第6話 とりあえず予定は適当に。とりま電車
おはよう世界。今日も相変わらず中途半端な天気だがなんか晴れそうだ。そして、ありがたい土曜日、もうサークルに行く必要すらない。
そして、私は気づいてしまった。床にある光を。
「……」
無防備に寝てるよ。お腹出てるし、なによりばくすい!! 可愛い。なんだこの天使。この世界、ある意味終わるぞ。
彼をアイドルにしたら私は一生遊んで暮らせそうな金が入るという強い確信がある。まぁ、しないけど。可哀そうだし、私のために来たとかいうんだからこの世界を堪能させてあげようかなあ。
私は音を立てないように歩いていく。さすがに慣れないことばかりで疲れただろう。無事に辿り着くと、冷蔵庫に入っているヨーグルトを取り出した。すると、背後に彼がいる。
「起きたの?」
「あぁ。匂いでなんとなくわかったから起きた」
「そ、そっかおはよう。」
ドラゴンだからか鼻がいいらしい。だが、その匂いのせいで眠れなさそうで可哀そうだ。
「寝れた?」
「あぁ、十分にな。あいつが消えてから一日中寝てたし、このくらいが丁度いい。」
なら、いいのか。私は適当にお皿にヨーグルトを出し座らせた。今日はパンでいいか。ごはんかパン派のどっちなのかは両方食わせてからだな。
「今日はパンね。焼くだけだから座ってて。」
パンをチンしてバター塗って、ジャムを机の上に置いた。ユキトはプレーンのヨーグルトを美味しそうに食っている。私はジャムを少しいれる派です。
「これはなんだ」
「パン」
「ぱん」
「こうやって、好きな味のジャムを塗ってもよし。そのまま食ってもよし。砂糖をかけてもいい。まぁ最初はそのままいったらいいよ」
そういって、パンにジャムを塗っていると一口食べていた。
「……少し、甘いな。そのパンだけをくれないか。」
というので、袋からパンを出して渡した。
「甘い」
「多分、バターが織り込んでいるからかな。」
甘いのは苦手なのかもしれない。ならば、明日和食を作ってあげるか。きっと喜ぶだろうなぁ。
「だが、変わった味で美味しかった」
「そ、そっか。あなたの世界は何を食べてたの?」
「……俺はドラゴンだ。だから肉しか食っていない。あいつが狩っているおかげで特別料金で食えるしな。狩っていると安く買える」
肉しか食っていないなら仕方ない。何十年もそれだろうし、甘いものは口に慣れていないということだ。この世界じゃもったいないなぁ。
好きなものとか見つけてあげたらいいんだけど。とりあえず、ごはんを片付けて服を着て、荷物を持った。今日の天気はよし。
「よし、じゃあ今日はデパートに行くわよ!」
「でぱーととはなんだ」
「昨日のやつのクソでかいバージョン。そこであなたの服とかいろいろ買うわ」
「わかった」
ユキトを連れて、今回は駅にきた。なんと徒歩三分。まぁこの田舎だからこそ大学生でもなんの苦しみもなしに借りられているんだ。
私はユキトの切符を買って渡した。
「なんだこれは」
「これをあの駅員さんに渡してきて」
ユキトは言われた通りに向かい、ハンコを押されて返してもらっていた。ちなみに私は定期券だ。まぁ田舎だし都会の町に行かなければ大学生ライフの意味がない。
「ということで、れっつご」
朝が早いとはいえ休みの日だ。他の田舎民も同じようなことを考え朝早くの乗る。
人が多いが仕方ない。私達は向かい側の窓際で立っていた。
「おー」
ユキトは感動するように揺れていた。これがこの世界のドラゴンみたいな移動手段だ。
「案外、人が作るのも楽しいな。初めて乗った」
「でしょ。もっと連れて行ってあげるから」
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