夜型に戻りかける
釣ール
はなむけ
空からおくりものがやってくることなんてあるわけがない。
降るのはいつも雨で、晴れても乾いた感情を更に追いつめるだけ。
今日も墓参りから始まる。
午前からスタンバって
ただ今回はその関係が終わる。
友は
そもそも墓なんて金がかかるだけで時代遅れとAIを利用したカプセルを作ってそこに入ろうとしていた。
その時は気が早いと思っていたが別れは突然やってきた。
カプセルは作成途中。
親もいなかったからこのままでは
高い買い物だったが物欲もなく貯金だけはあって生きる気力もやる気もここで墓参りをする時にしかなく、友の生前を思い出すだけで胸に込上げるものがあった。
やっと作成できたと彼に告げ、お骨をカプセルに入れる。
もう午前に彼の墓の前で清掃もしなくて済むのならこれでいい。
墓は残るから管理などは変わらないけれどその方が彼に気を使わせなくていいと考えた。
そこから仕事を夜に入れた。
バイトなんだけれど。
正社員も続かなくて辞めて泣いた時に亡くなった彼が自分よりも金がないのにおごってくれて、お礼をする前に亡くなってしまったから墓を立ててチャラに出来たと勝手に考えていたけれど人間関係はエゴのゆずりあいで成り立っているのかもしれないとやっと知った。
ニート生活もなれて、飽きてきたら人間観察を兼ねてバイトを続ける。
もう話せる人間もいないし生きていてもこの場所をいつでも離れられるので人間観察中にしがらみから逃れられない物語を内心笑い飛ばして、亡くなった彼の笑顔と怒り顔、海辺で彼女にフラれて二度と恋愛しないといった後に工学系女子へ夢中になった彼のよく分からない生き様が救いとなって一応生き続けて見る。
久しぶりに夜へ帰る。
ここのところ夜は忙しいが朝型の方が辛すぎるのでこれでいい。
もう未練なんてないのだから。
夜型に戻りかける 釣ール @pixixy1O
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