。
得体の知れない多くの物体の中には、取り込まれた小天体と思われる岩石までも混じってる。そして決定的なのが、ひしゃげた姿で埋没していた宇宙船。
それはどう見ても
地球の航宙艦
ドローンを飛ばし、スイカ級へ接近させて、対象の
辛うじて艦名の一部が読み取れた。
かぐ…や?、違う?、かぐあ?、んー?
まーた平仮名だわ。文字がすり減っていて判別ができない。
「かぐや」って竹取物語の?、月由来の名前かしら?
ライブラリで照合した結果、比較的近しい名前があった、それは、南米同盟第5水雷戦隊所属中型航宙艦「アコンカグア」
竹取物語関係ないし…
ん?、南米よね?、エンタープライズといい、なんで艦名のマーキングが平仮名なわけ?、当時の流行りだったのかしら?
アコンカグアって確か、南米のアンデス山脈の山だったと記憶してる。ライブラリには、南半球の最高峰と記されてるわ、標高は6,961メートル?、エベレストには及ばないけど、とても大きな山ね。それでも火星のオリンポス山と比べると、霞む。
んむーそれにしても…スイカ級って、異星人の廃棄物処理施設とかなのかしら?
…まてよ?、ここの廃材、補修に使えないかしら?、地球の船も埋まってるし、なんとかなる?
あ、補助AIが起きたわ、とりあえず色々と確認しなきゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます