第5話 状況確認…

 元人である私は、宇宙戦艦となって蘇った。

 それも100年も先の未来世界で。


 …とは言っても私の過ごした時代の延長線上の未来なのかはわからない。違う次元、並行世界の未来かもしれない…

 そう信じたい。

 だって人類滅亡なんて結末は悲しすぎる。未来がない世界だったなんて…


 そして、なぜ宇宙戦艦になったのかわからない、なぜ宇宙戦艦なのかもわからない

 現状は理解はしたけど意味がわからない。


 そもそも人類が全滅した世界に転生って何?


 この先どうしろと?


 状況を確認しよう。


 ワタシ自身のこと、えーと…国連航宙艦隊所属……航宙艦隊?、それも国連の??、そんな組織あったっけ?、…あー、組織結成は私の時代よりずっとなのね。

 えー、第4次新八八艦隊計画特一級特殊戦闘艦一号…


 なげーわ


 艤装、41センチ荷電粒子連装砲二門、前部2基、後部1基、底部に2基…え?、下にもあるの?、荷電粒子砲??、電磁誘導バレルによる実体弾の射撃も可能…と。

 それからー、12センチ陽電子砲群12基、光子魚雷発射管、前部6門、後部6門、極超音速対艦ミサイル垂直発射管12、底部発射管8、カウンターメジャー発射機前後左右各1基

 …あ、艦載機まである。…20機!?、ちょっとした航空母艦じゃん!

 なんか凄い重装備なんですけど?、コレ、異星人と戦争するために作ったのよね?

 補機はエーテル加圧炉?、主機は…反転重力炉?、…何それって感じだけど、仕組みは重力縮退を利用した永久機関??

 こんなモノ動かしていいのかしらと思ったわ。

 大気圏内も反重力航行が可能、反重力…ただまだ不完全でシステム改修をしないとダメっぽい。

 艦体全長は345メートル

 元の戦艦より長いわ。面影はあるけど、近代改修時に増設されたバルバスバウが、今は鋭利な衝角みたいな形に置き換わって突き出してる。

 全高は50メートル

 艦橋部はかなり低くなってる。船体は下側が丸く左右に膨らんでるけど、艦橋部が下がった影響かしら?

 基準排水量は42,500t

 そんな変わらないわね。

 最大出力は……

 基準がないからよくわからないわ。

 最大速力…

 え?、ウソでしょ?。ちょっとコレは後々試そう。

 一応艦内は人が過ごせるようにできてる。第一ブリッジ、底部第二ブリッジ、CIC、居住エリア、厨房、医療室、訓練施設、娯楽施設、全てが備わってる。一度も使われた形跡がないけどね…

 この船は日の目を見る事なく、乗り込むべき人類が滅んでしまったのね。


 周囲を確認

 天候、晴れ?、大気温度摂氏48度、風強し、砂塵で視界悪し。窒素、酸素濃度著しく低い、亜硫酸ガス高め、放射線量24μSV/h…と、宇宙空間並に高い、とてもじゃないけどこんな地上環境では生命は生きていけない。

 座標、北緯35度45分、東経139度63分、誤差12秒

 GPS含む各種信号…反応なし

 衛星がない?、衛星座標を確認…検知されず、地上全周波数で呼びかけるも…応答なし。人工的電波、光通信類が感じられない。パッシブソナー、砂塵の影響で全天真っ白。

 …お、動生体反応センサーなんてある!、広域測位範囲半径は…10,000キロ!?、単位間違えて無いわよね?、範囲を絞ると、300,000キロ!??、って、なにそれ!、このセンサー凄くね?

 …えーと、圏内には生命及び、動体物の反応なし?、なによコレ壊れてないわよね?


 …あ、そうか生き物絶滅してるんだもんね、反応があるわけないか…はぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る