第6話 そして誰もいなかった…

 取り敢えず


 私は艦載機をドローンとして世界各方面へと飛ばした。この艦載機がまた凄いんだけど、それはまた今度説明します。飛ばした目的は、生き残った人がいないか、地球全域の捜索。


…それと、地球外生命体の索敵。


 次々と上がってくる情報を整理し、探索したエリアをデータマップ上で塗りつぶして行く。でも、各機から送られて来る映像を見て、そこにある悲惨な光景に私は言葉を失う。わずかに文明の痕跡はあるものの、主要都市はほぼ全てが消滅。動植物の痕跡さえ残っていない。


マーカーで塗りつぶされていく地球のマップを見る限り…


誰もいない。

何もない。


 人の生活どころか、草木一本生えていない、乾涸び、赤茶けた不毛の大地が、延々と続いていてる…


では、地下に生き延びた人達はいないのか? 


 地下ならシェルターなど居住エリアがあるかもしれない。想定される敵に傍受されるかもしれないというリスクを負いながら、私はあらゆる通信で全周波数にて呼びかけつつ、更に生存の可能性の低いエリアまで広範囲で探しまくった。


この際、地球外生命体でもいい。この星にただ1人残されたという事実を打ち消したかった


 …それでも呼びかけには反応がなかった。


 艦載機には小型ドローンが搭載されており、それも駆使して、入れる範囲で地下を捜索する、だけど、その先にはさらに悲惨な光景が…

 地下には未曾有の危機を生き延びたと思われる人々の生活跡が僅かに残っていた。


…でも、残っていただけ。


 そこには折り重なって朽ちた人々の遺骨が散乱していた。


 生身だったら間違いなく吐くレベル。


その遺体を食い散らかし、最終的には一緒に死んだネズミなど、動物の骨も混ざっていた。


しぶとく生きるゴキブリさえいない。


地上では、動生体反応がピクリとも、反応する事はなかった…


どうやってここまで殲滅させる事ができたのか?

推測するに、答えは簡単だった。


 東シナ海から南シナ海、ユーラシア大陸の一部へと至る、地殻が抉れマントルがむき出しになった巨大クレーターがそれを物語っている。

 それはおそらく、宇宙から飛来した巨大物体が衝突した跡、クレーターの大きさから推定するに、落下した物体の大きさは200kmと推定される。恐竜を絶滅させたと言われるユカタン半島に落下したとされる天体よりも、はるかに規模が大きい。まずそれが衝突し、その衝撃波と、蒸発した岩石熱が落下からおよそ24時間後には地表を覆い尽くし、全てを焼き尽くした。人々は逃げる暇もなかったはず。海は蒸発し宇宙空間へ拡散、突き抜けた衝撃波で大気層までも破壊された。それだけで地上の9割以上の生き物は死滅。その後に灼熱化した地上と、宇宙放射線がとどめを刺した。守るべき大気層がなくなり、おそらく地磁気までもが弱まったんだと思う。地球は有害な紫外線、電磁波、宇宙放射線を浴び、遺伝子レベルで地上の生物は完全に滅び去った。


 天体を人為的に落としたのが、異星人だとするならば、地球人には防ぎようがない。


それにしても…


地球を滅ぼした異星人はどこにいるのか?

索敵した限りは、存在を確認できなかった。

彼らは地球を滅ぼした後、なぜを放置しているのか?

侵略だけならここまでやる必要はなかったはず。

地球をここまで壊す必要があったのか?

……そうなると、単に殲滅が目的だった?


 異星人の詳細に関する記録はライブラリーには全く残っていない。彼らの思考も、文化も、生物としての生体情報もなく、ただただ残虐だったとしか記されていない。


そもそも、私はなぜ、誰もいなくなった地球に、それも宇宙戦艦に生まれ変わったのか?


神様のイタズラ?

罰なの?


私、生前に何か悪いことした?


コレは誰を呪えばいい?


神様?

ぶつかって来た潜水艦?

異星人を恨めばいいの?


 …でも不思議とそんな感情は湧いてこない。私は何か欠けているのかしら?

 生前はこんな感じじゃなかった……と、思う。

多少は動揺してるけど、変に冷静なのよね、機械の脳、機械の身体になったからかしら?


 私は砂塵が晴れた夜、月を見上げた。恐ろしく静かで、そして星が降らんばかりの満天の星空。

 皮肉なもので、大気層が薄くなったおかげで、嵐の晴れた夜空は美しいわ。


 宇宙か…月…


 そうだ、月にも居住地が建設されてたはず、行ってみよう。


 私は地上を離れるため、もう一度地球を自らので巡った。ユーラシア、アジア、中東、アフリカ、ヨーロッパ、北欧、アイスランド、北米、南米、ジーランディア、…南極


 南極だけは、地下に僅かに水が残っていた。でもそこにも誰もいなかった。


 私は南極を出るとハワイ諸島を通過するルートを通り、「イオウジマ」に向かってる。そこにナガトの大気圏脱出用ブースターが隠されてるみたい。


 1G反重力で浮かんで音速で飛んでいるのに、なぜそんなものがいるのか?、1Gで浮いているだけでは地球の重力は脱出出来ないからです。それに、主機が不完全のため、自前では脱出速度への出力が足りないんです。大質量を宇宙まで持ち上げるというのは簡単じゃ無いんですよ?

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