第15話 再起動…
アルファ基地に戻る前に、航宙艦隊基地にも一応寄ってみた。コチラは完膚なきまでに叩き潰されていて、探索しようがないのは解ってたけど、一応ね。
唯一、原型を留めていて、頭からモニュメントの様に月面突き刺さった航宙艦があるわ、艦名は…「ツングースカ」、ソ連籍の艦艇なんだけど…それって大昔に隕石の落ちた場所の名前よね? ワールドエンドと言い、ネーミングセンスを疑うわ。
航宙艦隊基地に異星人の情報が無いかと思ったけど、得られるモノは何も無かった、何故なら物理的なメモリはおろか量子メモリまで何から何まで全てが「No DATA」、痕跡を消そうとするかの如く強い電磁波を浴びせられていて、焼き捨てられていた。…地球人が自ら消したのか、異星人が消したのか…
これ以上ここに居ても仕方がない、私は航宙艦隊基地を後にしてアルファ基地へと向かった…
……
…
アルファ基地に戻ると、早速、主機の再起動を行う。船体はまだ分離した状態だけど、ブロック構成により主機部は稼働できる状態にあるのでこのままで起動します。
補機エーテル加圧炉、全力運転
謎の仮想物質「エーテル」が、加圧炉を通過していく様子を、起電力計器類が数値だけで捉えてる。そもそもエーテルってなんだろう?
エーテル流動値最大値へ
主機、炉内縮退ハジメ…50、80、100
重力子確認
主機臨界
「術式」展開。
主機に施された、模様の様な仙術式が輝き出した。…なんと言いますか、すでに色々とオーバーテクノロジーなんだけど、この仙術が一番に非現実的なのよね。
仙術式は主機が臨界に入ると自動的にその役割を担う、反転重力による漏れ出たエネルギーを受けた術式はその作用を利用して光子を発生させ、炉内へ向けて放ち、重力縮退を加速させる。その作用を仙術式が繰り返す事で対数的に光子は増幅され、縮退が連続すると言う仕組み。一歩間違えると超重力崩壊を起こしてブラックホールが剥き出しになって太陽系を飲み込んじゃうのでは?、と考えてしまう。確かに地上でフル起動なんか出来ないわ。
でも凄いわコレ、マジ凄い、桁違いに主機の出力が増したわ。
パワーが漲るとはまさにこのことをいうのね。
スターターの役目を終えたエーテル炉の接続をカット、以降補機は緊急時以外、主兵装、艦内電力用に単独使用される。
主機が再起動した事で、基地へのエネルギー供給も始まり、基地内の照明を全て点灯させた、今更無意味ではあるけれど基地の生命維持装置も運転を再開させた。何故なら凍った発令所をもう一度調べたいので…
実は基地の電力供給は核融合炉施設が存在してて、そこが担っていたわ。だけど炉施設は、崩壊した航宙艦隊基地の真下にあって、完全に押しつぶされ破壊されてしまっていて、機能していなかった。ちなみにヘリウム3を使った核融合炉なので放射能はほとんど検知されなかった。宇宙では、宇宙放射線の方がずっと怖い。
空調も整い始め、私は再び発令所へー
案の定水浸しの発令所、温度をガンガンに上げ、水分を飛ばしてから、主電源を入れた。
すると、スクリーンや座席モニターに一斉に火が入る。星図も表示された。
よしよし。
そこでようやく木星圏までの太陽系マッピング情報を入手。ナガトのライブラリーにはなかったからね。惑星の位置などが1万年先までタイムラインで表示出来るデータ。そのマップを使って人類が残したであろう痕跡を徹底的に調べ直した。
…すると、ラグランジュポイントに何かある事がわかった。それからお隣の第4惑星マーズ、その先アステロイドベルトにある準惑星ケレス、そして第5惑星ジュピターの衛星ガニメデとイオ。
それらの場所に色違いでなんらかのマークが記されてるわ。でも説明が一切なし。
うん、まずはそれらを目的地にしようと思う。
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