第18話 初めての…
艦長席のコネクターに接続した瞬間、突然エンタープライズから何かが飛び出し、宇宙空間で炸裂した。それは、チカチカチカチカっと光り、そして消えた。
なに?、なんなの?、信号弾??
次の瞬間、エンタープライズが大爆発した。ドローンも巻き込まれ信号も途絶、その衝撃で小天体が真っ二つ割れる。
え?
小天体の中から、何かが姿を現した。それはおおよそ自然由来のものではなく、人工の物体。
私の直感が囁く、防壁展開!!
その時、その物体が眩く光った!
私に向かって照射された高出力の光が船体を襲う、衝撃と凄まじい圧力!、攻撃されてる!?、船体を焼こうとする火線から逃れる様に、私は船体を横に滑らせ、光の火線をやり過ごした。咄嗟に防壁を展開しなければやられてたわ。
私が展開したのは、アルファ基地で装備した「仙術防壁」、受けたエネルギーを利用して、吸収と反射、拡散をさせる術式を船体表面に組込んだのよね。弱点は受ける容量、過大なエネルギーを受けるとオーバーフローを起こして術式を貫通されてしまう。
さっきの砲撃は、エネルギー量から強烈な陽電子砲だと思う、荷電粒子砲なら貫かれてたかも。
小天体を割って中から現れたのは、真っ黒で、ゴツゴツとした物体。それは巨大で要塞の如き宇宙船と思しきモノ、全長は2キロ弱ある、ワタシより何倍も大きい、どう見ても地球産じゃないわ、小天体に偽装して潜んでいた。
あちら様は問答無用で撃ってきたわね、ならば私は「アレ」を敵と判断する。
先ずは一当て、砲雷撃戦、艦首「光子魚雷」1番、2番、発射!、続いて荷電粒子砲チャージ、測的……
艦首から放たれた2本の光子魚雷が、一瞬で光速の20%まで加速し、謎の戦闘艦に着弾した。
……はい?
私はその光景に目を疑った。と言うか…
光子魚雷2本は着弾すると同時に、宇宙が真っ白になる程の閃光を放った。自動閃光防御も最大減光率を超えてしまって役に立たない、閃光に飲み込まれた謎の戦闘艦は小天体をも巻き込み、瞬く間に蒸発してしまった。
真41センチ荷電粒子連装砲の出番なし。
私はゾッとした。
牽制のつもりで「光子魚雷」を使ったけど、核攻撃とかの比じゃないわ、荷電粒子砲よりヤバイんじゃないの??、2本も要らなかった。と言うか、全部消し飛ばしてどーすんのよ!?、塵も残さず瞬殺してしまったわ。
…アレ、宇宙人が乗っていたのかしら?…乗ってたわよね?
…再生映像見るかぎり、明らかに地球の船とは思えない意匠をしてる。…まぁ言ってしまえば機能美なんて皆無、機械剥き出しで継ぎはぎだらけ、ゴテゴテゴチャゴチャとした印象。デブリの塊と言う表現が正しいかも。見たまんま悪役マシーンだったわ。
さっきのが人類を滅ぼした異星人だとするなら、長居は無用ね。
サッサっとこの宙域を離脱しましょう。
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