第27話 メインベルト…
『メインベルト』
火星と木星軌道の間に位置し、軌道長半径が約2〜3.2天文単位(平均2億6千万キロ)と幅広い小惑星群帯。準惑星ケレスはその一部であり、ケレス自体は太陽黄道面に対し10度ほど傾いた公転軌道で太陽を周回してる。
私は平均秒速18キロの公転速度をもつケレス追うように、1時間あたり60万キロ近づく速度で接近するコースを取ってる。現在距離は約7,000万キロ、ランデブーまで後117時間。
ナガトの通常巡航速度に移行すれば、数時間で到着できるわ、でも私はそんな事はしない。
なんでそんな面倒なことしてるかというと…
ぶっちゃけ時間潰…あ、いえ、時間稼ぎ。
メンテロボ君達の更なる戦闘力向上シミュレートをしたり、まだ本格的な戦闘をしていないワタシ自身も、各種兵装の扱いについて練度アップを実施しなければならない。それと戦闘に備えてプラントでの予備弾薬を鋭意生産中であります。特に「光子魚雷」は反物質を使用するので、中々に骨が折れるわ。
その間にも対艦戦闘モードの「ストライクシンデン」を発艦させたり、光子魚雷を満載した「ゲッコウⅡ」を先行させたりもしたわ。ちなみに、ゲッコウには別命も出してある。
あー、忙し、忙し…
メインベルト領域を散らばっていた異星人がケレス周辺に集結しつつあるわ。コチラの動きをやはり掴んでいると見るべきよね。ナガトの進路がケレス目標だと気づいての行動なんでしょうけど……
…ふふ、思う壺。
数で圧倒する気なのかしら?、コチラとしては、密集してもらった方が都合がいいわ。
それにしても…あいも変わらず頭の悪い電文を放ち続けてる。
「オマエハ、ダレダ」
「オマエハ、ダレダ」
「アラガウナ」
「テイコウスルナ」
なんだかなー、本当に知性体なのかしら?、なんか機械的でキモチワルイ。
ひょっとして彼らはAIとか自動機械じゃないのかしら?、そう思うと異星人の船の不可解な動きが理解できる。「拠点を守れ」とか命令されてるとか?、あちら様はおおよそ1万隻、その数を一気に動かして、私を襲えばいい。コチラは優秀過ぎる艦載機がいるとはいえ、所詮は単艦、数で押し切れると普通は考える。私がもし彼らなら、そう判断すると思う。
それが間違いだと示すのが、これからの戦いなんだけどね?
あ、そっか私も今は機械か、人の事言えないわハハハ、もはや人じゃないけどね。
…そんな事はどうでもよろしい。
思えば、宇宙戦艦になってここまで慌しく来てしまったわ。移動速度が速くなったせいで、時間の流れも速くなった感覚がある。実際に地球と艦内の時間も極僅かにズレ始めてる。光速に近くなればなるほど、ウラシマ効果でどんどん時差が拡がる、まぁ地球との時差が拡がった所で、帰る場所なんてないけどね……
………やだもう、しんみりしてしまったわ。
よしストレス解消にメディアライブラリーの映画でも見ますか。…何にしようかな?
え?、忙しいんじゃないのかって?、やーねー、ちょっとぐらい休憩してもいいいじゃん。別に「ベンハー」とか「十戒」とか長編モノを見ようってわけじゃないんだから。
そうねー、…これにしよう「
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