第29話 前哨戦…
異星人との初の本格的な戦闘が迫って来た。
事前に得ておいた情報を元に、戦闘前に組み上げた戦況テーブルに、状況がリアルタイムで刻々と刻まれていく。
ケレス周辺は今のところ大きな動き無し。こちらに向かって来るのはジャガ級4群体、総数120隻。それらに対し、先行するストライクシンデン4機が各機1発づつ、計4発の「光子魚雷」を放った。魚雷は扇子状に拡がって飛翔し、各群体に突入して行く、そして運悪い艦に直撃。
戦況テーブルにヒットのマーク。
私の光学視認で、4っつの閃光が暗い宇宙に花開いた。
閃光に包まれたジャガ級達、レーダーに映る艦影の半数近くが一瞬で消えた。
光子魚雷、やっぱり怖い。
生き残ったジャガ級が再集結し、2つの密集隊形となり、なおも突き進んでくる。まるで怯まない動き、躊躇いもない。
…まるで、蜂や蟻みたい。
2群体60隻余りのジャガ級が二手に分かれ、私の左右から挟み込むように回り込んで来た。周りのアステロイドなどお構い無し、ぶつかっても弾かれても突っ込んでる。
私はゾッとした、理由は……
「彼らは死を恐れない」
シンデン達が指示を求めてる、光子魚雷では近すぎる、コチラに被害が及ぶ、50mm電磁砲による特殊弾でも数隻しか止められない。
私の一瞬の戸惑いで、シンデン達が抜かれた。
ジャガ級が陽電子砲による一点集中砲火を放って来た、私の両舷側面に超高熱と圧力が浴びせられる、仙術防壁がその火線を防ぐも、エネルギー耐久吸収ゲージが一気に上昇し
くっ!?
ジャガ級集団はさらに加速して来た、まるでうねる巨大なイワシの魚群のよう。そのコースは…
体当たりする気!?
単艦がただでさえ大きいのに、群体は最早巨大な龍にしか見えない。ぶつかればコチラは踏み潰されてお陀仏。
左弦からの群体が先に来る!
私は艦を急上昇させ左に80度傾斜、ギリギリでかわした。続けて右が迫る
底部の、41センチ荷電粒子連装砲2基を、全力斉射、右から来た群体正面の艦が押し戻されるかのようにみるみると溶け、そして爆散した。周りのジャガ級も巻き添えになった。
私の攻撃を逃れたジャガ級達はすぐさま、迂回してして回り込んでくる。鈍重な戦闘艦群、と思わせておいて、速い!
私は増速して逃げつつ荷電粒子連装3番と底部5番で背後へ応射、先頭のジャガ級が何隻か爆散するも、あちら様も怯まず陽電子砲を乱射してくる。仙術防壁があるとは言え、連続被弾はいつまで持つか…
こんなに苦戦を強いられるとは思わなかった。ここを凌いでも、この後におよそ100倍以上の異星人と単艦でやりあうのよね、先が思いやられる。でも僥倖、不明だった彼らの戦法の一端が見えてきた。
特殊戦もジャガ級群の動きを予測し始め、ファイター達と連携し、仕留めるまでに行かないまでも、確実に足止めを始めた。さすがうちのエース達、超カッコいいわ。
シンデン達は、ジャガ級の動きを先読みし、陽電子単装砲と50mm電磁砲で、確実に一隻一隻を足止めして行く。
群体から脱落するジャガ級を、すかさず私の荷電粒子砲の餌食にする。
それでもなお、脱落した仲間を弾き飛ばし、踏み越え、追いすがってくるジャガ級達、まるでゾンビ映画だわ。
ああ、鬱陶しい!!!
荷電粒子砲満充電、出力最大!、全門斉射ぁ!!!
連装砲2門5基が同時に全方位に火を吹いた。
宇宙が白くなる。
……敵艦残存なし
ジャガ級120隻全てを殲滅した。こちらの損害は「0」、勝利の余韻冷めやらぬままに、ワタシは艦首をケレスへと向ける。
最大戦速!
主機が吼える。
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