第21話 ドッグファイト…

 私がなんで対話を選択せずに、攻撃を優先したか?


 火星に降りるときに邪魔されそうかな?、と思ったからであります。

 

 そもそも、問答無用で地球を滅ぼしたのはあちら様、呼びかけて会話するにしても、こちらの戦闘力を見せつけ、脅威であると示す必要があると思ったのよね。要するに戦闘になったら「ただではスミマセンよ?」、という意思表示。


 だから私はおおいに威力行使した次第です。


 火星の大気圏に落ちて行く異星人の船からワラワラと何かが飛び出してる。


 脱出艇?、いえ艦載機よね。コッチを見つけたみたい、峡谷へと向かって来る。


 では私も。


 艦尾フェアリング開く

 電磁カタパルト用意

 戦闘機隊、発艦準備。


 艦尾両側舷に少し膨らんだ箇所があり、そこの外板が下に開き、リボルバー銃の様なシリンダーがせり出す、そこに前方に翼を折りたたんだ艦載機がハチの子の様に収められてる、シリンダーから先は艦側舷に沿って電磁カタパルトになっていて、艦載機を3機づつ計6機を連続射出。空中に飛び出した艦載機は即座に翼を広げエンテ型の機体に変形し、スラスターを吹かして上空へと一気に駆け上がって行く。


 第二次世界大戦末期に亡国ニッポンで4が造られた局地戦闘機インターセプターの末裔、


 その名も『スーパーシンデン』


 本来は有人機だけど、乗る人がいないのでコクピットにアルファ基地から召し上げたAIメンテロボ君達をちょこっと改造したユニットを載せてみました。ただ載せたのではなく、火星にくるまでの間に頑張って戦闘学習させましたよ?。艦載機は全部で20機あるけど、今回間に合ったのは6機、でも十分、十分。

 なにせ人が乗っていないので、乗員を守る必要がないのよね。

 あ、必要ないというのは、それすなわち戦闘機動に制限リミッターがいらないということ、遠心重力という枷が無くなった宇宙戦闘機はあり得ない動きをするのです。なおかつツーマンセルで組ませてあるので、更に戦闘力は爆上がり、仮想加速空間でのシミュレーションでも、私はAI達に30戦28敗とボコボコにされたわ…それでも1対6で2勝はしたのよ?、誉めてほしいわね。


 さて、シンデン達が峡谷を飛び出し、異星人の戦闘機群と会敵、火星上での空戦が始まった。異星人の戦闘機はトンガったドリルみたいな形状をしてる、数は38、めっちゃ多い、数的にはあちら様が優位。でも向こうは有人機なのかしら?、スーパーシンデン達の動きについて来れない。3次元レーダーで見ててもシンデンの方が断然機動力が高い。例えば、背後につかれたシンデンは、2機同時にコブラ機動で瞬間的に機首背後へ転回し、銃撃、撃墜、普通はやり過ごして背後に着くもんだけど……、シンデンはそのまま失速を利用して釣瓶落としでペア2機がお互い接触しそうなほどの背面飛行でピタリと寄り添い、まるでダンスをするかの様に下方の敵機をグルグル回転しながらガトリング乱射で無駄なく撃墜する。あんなの教えたっけ?、シミュレーションでもやったことない動きをしてる。


 スーパーシンデンの通常武装は、

 機首中央に50mm電磁バレル機関砲1門、

 その左右に20mm通常バルカン砲2門、

 ウェポンベイには弾頭にもよるけど、通常の空対空ミサイルなら8発入る、小型ながら中々の重武装。

 ストライクモードだとアタッチメントで空対地や、対艦、長距離光子魚雷も積めて、雷撃機としても使用出来るマルチロール機なのよね、ウチの子達はとても優秀なんです。


 …なーんていってる間に開始10分で戦闘が終わってしまったわ。早っ


 それもミサイルを一発も使わずに全機撃墜、コチラの損害なし、凄すぎて笑う。


 シンデン達にはこのまま哨戒に当たってもらいましょう。

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