第30話 開戦…

 ケレスまでの距離60万キロに到達、私はケレスの公転速度に相対する。


『ケレス』は、直径約950キロ弱の球体状天体であり、分類は準惑星、大きさイメージは月の3分の1程度といったところかしら?、光学ズーム無し肉眼でもこの距離なら小さく見える。


 そしてその周りには……いるわいるわ、ゴチャゴチャと、葉の汁を吸うアブラムシかってほどに。ジャガ級、カボ級、そしてスイカ級の、総数約1万隻の大軍団。


…うーんスイカ級も移動して来てる。あいつ動くんだ…当たり前か。


スイカ級って見た目が某SF映画の「死を呼ぶ星デススター」に似てる気がする、丸いから?


 これって無謀だと思います?


 コチラの戦力は20機のシンデンに、大型艦載機ゲッコウⅡの1機。そして私ナガトのただ1艦。言わずもがな、数では圧倒的に負けてます。だけど打撃力では、負けてる気がしないわ。先の前哨戦では、ジャガ級120隻を軽く?捻って差し上げたわ。


「アラガウナ」

「テイコウスルナ」

「ホロビニキョウジュンセヨ」

「ホロビニキョウジュンセヨ」


 異星人のメッセージがあれから変わったわ、「お前誰だ?」とは聞かず、「死ね」が追加された。

 前哨戦で単艦に120隻撃沈されて、どう思っているのかしら?、戦々恐々としたかしら?


 …いえ、たぶんそんな感情はアレらにはないんでしょうね。


 彼らは「戦いという場に駆り出された道具」みたいなモノ、AI、もしくはドローンに近いのでは?と、思う。異星人とは一体何者なのかしら?、後ろでアレらをあやつって、ゲーム感覚なのかしら?


「道具同士で殺し合え」とでも言われてる様だわ…


 では異星人はどこにいるのか?、どこからあの艦艇群を操っているのか?


 私の予測ではケレス。


 感じるのよね、あの星から、ケレスに近づくにつれ、私の動生体センサーがビリビリ反応してる。「動生体センサー」は、名前こそセンサーだけど、普通とはちょっと違う。


 んーどう説明すればいいかしら…「気配」を感じ取るって感じ?、武芸の達人は気の流れを読み取り相手の動き、相手の存在を把握すると聞いたことがあるわ、それに近いのかも。


 ナガトにはそんなオカルトじみた『器官』が備わってる。仕組みはよくわからない。私は武芸者じゃないから感覚も漠然としてる。『仙術』と一緒ね。


 しかし、気にいらないわね。異星人共め、舐められてる?


 各機、指示を出します。


 特殊戦機は、引き続きナガトの直衛


 ストライク各機、リーダー機に従い敵艦隊を撹乱、各個撃破。


 ゲッコウⅡ、光子魚雷全弾発射後、戦線を離脱、シーカー2機はエスコートせよ、


 全機から「了解」のコール。うん皆カワイイ。


 シンデンは特殊戦とシーカー以外、全てストライクモードへと換装済み。前哨戦では火星で会敵した時の様なジャガ級艦載機が1機も出て来なかった。シンデン達を脅威とみなしていないと推測。…コチラの一番槍は、シンデン達の放った光子魚雷だったんだけどね。

 まぁ出て来たら出て来たで、ストライクモードのシンデンでも十分相手ができるので問題無し。


 それよりも、航空機による対艦攻撃というものが、どんだけ恐ろしいか思い知るがいい。


 最終目標はケレス、砲雷撃戦、ヨーイ


 私の号令に合わせ、ゲッコウⅡから光子魚雷発射のコールがなされた、4発×3、計12発の光子魚雷が時間差で連続発射され、魚雷は秒速6万キロへと一気に加速して飛翔する。迎撃しようと思っても、気づいた時には通り過ぎてる。弾着目標はカボ級、ジャガ級はカボ級の周囲に陣取っているので…巻き添え必至、一気に相手の数を減らす作戦。


 開戦の狼煙が上がった。

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