第25話 情報収集…

 異星人の船が生物の様な代物だと判明したわ。それすなわち、奴らは自己修復できる可能性があるということ。メンテナンスフリーなんて、広い宇宙で活動するなら、これほど有効な手段はないわよね。もっと言えば「生物」なんだから、増えたり出来るのだとすれば、厄介極まりない。


「1隻見たら、100隻いると思え」ってやつね。ゴキブリか。


 「マテリアル」の弱点を上げるなら、変質させる様な熱量には耐えられない点、墜落地点を分析してわかったわ。ただし、その熱量は瞬間的な熱核反応程度が必要みたい。

 どちらにしても、ホイホイと核ミサイルを使えなかった地球人類に、勝ち目が無かったのは伺える。


 さて、一旦シンデンを収容し、私は火星のフォボス衛星軌道まで上がり、現在は火星のラグランジュ点にてゆっくりと軌道周回中。


 なにをしてるかって?


 新たに電探装備を積んだ、シーカーモードの「シンデン」2機を飛ばし、遠くアステロイドのメインベルト界隈を情報収集中であります。


「死中に活あり」なんて言う軍人さんもいらっしゃいますけど、何でもかんでも突っ込んで行けばいいってもんじゃないわ。情報は武器になる。


 異星人の宇宙船の位置、動き、数が、レーザー通信で着々と入って来る。


 まぁ、いるわいるわ、ウヨウヨと気持ち悪い。


 マジ、ゴキブリ。


 なんでこんな密に行動してるのかわからないけど、味方を瞬殺した私のことを警戒しているのかしら?、火星方向に侵攻して来る動きは今のところないわね。少しずつ来てくれれば、チマチマと叩くんだけど…


 コッチ見えてるわよね?


 …さて、どうしたものか。


 次の目的地は準惑星ケレス、メインベルト軌道に位置してる。一番異星人の船が集まってる場所でもある。まさに敵のど真ん中、行かずに避けてもいいんだけど、奴らのせいで迂回するのはぶっちゃけ癪に触る。


 …それに、アルファ基地で手に入れた星図に書き込まれたマーカー、そのマーカーの色が私は気になった。地球近くのラグランジュ点L5は『赤』だった。火星のマリネリス峡谷は『青緑』、遥か遠く木星の衛星ガニメデも『青緑』、衛星イオは『黄』……、黄色が何を表しているのかまだわからないけど、信号的感覚だと黄色は「注意」、青緑は「安全」、…そしてケレスの『赤』は「警告」もしくは「危険」


 、この色は敵の拠点とかの位置を指しているのでは?と、推測した。サンプルが少ないから判断に誤りがあるかもしれないけど、ケレスの周りに異星人が密集しているのが推測を裏付けていると思う。


 敵中の星を調べさせてくれるわけないし、大人しく見逃してくれるとも思えない。


 とにかく進路上には敵がわんさか待ち構えているわ。


 フフフ、私の航海を妨げるのは許さん。


 …んー?、私って、こんなに武闘派だったっけ?、宇宙戦艦であるという武士もののふ的な気持ちが前に出過ぎてる?


 危うい、危ういわー、私。

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