第9話 注目されてる!?
翌朝、一緒に登校するべく電車内で合流すると、つゆりは嬉しそうにこんなことを言ってきた。
「聞きました? 私たち、噂されてますよ。お似合いの地味系美男美女カップルだって」
「美男美女に地味を冠してるの初めて聞いたよ」
言わんとすることはわからんでもないが。
「注目されるのも悪いことじゃないかもしれませんね」
「僕は注目されたくないな。知らないやつから話しかけられても面倒なだけだし」
「誰に対しても基本、塩対応ですもんね。朔くんって」
「どうでもいいことに感情を消費したくないからな」
「他人のことを、その辺の草や石ころと同じようなものだと、思ってそうです」
「当たらずとも遠からずだ。みんなモブキャラだと思ってる。クラスメイトAとかそんな感じだ」
「そんな他人に興味のない朔くんが私のことだけは特別に見てくれるってところが、私としては嬉しいんですけどね」
「そんな思考回路してると、自分にだけは優しさを見せてくれる暴力男みたいなのにつかまってDVされるから気を付けろよ」
「私のことを思って言ってくれてるのはわかるんですけど、私は私で朔くん以外の男には興味ないから大丈夫ですよ!」
「そう言ってくれるのは嬉しいんだが、共依存に堕ちかねないから、心配になるな」
乗り換えて学校の最寄り駅が近づくと、車内にも同じ学校の生徒が増えてきた。
もちろんこちらに無関心な生徒もいるのだが、何人かはこちらを指差したりしてひそひそと噂話をしている。居心地悪いなこれ。中学生の紬も知っていたくらいだし、うわさは相当広がっているとみて間違いないだろう。学校に着いたらどうなっていることやらと、先が思いやられる僕だった。
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